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コメント
1件
うわ、これ、めちゃくちゃ気になるやつですね…。ジオラマの精巧な描写が本当に細かくて、読んでるこっちまで引き込まれました。特に「海の匂いがする」って感覚、一瞬の幻みたいなものなのに不気味さがすごくて。あの黒い影、絶対ただの異物じゃないですよね。伏線として何か仕込まれてる感がひしひしと…続きが待ち遠しいです!
階段を駆け上がり、部屋へ。酷暑のせいでぶわりと熱気が頬に当たり、苛立ちをため息でやり過ごして、デスクに置きっぱなしだったリモコンで冷房をつける。
ブオン、と起動音がして程なく、ひんやりした風を感じ、僕は息をついてから抱えたままのジオラマを改めて見た。
純和風の光景を切り取ったジオラマ作品を見るのは初めてだったから目を引いたが、よく見れば見るほど、漁師小屋や柵、波の形に至るまで、かなり精巧に作られているのがわかる。
漁師小屋も、長年海の風に晒されたような木材の傷み具合など、どうやればこんな加工ができるのかと不思議に思うほどだ。
「……ん?」
ふと、目をみはって僕は海の中を覗き込んだ。
箱のすみ、砂浜からはかなり距離がある沖の方の部分に、何か黒い影が見えたのだ。
「レジンだっけ、流し込んだ時に異物が入ったのかな」
透明なオブジェクトはレジン液というのを使うことは知っていたので、そういうことなのかと思ったが、それにしては大きい気がする。何より……。
「僕はこんな大きな異物に、買う前に気づかなかったのか……?」
いや、その前に作者本人が、異物を取り出そうとするのではないだろうか。
「ああ、だからさかえ義兄さんは作者に会ったのかと聞いてきたのか」
あの人の観察眼は凄まじいものがある。この異物に気づいて、作者の反応が知りたかったのかもしれない。しかし僕が異物に気づいていないとわかって、誤魔化すためにあんなふうに言ったのだろう。そう思うと、なんとなく悔しくもなる。
「まあ、買ってしまったんだし、このくらい気にもならないし」
他人はどうか知らないが、僕はハンドメイド作品について、工芸品や芸術品レベルのクオリティであるべきだ、とは思わない。言い訳じみた言葉を呟きながら車の模型やお土産の置き物などを飾ってある棚の空きスペースにそれを配置した。違和感なく収まったジオラマに満足して頷く。
「……ん?」
ふと、鼻に何か不思議な違和感を覚える。自分が海に……海岸に立っているかのような、そんな感覚。
だがそれも一瞬で、辺りを見回しても、いつもの部屋が広がっているだけだ。
「気のせい、かな」
僕は肩をすくめ、ノートパソコンを立ち上げる。そのあとは何事もなく、夕飯の支度まで記事を書く準備を進めた。
それだけといえば、それだけのことだった。
――その時は。