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朝、おきました。

まどからの光がまぶしくて目をぎゅっととじてしまいます。

でも、早くいえを出ないとおかあさんがおきてきて、おこられちゃう。時計のみじかいはりが六と七の間、長いはりが六のところに来るまでにいえを出ないといけない。

わたしは、すこしみじかめのかみを二つしばりでむすんで、おかあさんから、きのうもらった千円さつをもって、くつをはいて、でかけました。




いえを出てからわたしは、近くのこうえんでいつも一人であそびます。

まだ朝だから、さむいけど、ふくがこれいがいないので、がまんします。

「あの子またここの公園に来てる…」

「親は何してんのかしらねえ…」

大人の人がいろんなはなしをして、わたしのことを見てます。でも、いつものことです。

ブランコにすわってあそびます。

でも、ずっとブランコであそぶとおなかが空いてしまいます。

なので、近くのコンビニでさんどいっちをかいます。

こうえんにもどったらベンチでさんどいっちを食べます。いつもと同じ、チーズとレタスが入っているさんどいっちを食べます。

こうえんの時計を見ると、今はみじかいはりが七をさしていて、長いはりが十二をさしていました。

わたしはさんどいっちを食べて、そのゴミをごみばこにすてて、またブランコであそびはじめました。



ブランコであそんでいたら、いつもは見たことのない女の子がブランコの方に来ました。

きれいな白いかみに、きれいな青い目をしています。

でも、その目はすごくくらい目をしています。きれいな目なのに、すごくすごくもったいないとおもいました。

女の子がわたしのいる、ブランコのほうに来ていたので、はなしかけました。

「ねえねえ、どうしたの?」

女の子はすごくびっくりして、わたわたしています。でも、すぐにこたえてくれました。

「わっ、わたし…ね、ままとぱぱのこと、おこらせちゃって、出てけっていわれちゃって…」

女の子はかなしそうな目をして、いいました。

「わたしっ…ままとぱぱにきらわれちゃったのかなあ…」

女の子ははなしていくうちにぽろぽろとなきはじめました。

「だいじょーぶ?」

わたしは女の子といっしょにベンチにいどうして、女の子のはなしをきいてあげました。

「わたし…ね、すごくたのしいかぞくだったのにね、ぱぱがへんになって、それからままもへんになって…、いつもいつもおこられちゃって、たたかれちゃって…」

女の子はじぶんのむかしのはなしをしてくれました。

女の子は、むかしのわたしとすこしだけ、にていました。

だからこそ、女の子のかなしいきもちがわかるんです。

でも、わたしは女の子のおかあさんとおとうさんをせっとくすることができません。

なので、わたしは女の子にいいました。

「なら、これからおなじじかんにこのこうえんであそぼうよ!」

女の子はびっくりしながら、いいの?とわたしにききました。わたしはいいよ、と女の子にいって、これから、おなじじかんにこうえんであそぶことにしました。







なん日かこうえんであそびつづけて、たくさんなかよくなったわたしたちはかぞくのこととか、いろいろはなしました。

でも、おたがいに名前をしらないので、ききました。

「きみのお名前ってなあに?」

すると女の子はわたわたしながらいいました。

「わたし…の、おなまえ、わかんないの…、でも、あなたのおなまえは?」

「わたし、お名前ないよ」

わたしはおかあさんにこういわれたことがありました。

『お前はこの世に居ないことになってるから下手な真似するんじゃねぇぞ。まあ無戸籍ってやつだな』

でも、わたしにはそれがわかんなかったです。いつか、わかるときがくるといいとおもいます。






おたがいの名前もしらないけど、わたしたちはなかよく、いつもいつもいっしょにあそびました。

でも今日、とけいのみじかいはりが四と五の間に、長いはりが九と十の間を指しているじかんに、女の子のおかあさんが来てこういいました。

「お前…どこほっつき歩いてたんだよ!?」

女の子はぷるぷるふるえて、こわがっていました。

「お前が家に居ねえから発散道具がねえんだよ!!」

そういうと女の子のまおかあさんはないている女の子をつれてかえってしまいました。わたしは女の子のおかあさんがこわくて、なにもできずに、ぼーっとしていました。

でも、なぜか心がもやもやして、あたまがぐるぐるしています。なんでかは、わかりませんでした。






それからなん日後かも、女の子といっしょにこうえんであそんでいますが、女の子のからだのきずが来るたびにふえていました。わたしは女の子がしんぱいでしんぱいでこわかったです。

ただわたしは女の子のからだのきずを見るたび心のもやもやとあたまのぐるぐるがつよくなっています。

でも、それがなんなのか、かえっておかあさんにききました。

「おっ、おかあさん…」

「…なに」

「わたしね、こうえんでね、はじめてのおともだちができたんだけどね、そのおともだちがね、おかあさんとおとうさんにたたかれるんだって。

でね、おともだちのきずがふえてくところを見るとね、心がもやもやしてあたまがぐるぐるしちゃうんだけど、なんでかな?」

わたしの長いしつもんにおかあさんはみじかくこたえてくれました。

「あー、怒りってやつじゃね。その友達が大好きでその親のこと許せないんだろお前」

いかりというものをはじめてしりました。でも、女の子のおかあさんとおとうさんをゆるせないのは、なんとなくわかるような気がしました。

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