コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
思い込んでいても、滲み出る物はある。
「…来ないな。」
「…返事。」
近くにあったソファに身を投げ出す様に座る。
「いや、アイツの心配なんか…」
思わず飛び出た言葉に少し驚きながらもスマホを置く。
それにしても。
「暇、だな」
アイツとはほぼ毎日の様に顔を合わせている。
何か気を紛らわす様な事をしたい。
気づけばアイツの顔が思い浮かぶ。
「は〜あ…」
溜め息が出る。
気づけばアイツの家へ向かう準備を始めていた。
意外にも気分は良かった。
何時も通りだと思って。
目的地に近づくにつれ少し足が速くなる。
落ち葉が重なり音が鳴る。
少し気合を入れて磨いた靴で、賑やかな商店街に合うレンガ造りの道を歩く。
商店街を抜けて、先程より静かな細い道を通る。
建物の影から黒猫が黄色く光る目を覗かせて此方を見ていた。
ピーンポーン…
ドアの向こうから何十秒か経ってドタドタと慌てた音が鳴る。
「ゴホッ…あっ…アーサー…!」
「なっ…何っ…?」
「フランス…?咳…風ひいたのか…?」
「ん〜…まあちょっと熱と咳だけ…」
「ちょ、取り敢えず家入れてくれないか?」
「えっ!?ちょ、折角来てもらって悪いけど移るから…ゴホッ…ほら、!」
「風邪ひいたんなら看病いるだろ!入れろ!!」
「…ぇえ…移っても知んないよ…」