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第三十一章
効かない薬
重たい……何とも言えない空気が流れます。
「皇刃くんは車両で調合の続きをお願い!それと御厨くん!大剣はないかもだけど、武器はあるから!」
「七凰!うちのルールー使い!持ってきてるよって」
重たい轟音を響かせ、椥辻さんがこちらへ来ました。
「嫌よ!ピンクなんて。あたしには無理だわ!」
「そんなこと言ってる場合とちゃうやろ!ここは、うちと綺で食い止める」
「!!わ、私も!?」
土煙によって影しか見えませんが……あの節足動物を?
私は恐怖で顔が引き攣り、身体を震わせながら後ずさりしていました。
そのとき、私の身体は何かにぶつかりました。
「煩いんだけど……」
ものすごく眠たそうに!
そして、ものすごく不機嫌な声と顔をした神剣くんでした。
「神剣くん……!!煩いって、今がどれだけ大変か……」
「……」
無言のまま、神剣くんは黒巣姫に視線を向けます。
────パンッ
『ぎゃああああ!!』
また無詠唱・ノーモーションです……。
「……仕方ないわね……あんたのルールーちゃん。借りるわよ」
ため息をつき、皇刃くんを抱えて車両へ走って行った御厨くんの背中を眺めていました。
「綺!行くで……太刀、抜きぃ」
「う、うん……」
神剣くんはスタスタと歩き、黒巣姫のすぐ目の前に立ちました。
『!!……お、おまえは……』
「?……俺を知ってるのか」
何かを話しているようですが……化物と話すことなんてあるのでしょうか?
ですが、その異変に椥辻さんも気づいているようです。
「なぁ……朔夜は化物と会話をしとるんか?」
「わかりません……ですが、お互いが動こうとしないし……声が聞こえるので、恐らく……」
この距離では、何か話している、くらいしか聞き取れません。
「答えろ……俺を知っているのか?」
『……っ』
黒巣姫の巨体から、無数の子蜘蛛が放出されました。
「!!っ」
神剣くんは肩にかけていたライフルを放ちます。
「!!無理無理無理!!」
私は気が動転してしまいました。
そして、複数の手榴弾を一気に大量に放ってしまいました。
「こらっ、げほ……っ! 綺!これ……催涙弾か!?」
「!!ご、ごめんなさい、椥辻さん!」
爆弾にやられ、涙目で私を椥辻さんが睨んできます。
私は何も言えなくなり、無言で解毒玉を差し出しました。
「大丈夫?二人とも」
苦笑いを浮かべ、ピンクの大剣を振りかざし、周りの子蜘蛛を御厨くんが一掃してくれました。
「おー、似合うとるやないか。ルールーが」
「ピンクは置いておいて、あなた武器のカスタムすごいわね。他人の武器は本来なら使いにくいのに……こんなに使いやすいなんて」
「せやろ?うちのルールーは、ええ子やからな」
私達……いえ、椥辻さんと御厨くんが子蜘蛛を倒してくれている間に、私は捕獲用の罠を取りに車へと戻りました。
「皇刃くん!大丈夫?」
「早乙女さん……」
車内で皇刃くんが、たくさんの薬を広げています。
ですが、様子が変です。
「皇刃くん……どうかした?」
「……だめだ」
「え?……」
「黒巣姫は毒や薬は効かない……」
コメント
1件
第31話読み終わったよ!神剣くんの「煩いんだけど……」からの不機嫌顔、めっちゃツボったわw しかも無詠唱で黒巣姫に一撃入れるとか、強キャラ感がすごい。でもその後の会話シーンで「俺を知ってるのか」って問いかけるのは気になる…過去に何か因縁あるのかな?それと、終盤の「黒巣姫は毒や薬は効かない」って皇刃くんの台詞で一気に絶望感出てきた。次の展開どうなるんだろう…続きが早く読みたい🔥