テラーノベル
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「また成績が下がってるじゃないか」
父の声も、母の問いかけも、
最近は以前より淡々としている。
怒りでもなく心配でもなく、
ただ“ため息”で
家の中を満たしている。
以前はあんなに干渉されたのに、今は
「どうせ言っても無駄」
と思われている気がした。
冷たい空気の中で食事をする。
家族の会話は必要最低限。
「…今日は、学校どうだった?」
kr「別に」
それきり、沈黙だけが続く。
学校でも同じ。
担任は目が合っても何も言わなくなり、
カウンセラーからの呼び出しも減った。
みんなが新しい話題で盛り上がる輪の外で、
俺はただ座ったままでいる。
廊下に貼り出された進路希望表。
みんなが
「この大学行きたいね」
「夢に向けて動かなきゃ」
と語る声は、
水中で聞くみたいにぼやけている。
kr「自分も、あそこに名前を書いていたはずなのに」
ふと、そんなことを思う。
けれど勇気もやる気も、もう湧いてこない。
放課後の教室。
机の上にうつ伏せて、目をつむれば、
遠くで友達の笑い声と
チャイムだけが聞こえる。
このままずっと誰にも気づかれず
消えていけたら……
そんな弱さばかりが頭を占める。
夜、自室でふらりと昔のノートを開く。
そこには“この問題はできた”とか
“将来は○○になりたい”とか、
希望で埋められていた跡が残っていた。
「もう一度やり直したい」
ほんの一瞬だけ、そんな気持ちが浮かぶ。
だけどすぐに、
「どうせやっても無駄だ」
と心の中で打ち消す自分がいる。
日が経つほど、
家族の声も、
友達との笑いも、
夢だった自分自身もーー。
だんだん薄れていって、
触れられないものになっていく。
ただ静かに、今日もまた夜になる。
コメント
1件
な、るほどぉ、、、 言葉選びがさぁ、天才なのやばい(語彙力皆無) 続き楽しみ(((o(*゚▽゚*)o)))