テラーノベル
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注意⚠️
注意書きは前回か前々回を参照
リクエストぐさおVSみぞれ
それではどうぞ!
───side ぐさお
不可解な部屋。永遠に広がる真っ白な空間。時間、空間が歪んでいるのを感じる。魔力の気配は感じないため、何者かの能力だろうか?だとしてもこの空間外に干渉できず、ダークとのテレパシーすらもできない。このような所業ができるのはもはや神様のみだろう。時空神の仕業だろうか?
そんなことを思いながらしばらく空間を観察していると、うなされながら寝ている銀髪の子を見つける。雪のように白く、透き通る肌。ステンドグラスのような輝きを持つ銀髪。服装的に…精霊なのでは?と予想がつく。───いや、違う。精霊は精霊でも精霊王だ。神に賭けを挑んだ愚か者だ。ここで処すべきか否か。そう思考をまわす。しかし、その結果が出る前に銀髪は目を覚ます。ぱっちりとした目からは薄い氷が張ったような綺麗な水色の目が覗く。不思議と暖かな光を帯びており、氷とは正反対だった。
「ん、んぅ…え、ぐさおさん!?」
そう銀髪が私を指さしながら驚く。どうやら既に私の名前を知っているらしい。…何時ぞやの日に自己紹介でもしたのだろう。まあ、そんなことはどうでもいいが。驚く銀髪を放置し、私は扉に近づく。ただただ真っ白な空間では異質なそのドアは異常な硬さであり、こじ開けることは私にも出来なかった。もう一度調べると、そのドアには不審な一言が書かれていた。
【相手の魂を破壊しないと出られない部屋】
なんとも悪趣味な条件に思わずため息をつく。この部屋を創ったものは魂を軽く見すぎではないか。魂が消えたら二度と輪廻転生できず、そのものの存在、概念が消滅する。天使と悪魔軍の副リーダーだろうと、魂の破壊はご命令がない限り禁じられているほどだ。
だが、出るためには仕方がない。それに相手は神界から堕ち、神から見放されたもの。故に寿命がなく、永遠と生きることになるのだろう。ならば、ここで殺してあげるのもまた救済というもの。私はそう決意を固め、銀髪に話しかける。
「どうやらこの部屋はどちらかの魂が破壊されない限り出ることは出来ないらしい。ということで、魂を差し出せ。しないのならば───。」
そう言いながら、その銀髪の鼻先に刀を突きつける。どこからなのかは分からない照明が刀をギラリと光らせる。目の前の少女の表情は怯えであり、弱者の思考。大方傷つけたくない、戦いたくない、と言い出すのだろう。面倒極まりない。一刻も早く私は出たいと言うのに。
「…そう、易々と魂を渡すつもりは無いです。わかりました。あなたの戦いに応じましょう。」
そう決意のこもった目で睨まれる。…意外だ。言葉による説得を試みるものかと思っていたがどうやらそうでも無いらしい。どうせ戦うと思っていたものだから決意が固まっているのは好都合である。
私は、刀を構え直す。
「構えろ。───いくぞッ!!」
私がそう宣言した言葉は戦いのゴングのような役割を担った。
カキンッキンッキンッッキィィイインッッ!!!
氷の刃と金属の刃がせめぎ合い、攻防一体の技を繰り出す。銀髪に隙はないが躊躇いがあるように思える。ならば、今が好機であろう。私は刀を大きく振るう。わざと隙を見せて、その隙をつきに来た銀髪を逆に殺し返そう、そう思っていたが。
───突然、炎が私の体を襲う。
「───ッ!?」
私は急いで距離をとる。さすがは精霊王。普通精霊はひとつの属性しか司らないはずが当然のように二属性を使った。もしかしたら他の属性も───?そう悪い思考に陥るが何とか振り払う。
ならば、先手必勝。私は能力を発動させる。
その瞬間、私の体内には様々な魔力が流れ込む。いや、流れているのではない。魂に、その属性が刻まれていってるのだ。
まだ、状況を理解していない銀髪に私は光を使って一瞬で距離を詰める。
「───っ!?」
銀髪は手を上げて何かを出そうとしていたが、それは不発に終わる。私は、そいつに落雷を落とし、麻痺らせる。
ピシャアァンッッ!!
初めて放つ属性。しかし、上手くいったようで銀髪は一瞬動きをとめる。そのうちには私は銀髪の心臓を───。
「植物さん。」
───その瞬間、私の視界は逆転する。景色がぐらりとゆれ、銀髪が天井に立っているように見える。しかし、この独特な浮遊感と、足の痛さからしておそらく空中に括り付けられているのだろう。私の視界いっぱいに広がるみどり、緑、緑───。大方植物に固定されているのだろう。しかし、私には羽があるため正直そこまで効力は───。
「私、別にぐさおさんを殺すつもり無かったんですよ?ただ、私の力を公平の名のもとに奪うなんて…。そんなことするなら殺すしかないじゃいですか。」
そう皮肉ったような笑いを浮かべる銀髪の髪色が変わる。美しい色からドス黒い色へと落ち───。完全な黒へと染まる。染まり切ってしまった。
「ポイズン。水発散。粉雪。金属。奈落。」
呪文のように唱えるそれは脳に警告が走る。緑だった植物は一瞬で漆黒に染まり、私の足を黒く染めていく。
私は自身の翼を出し、素早く逃げようとしたが、思いのほか力が強い。それどころかあらゆるところからツタが伸び、私の足を、手を、絡めとる。
「【天秤】!!」
私は自身を天秤にかけ、そして勢いよく私自身を飛ばす。しかし、既に黒く染ってしまった右足が一切動かすことも出来ない。切り落とそうとしたが、腕も黒く染っており思うように動かない。それに、上からはどこからともなく現れた粉雪が降り注ぎ、翼に重みを感じる。
その間にも金属で出来た棘が鋭利で、確実に貫くという無機質の物質に決意を感じた。
───どうして私が追い詰められているのか。形のない衝撃が私を貫く。───いや、切り替えろ。銀髪と植物に天秤をかければいいだけだ。冷静さをかいたら死ぬ。そう自身に言い聞かせ、天秤を発動させようと───。
「光よ、爆散しろ」
その瞬間、体内から衝撃が走る。
「がハッ!?」
その衝撃で口から血が吐き出される。体が再生されない。呼吸出来ない。飛ぶことが───。
そのまま私は金属によって身体を貫かれる。
まずい、まずいまずいまずい。【死】が、死が近づいてくる。剥き出しになった心臓がどくどくと動き、体を再生させようとするができない。
「はぁ…。そりゃそうですよ。あなたみたいなやつは体内に光や闇が流れてるんですから。それが爆発したんです。そりゃ痛いですよ。」
そういいながら銀髪が氷の刃を創り出す。
「あ、毒気になります?あれ昔神界にいた時神に効く毒を研究したやつですよ。ま、不良作でしたが神じゃなきゃ効果絶大みたいですね。」
そう言って、黒く染った髪をうねらせ、そして───。
勝者 みぞれ
ここで切ります!いや〜自分で書いてても意外な展開でしたね。ぐさおさんが勝つと思ってたんですが…思ったより精霊王が強すぎる…。あ、メテヲさんに負けた理由気になります?まあ、既に神だった、というのも理由の一つですが…何よりメテヲさん属性が体内にあるって言うよりその場で作らせて纏わせてる、という方があってますね。基本使いませんし。手加減する時によく使うみたいですね。
それでは!おつはる!
コメント
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ぐさおvsダークってできますか?
油断せず冷静に処しためめさんと面倒くさがって殺られてしまったぐさおさんの対比がすこ
相性の悪さを基礎スペックでゴリ押すの、大好きです