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限界ホストは癒されたい
第1話「No.1って、こんなに可愛いの?」
今回、もふどぬ中心です!
※この作品は創作です。
※ご本人様とは一切関係ありません。
※もふどぬ たつじゃぱ なおゆあ ひろうりとなっております!地雷さんはまわれみぎです!
※苦手な方は閲覧をお控えください。
〜自己紹介〜
白坂 どぬく(dn)
・受け / No.1ホスト
・お店で圧倒的人気を誇るホスト
・普段はにこにこしていて甘え上手
・可愛い仕草も甘い台詞も自然にできる
・本気で相手を守るときは驚くほどかっこいい
・自分が誰かに甘えるのは少し苦手
・もふくんのことが____である
紫木 もふ(mf)
・攻め / 初来店のお客さん
・会社員で、普段は落ち着いている
・たっつんに誘われてホストクラブに来た
・どぬの可愛さに調子を狂わされる
・好きになってからは行動で愛情を伝えるタイプ
・どぬのことになると独占欲が出る
・どぬのことが____である
黄神 たっつん(tt)
・攻め / 会社員 / 関西弁
・おもしろくてノリがいい
・もふ、なおきり、ヒロの友達
・じゃぱぱに一目惚れしている
・じゃぱぱに会うため、友達三人を誘った
・じゃぱぱのことが____である
緑川 じゃぱぱ(jp)
・受け / ホスト兼クラブの経営者
・明るくて面倒見がいい
・たっつんが一目惚れした相手
・たっつんのことはまだ____である
青井 なおきり(no)
・攻め / 会社員 / 初来店のお客さん
・優しくてマイペース
・独特な言葉遣いをする
・普段はふざけているが、大切なときは真剣
・ゆあんくんのことが____である
赤城 ゆあん(ya)
・受け / 人気ホスト
・明るく元気で少し生意気
・お客さんを楽しませるのが得意
・褒められると照れ隠しで強がる
・なおきりさんのことはまだ____である
灰谷 ヒロ(hr)
・攻め / 会社員 / 初来店のお客さん
・普段は落ち着いていて優しい
・相手の小さな変化にもよく気づく
・うりのことになると少し意地悪
・うりのことが____である
黒瀬 うり(ur)
・受け / 人気ホスト
・クールで少し口が悪い
・ピアノとギターが得意
・お客さんの前では余裕たっぷり
・ヒロくんの前では素直になれない
・ヒロくんのことはまだ____である
ある日の仕事終わり。
mf「……はぁ」
俺は大きくため息をつき、パソコンを閉じた。
今日も長い一日だった。
山積みの書類。
鳴り止まない電話。
長すぎる会議。
……疲れた。
hr「もふくん、お疲れ」
mf「……ヒロくんも、お疲れ」
no「いやぁ〜! 今日も一日頑張りましたねぇ!」
mf「……そうですね」
hr「早く帰って寝たいな笑」
no「僕も今日はゆっくりしたいですねぇ」
そんな会話をしながら、帰る準備をしていた。
そのとき。
tt「みんなぁぁぁぁ!!!!!」
mf「……うるさ」
hr「……びっくりした笑」
no「おやおやぁ? どうしました?」
勢いよくやってきたのは、たっつんだった。
tt「今日!! みんな暇!?」
mf「……帰って寝る」
tt「それ暇ってことやん!!」
mf「……違うだろ」
hr「俺は特に予定ないけど?」
no「僕も空いてますよ〜!」
tt「よっしゃあああ!!」
mf「……だからうるさいって」
tt「今日な!! めっちゃええとこ連れてったるわ!!」
hr「……え、どこ?笑」
no「おぉ〜! 気になりますねぇ!」
tt「ホストクラブ!!」
mf「……帰るわ」
hr「……え?笑」
no「おやおやぁ?」
tt「待って待って待って!! まだ何も説明してへんやん!!」
mf「説明されなくても行かない」
hr「たっつん、急すぎない?笑」
no「ホストクラブですかぁ……」
tt「せや!! めっちゃええ店知ってんねん!!」
mf「……一人で行けば?」
tt「一人やと寂しいやん!!」
hr「……ていうか、なんで急にホストクラブ?」
tt「…………」
no「おや?」
mf「……なんか隠してる?」
tt「い、いや!? なんも!?」
hr「……怪しいなぁ笑」
no「ふふっ、何か理由がありそうですねぇ」
tt「と、とにかく!! 一緒に行こうや!!」
mf「……嫌だ」
tt「即答!?」
hr「……まあ、たまにはいいんじゃない?笑」
mf「……ヒロくん?」
hr「仕事も終わったし、気分転換ってことで」
no「そうですねぇ! せっかく誘ってくれましたし!」
tt「なお兄!! ヒロくん!!」
no「ふふっ、仕方ないですねぇ」
hr「一回くらいなら付き合うよ笑」
tt「二人とも大好きやぁぁぁ!!」
mf「……俺は帰る」
tt「もふくーーん!!」
mf「……なに」
tt「頼む!! お前がおらんと始まらへんねん!!」
mf「……なんで」
tt「四人で行きたいんや!!」
mf「…………」
……ほんと、面倒くさい。
昔からこいつはこうだ。
一度言い出したら、絶対に諦めない。
hr「もふくんも行こうよ笑」
no「ふふっ、みんなで行った方が楽しいですよ!」
mf「……二人まで」
tt「な!? な!? 頼む!!」
mf「…………」
三人が、じっと俺を見る。
……なんなんだよ。
mf「……はぁ」
tt「……もふくん?」
mf「……一回だけな」
tt「…………」
mf「……なに」
tt「もふくんんん!! ほんまにありがとう!!」
mf「……やっぱ帰る」
tt「ごめんなさい!!!!」
hr「ふふっ、よかったね、たっつん笑」
no「これで四人揃いましたねぇ!」
tt「よっしゃあああ!!」
mf「……うるさい」
……やっぱり、帰ればよかった。
俺は心の底からそう思った。
夜。
tt「みんな!! 着いたで!!」
mf「……ここ?」
hr「……うわ、すごいね笑」
no「おぉ〜! きらきらしてますねぇ!」
目の前には、やたらと派手な建物があった。
大きな看板。
綺麗な照明。
ガラス越しに見える、おしゃれな内装。
……帰りたい。
まだ入ってもいないのに、すでに後悔していた。
tt「うわぁ……今日もええなぁ……」
mf「……今日も?」
tt「…………」
hr「……あれ?笑」
no「おやおやぁ? 来たことあるんですか?」
tt「い、いやぁ〜? どうやろなぁ〜?」
mf「……絶対あるだろ」
hr「……怪しいね笑」
tt「き、気のせいやって!!」
no「ふふっ、まあまあ!」
tt「ほら!! みんな入ろ!!」
mf「……ちょ、押すなって」
tt「ええからええから!!」
hr「もふくん、諦めよ笑」
no「せっかくですし、楽しみましょう!」
mf「……はぁ」
こうして俺たち四人は、ホストクラブへ足を踏み入れた。
……このときは、まだ誰も知らなかった。
この場所で出会う四人のホストが。
それぞれの人生を、少しずつ変えていくことになるなんて。
店内は、想像以上に派手だった。
きらきらした照明。
おしゃれな内装。
聞き慣れない音楽。
そして、周りにいる綺麗な男たち。
mf「…………」
tt「もふくん、どうしたん?」
mf「……帰りたい」
tt「早すぎるやろ!! まだ一分も経ってへんで!?」
hr「ふふっ、もうちょっと楽しもうよ笑」
no「そうですよぉ! まだ始まってもいませんし!」
mf「……十分だろ」
tt「何が十分やねん!!」
そんなやり取りをしていた、そのとき。
jp「たっつーん!! いらっしゃい!!」
tt「…………」
mf「……ん?」
聞こえてきた声に、たっつんが固まった。
振り返ると、そこには一人の男が立っていた。
明るい笑顔。
人懐っこい雰囲気。
周りのホストたちとは少し違う、自然と目を引く存在。
jp「もー! 来るなら連絡してよ!」
tt「…………」
jp「……たっつん?」
tt「……じゃぱぱ」
jp「ん?」
tt「今日も……めっちゃ可愛ええな……」
jp「…………は?」
mf「…………」
hr「……あー笑」
no「おやおやぁ?」
……あ。
こいつ、終わったな。
jp「ちょっと待って!? なに急に!?」
tt「いや!! ちゃうねん!! 今のは!!」
jp「今のは?」
tt「……ほんまのことやけど」
jp「~~っ!!」
じゃぱぱの顔が、少しだけ赤くなった。
jp「もう! お客さんの前で変なこと言わないでよ!」
tt「……え、照れた?」
jp「照れてない!!」
tt「ほんまに?」
jp「ほんと!!」
tt「……かわええ」
jp「たっつん!!」
mf「…………」
……何を見せられているんだろう。
俺は、そっと視線を逸らした。
すると。
jp「あ、そうだ! 今日はお友達も一緒なんだね!」
じゃぱぱが、俺たちの方を向いた。
jp「初めまして! 俺、緑川じゃぱぱ! よろしくね!」
mf「……紫木もふです」
no「青井なおきりです! よろしくお願いしますねぇ!」
hr「灰谷ヒロです。よろしくお願いします」
jp「もふくんと、なおきりさんと、ヒロくんね! よろしく!」
そう言って、じゃぱぱはにこっと笑った。
……なるほど。
たっつんが一目惚れするのも、分からなくはない。
確かに、可愛い。
……まあ、俺には関係ないけど。
jp「じゃあ、みんなゆっくり楽しんでいってね!」
tt「じゃぱぱ!!」
jp「なに?」
tt「あとで絶対話そな!!」
jp「はいはい! 分かったから!」
そう言って、じゃぱぱは奥へと戻っていった。
tt「…………」
mf「……たっつん?」
tt「……やばい」
hr「……どうしたの?笑」
tt「好きや……」
no「……おや?」
tt「俺、じゃぱぱのこと、ほんまに好きや……」
mf「……知ってる」
hr「……なるほどね笑」
no「そういうことでしたかぁ!」
tt「な、なんやねん!!」
mf「……じゃぱぱさんに会いたくて誘ったんだろ」
tt「…………」
hr「図星じゃん笑」
tt「うわあああ!! バレたぁぁ!!」
……ほんと、騒がしい。
しばらくして。
スタッフが俺たちの席にやってきた。
スタッフ「本日は初めてのご来店ということで、当店のホストをご案内いたします!」
no「おぉ〜! 楽しみですねぇ!」
hr「どんな人が来るんだろうね笑」
mf「……別に誰でも」
tt「もふくん、もうちょい楽しもうや!!」
mf「……うるさい」
そのとき。
ya「こんばんはーー!!」
元気な声が聞こえた。
振り返ると、赤い髪の男がこちらに向かって歩いてきた。
明るい笑顔。
少し生意気そうな雰囲気。
そして、ころころ変わる表情。
ya「初めまして! 赤城ゆあんでーす!!」
no「…………」
ya「よろしくね!!」
no「……おや」
ya「ん?」
no「……可愛いですねぇ」
ya「…………は?」
mf「…………」
……早い。
まだ自己紹介しかしてないぞ。
ya「え、ちょ、急になに!?」
no「いやぁ、思ったことを言っただけですよ?」
ya「……っ!」
no「ふふっ、照れてます?」
ya「照れてねーし!!」
no「おやおやぁ?」
ya「もーー!!」
……なるほど。
なおきりさんも、相当だな。
ya「……ていうか、名前は?」
no「あ、青井なおきりです!」
ya「なおきりさん?」
no「なお兄って呼んでください!」
ya「……なお兄?」
no「はい!」
ya「……ふふっ、変なの!」
no「おや? 笑いましたねぇ?」
ya「だって!! なお兄って!!」
no「……その笑顔、いいですねぇ」
ya「…………っ!?」
……あ。
また照れた。
no「ふふっ、可愛い」
ya「だから!! 可愛いって言うな!!」
そんな二人を見ていると。
今度は、落ち着いた声が聞こえてきた。
ur「……お待たせ」
黒髪のホストが、ゆっくりと近づいてきた。
整った顔立ち。
少しクールな雰囲気。
そして、どこか余裕のある笑顔。
ur「初めまして。黒瀬うりです」
hr「……へえ」
ur「……ん?」
hr「……かっこいいね」
ur「…………」
mf「…………」
……こっちもか。
ur「……どうも」
hr「ふふっ」
ur「……なに笑ってんの?」
hr「いや、ちょっと意外だったから」
ur「……何が?」
hr「もっと怖い人かと思った」
ur「……は?」
hr「でも、話してみたら優しそうだね」
ur「…………っ」
ur「……別に、普通だろ」
hr「……そっか笑」
ur「……なんだよ」
hr「ううん、なんでもない」
……ああ。
こっちも、なんかありそうだな。
ya「ねえねえ!! なお兄!!」
no「はい?」
ya「今日、初めてなんでしょ?」
no「そうですよぉ!」
ya「じゃあ、俺がいっぱい楽しませてあげる!!」
no「おぉ〜! それは楽しみですねぇ!」
ya「任せて!!」
no「……でも」
ya「ん?」
no「僕はもう、十分楽しいですよ?」
ya「…………」
no「ゆあんくんに会えましたし!」
ya「~~っ!!」
……この人。
本当に初対面なのか?
一方。
hr「……うりって、普段何してるの?」
ur「……んー、音楽とか?」
hr「音楽?」
ur「ピアノとかギターとか」
hr「……へえ、すごいね」
ur「……別に、趣味だし」
hr「今度、聴いてみたいな」
ur「……は?」
hr「うりの演奏」
ur「…………」
少しの沈黙。
ur「……気が向いたらな」
hr「……そっか」
ur「……なんだよ」
hr「楽しみにしてる」
ur「……まだ弾くって決めてねーから!!」
hr「ふふっ」
……ほんと。
みんな、楽しそうだな。
俺は、そっと視線を逸らした。
そのとき。
店のスタッフが、店内に響く声で言った。
「それでは、本日ご案内するのは……当店のNo.1、白坂どぬくです!」
その名前が聞こえた瞬間だった。
dn「こんばんはぁ!」
ぱっと顔を上げた男が、俺たちの席にやってきた。
ふわふわの髪。
くりっとした目。
にこにこと笑う口元。
そして、少しだけ甘えるような声。
dn「初めまして! どぬくだよ。よろしくね?」
mf「…………」
……可愛い。
いや、待て。
男だ。
男なのに、なんでこんなに可愛いんだ。
dn「……ん?」
どぬが、俺の顔を覗き込んできた。
dn「もしかして、緊張してる?」
mf「……別に」
dn「ほんとぉ?」
mf「……うん」
dn「ふふっ、そっかぁ!」
どぬは嬉しそうに笑った。
dn「じゃあ、俺がいっぱい楽しませてあげるね!」
……無理だろ。
mf「…………」
dn「……もふくん?」
mf「……え?」
dn「さっき、お友達がもふくんって呼んでたから!」
mf「……ああ」
dn「もふくんって呼んでいい?」
mf「……いいよ」
dn「やったぁ!」
……なんだ、この人。
距離感がおかしい。
初対面だぞ。
dn「ね、もふくん!」
mf「……なに」
dn「俺のことも、どぬって呼んでほしいなぁ!」
mf「…………」
dn「……だめ?」
少しだけ首を傾げて、上目遣いで俺を見る。
……いや。
それは。
mf「……どぬ」
dn「…………」
mf「……?」
dn「……えへへ」
どぬが、嬉しそうに笑った。
dn「もう一回呼んで?」
mf「……どぬ」
dn「えへへ、嬉しい!」
……なんなんだ。
この人。
可愛いにもほどがあるだろ。
mf「……どぬは、いつもそんな感じなの?」
dn「そんな感じって?」
mf「……その、誰にでも甘える感じ」
dn「んー?」
どぬは少し考えてから、にこっと笑った。
dn「どうだろ? もふくんには、いっぱい仲良くなってほしいなって思ってるよ!」
mf「…………」
……ずるい。
そういうことを、さらっと言う。
dn「ね、もふくん!」
mf「……なに」
dn「俺のこと、いっぱい見ててね?」
mf「…………」
……無理だろ、これ。
俺は思わず顔を逸らした。
dn「……あれ?」
mf「……なに」
dn「もしかして、照れてる?」
mf「……照れてない」
dn「えー! ほんとぉ?」
mf「……ほんと」
dn「ふふっ、かわいいねぇ!」
mf「…………は?」
……今。
なんて言った?
mf「……どぬ」
dn「ん?」
mf「……それ、誰にでも言ってるの?」
dn「え?」
mf「……かわいいとか」
どぬが、ぱちぱちと目を瞬かせた。
dn「……?」
そして。
dn「……もしかして、もふくんだけがいい?」
mf「…………」
dn「……ふふっ!」
どぬが楽しそうに笑った。
dn「じゃあ、もふくんだけにしようかなぁ?」
mf「…………」
……この人。
絶対、無自覚じゃないだろ。
しばらくして。
隣のテーブルから、大きな声が聞こえてきた。
客「おい、担当呼べよ。なんで俺が待たなきゃいけねえんだよ!」
新人ホスト「申し訳ありません、ただいま確認しておりまして……」
客「言い訳すんなって!」
乱暴にグラスが置かれる。
店内の空気が、一瞬で張り詰めた。
mf「…………」
俺が眉を寄せた、そのとき。
dn「……お客様」
さっきまで隣でにこにこしていたどぬが、静かに立ち上がった。
声のトーンが違った。
笑顔も、いつもの甘えた表情ではない。
dn「お待たせしてしまって、申し訳ありません」
どぬは、まっすぐに相手を見つめた。
dn「ただ、彼も一生懸命対応しています。お話でしたら俺が伺いますので、彼に強く当たるのはやめていただけますか?」
落ち着いた声。
一歩も引かない眼差し。
それなのに、相手の顔を立てる言葉選びまで完璧だった。
客「……チッ。じゃあ、お前が相手しろよ」
dn「はい。ありがとうございます」
どぬはきれいに頭を下げ、相手を席へと案内した。
それから数分後。
すっかり場の空気は和らいでいた。
新人ホスト「どぬくさん、ありがとうございます……!」
dn「ううん! 気にしないで!」
どぬは、いつもの笑顔に戻った。
dn「困ったときは、いつでも頼ってね?」
新人ホスト「……はい!」
その横顔を、俺はじっと見つめていた。
……ああ。
なるほど。
この人が、No.1なんだ。
顔が可愛いからだけじゃない。
誰より周りを見ていて、誰より冷静で、誰より人に優しい。
それを、当たり前みたいにやってのける。
mf「…………」
気づけば、口から言葉がこぼれていた。
mf「……かっこいい」
dn「……え?」
戻ってきたどぬが、ぱちぱちと目を瞬かせる。
dn「今、なんて言ったの?」
mf「……別に」
dn「えー! 絶対なんか言った!」
mf「……かっこいいって言った」
dn「…………え?」
今度は、どぬが固まった。
mf「さっきの。すごいと思った」
俺は、どぬから目を逸らさずに言った。
mf「……可愛いだけじゃないんだな、って」
dn「か、かわ……っ!」
どぬの耳が、みるみる赤くなる。
dn「ちょっと待って!? もふくん、そういうの急に言うのずるい!」
mf「……思ったこと言っただけだけど」
dn「うぅ……っ!」
さっきまであんなに余裕たっぷりだったNo.1ホストが、真っ赤になって俯いている。
……何これ。
可愛すぎるだろ。
mf「……どぬ」
dn「……な、なに?」
mf「顔、赤い」
dn「これは……暑いだけ!」
mf「……そう?」
dn「そうなの!」
mf「……ふーん」
俺は少しだけ笑った。
……あ。
この顔、好きかもしれない。
いや。
……もう、好きなのかもしれない。
帰る時間になった。
dn「今日はありがとね、もふくん!」
どぬは最後まで、にこにこと手を振ってくれた。
dn「また来てくれたら嬉しいなぁ!」
mf「……うん」
少し考えてから、俺は尋ねた。
mf「……次も、どぬを指名すればいい?」
dn「…………えっ?」
mf「また話したいから」
どぬの目が丸くなる。
そして。
dn「……えへへ!」
ふにゃっと、嬉しそうに笑った。
dn「……うん! 絶対、俺にして?」
mf「……分かった」
dn「約束だよ?」
mf「……約束」
どぬが小指を差し出しかけて。
……途中で、ぴたりと止まった。
dn「……あっ、えっと……!」
mf「……?」
dn「……なんでもない!」
そう言って、どぬは慌てて手を引っ込めた。
……なんだ?
少し気になったけど。
俺は、何も聞かなかった。
その頃。
店の奥では。
ya「なお兄、もう帰るの?」
no「はい! 今日はそろそろ」
ya「……そっか」
no「……おや?」
ya「……なに」
no「寂しいですか?」
ya「はぁ!? んなわけねーだろ!!」
no「ふふっ、そうですかぁ」
ya「……うん」
no「……じゃあ、また来ますね」
ya「…………」
no「ゆあんくん?」
ya「……明日」
no「え?」
ya「……明日も、来んの?」
なおきりさんが、少しだけ目を丸くした。
そして。
no「……来てほしいですか?」
ya「…………っ!!」
ya「ち、違う!! ただ聞いただけ!!」
no「ふふっ」
ya「笑うな!!」
no「……じゃあ、明日も来ますね」
ya「…………」
ya「……ん」
その小さな返事に、なおきりさんは嬉しそうに笑った。
一方。
hr「……うり」
ur「ん?」
hr「今日はありがとう」
ur「……別に、仕事だし」
hr「……そっか」
ur「…………」
hr「じゃあ、またね」
そう言って立ち上がろうとした、そのとき。
ur「……ヒロくん」
hr「……ん?」
ur「……さっきの話」
hr「……ピアノ?」
ur「……うん」
少しだけ視線を逸らして。
ur「……今度、聴かせてやってもいいけど」
hr「…………」
ur「……な、なんだよ」
hr「……嬉しい」
ur「…………っ」
hr「楽しみにしてるね」
ur「……おう」
ヒロくんが去ったあと。
うりは、しばらくその場から動けなかった。
ur「……なんなんだよ、あいつ」
小さく呟いて。
ur「……調子狂う」
その口元には、ほんの少しだけ笑みが浮かんでいた。
店を出たあと。
tt「もふくん!!!!」
mf「……うるさ」
tt「お前、めっちゃどぬくくんにハマってるやん!!」
mf「……別に」
hr「……確かに、ずっと見てたよね笑」
no「ふふっ、楽しそうでしたねぇ!」
mf「……二人まで」
tt「いやいやいや!! めっちゃ見つめてたやん!!」
mf「……見てない」
tt「嘘つけ!! 俺、ずっと見てたで!?」
mf「……気持ち悪いな」
tt「ひどない!?」
mf「……たっつんは、じゃぱぱさんに会えたから満足だろ」
tt「…………」
mf「……たっつん?」
tt「……じゃぱぱ、今日も可愛かったなぁ……」
mf「……重症だ」
hr「……たっつんも相当だね笑」
no「おやおやぁ?」
tt「なぁ、もふくん」
mf「……なに」
tt「次、いつ行く?」
mf「……来週」
tt「早っっっ!!」
hr「……即答じゃん笑」
no「ふふっ、僕もまた行きたいですねぇ!」
mf「……うるさい」
tt「いやいや!! お前、絶対どぬくんのこと好きやん!!」
mf「……まだ分からない」
tt「まだ!? まだって何やねん!!」
mf「……じゃあ、たっつんは?」
tt「え?」
mf「……じゃぱぱさんのこと、好きなんだろ」
tt「…………」
mf「……顔に書いてある」
tt「うわああああ!! それ言わんといてや!!」
hr「ふふっ、分かりやすいね笑」
no「いやぁ〜! 恋ですねぇ!」
mf「……なおきりさんも、ゆあんくんのこと気に入ってたじゃん」
no「…………」
hr「……あれ?笑」
no「……ふふっ、可愛かったですねぇ」
tt「おぉ!? なお兄まで!?」
mf「……ヒロくんも」
hr「……え?」
mf「……うりのこと、ずっと見てた」
hr「…………」
tt「えええ!? ヒロくんも!?」
hr「……まあ、また会いたいとは思ったかな笑」
tt「うわあああ!! なんやねんお前ら!!」
mf「……お前が誘ったんだろ」
tt「そうやけど!!」
……ほんと、うるさい。
でも。
俺は、たっつんを無視してスマートフォンを取り出した。
まだ、どぬの笑顔が頭から離れない。
可愛いところも。
かっこいいところも。
自分にだけ少し照れてくれたところも。
mf「…………」
……もっと知りたい。
そう思ってしまった。
そして、その頃。
店の控室では。
dn「…………」
どぬが、ひとりで頬を押さえていた。
dn「……もふくん、かぁ……」
思い出すのは、さっきの言葉。
『……可愛いだけじゃないんだな、って』
dn「…………っ」
dn「……あんな真っ直ぐに褒められたの、初めてかも……」
いつもなら、どんな甘い言葉だって笑顔で返せるのに。
あの人の言葉だけは、どうしても上手に受け流せなかった。
dn「……また、来てくれるかな」
小さく呟いて、スマートフォンを手に取る。
もちろん、連絡先なんて知らない。
それなのに。
dn「……もふくん……」
もう一度、その名前を呼んでみる。
dn「……えへへ」
自然と、頬が緩んだ。
そこへ。
ya「どぬーー!!」
dn「わっ!? ゆあんくん!?」
ya「なに一人でにやにやしてんのー?」
dn「に、にやにやなんてしてないよぉ!」
ya「えー? 絶対してた!!」
dn「してないもん!!」
ur「……お前ら、うるせーぞ」
控室に入ってきたうりが、呆れたように言った。
ya「あ! うり!」
ur「……なんだよ」
ya「うりも今日、ヒロくんと楽しそうだったじゃん!」
ur「……っ!?」
dn「えー! なになに!?」
ur「……別に」
ya「えー!! 絶対なんかあっただろ!!」
ur「なんもねーよ!!」
dn「ふふっ、うり照れてる〜!」
ur「照れてねーし!!」
ya「えー? 顔赤いよ?」
ur「お前もなおきりさんと楽しそうだったろ!!」
ya「…………っ!?」
dn「えっ! ゆあんくんも!?」
ya「……別に!!」
ur「……で?」
ya「……で、ってなに!!」
ur「なんかあったんじゃねーの?」
ya「…………」
dn「ゆあんくん?」
ya「……明日も来るって」
dn「えー!! よかったじゃん!!」
ya「べ、別に嬉しくねーし!!」
ur「……ふーん」
ya「なにその顔!!」
ur「いや、別に?」
dn「ふふっ!」
三人の笑い声が、控室に響いた。
そのとき。
jp「おーい! みんな、そろそろ片付けるよー!」
ya「はーい!!」
ur「了解」
dn「はぁーい!」
jp「……って、どぬ?」
dn「ん?」
jp「今日、なんか嬉しそうじゃない?」
dn「……えっ!?」
ya「あー!! やっぱり!!」
ur「……なんかあったな」
dn「な、なんにもないってばぁ!!」
jp「ふふっ、そっか!」
そう言いながら、じゃぱぱは笑った。
けれど。
じゃぱぱ自身もまた、ある一人の男のことを思い出していた。
jp「……たっつん、今日も来てたなぁ」
jp「……なんか、あいつおもしろいんだよなぁ」
その頃、店の外では。
tt「……じゃぱぱぁ……」
mf「……まだ言ってる」
tt「もふくん、俺、絶対じゃぱぱを振り向かせるわ!!」
mf「……はいはい」
tt「絶対やからな!!」
mf「……頑張れ」
tt「お前もな!!」
mf「……何が」
tt「どぬくん!!」
mf「…………」
tt「次行ったら絶対進展させろよ!!」
mf「……うるさい」
そう言いながら。
俺は、次にどぬに会える日を考えていた。
そして。
no「……ゆあんくん、明日も会えるんですねぇ」
なおきりさんは、嬉しそうに笑っていた。
hr「……うりのピアノ、楽しみだな」
ヒロくんも、どこか嬉しそうだった。
tt「……なんや、お前ら」
mf「……なに」
tt「全員、恋してるやん!!」
mf「……してない」
hr「……まだ分かんないよ笑」
no「ふふっ、どうでしょうねぇ!」
tt「絶対そうやって!!」
……ほんと。
騒がしいやつらだ。
でも。
今日だけは、少しだけ感謝してもいいかもしれない。
あいつが、俺たちを誘ってくれたから。
俺は、あの人に出会えたんだから。
No.1ホストの白坂どぬくは、まだ知らない。
今日出会ったひとりのお客さんが、いつか自分のいちばん大切な人になることを。
そして紫木もふもまた、知らない。
自分がこれから、世界でいちばん可愛い笑顔と、世界でいちばんかっこいい横顔を独り占めしたくなることを。
さらに。
たっつんも。
なおきりさんも。
ヒロくんも。
そして、じゃぱぱも、ゆあんも、うりも。
まだ知らない。
今日の何気ない出会いが。
それぞれの未来を、大きく変えることになるなんて。
――これは、No.1ホストがたったひとりの男に溺愛されるまでのお話。
そして。
一目惚れした男と、一目惚れされた男。
真っ直ぐな言葉に照れてしまう、少し生意気なホスト。
優しい言葉に、少しずつ心を開いていくクールなホスト。
四組の恋が、ひとつのホストクラブで動き始めるお話。
――第1話 END――
ここまで見てくれてありがとうございます!!🥹💗
新連載!!
『限界ホストは癒されたい』
もふどぬ & たつじゃぱ & なおゆあ & ひろうり
の4組でお送りします!!
もふどぬ中心でお話を進めていきます!
もふくん、初日からどぬに落ちかけてますね😇
そして、たっつんは相変わらずじゃぱぱにぞっこん!!笑
なお兄は初対面からゆあんくんを照れさせちゃうし、ヒロくんもうりのことが気になっている様子……!
これから、もふくんの独占欲やどぬの照れ顔、たっつんの猛アタック、そしてなおゆあ&ひろうりの恋の進展も書いていきたいと思います!!
まじで、お隣さんには逆らえないの♡がめっちゃ増えて嬉しいすぎます!
この作品でも、♡たくさんください!
応援よろしくお願いします!!
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コメント
1件
この第1話、一気に引き込まれました!もふくんが最初は「帰りたい」って言ってたのに、どぬくんの可愛さとかっこよさにどんどん惹かれてく様子がすごく自然で。特に、クレーム対応のシーンで「可愛いだけじゃないんだな」って思うもふくんの視線の変化が好きです。そして何より、どぬが後ろでもふくんの言葉を思い出して照れてる姿…あれで完全にやられました。四組それぞれの恋の始まり方も違って、これからどう動くのか楽しみです!
#なおゆあ
#からぴち
Pengin-dayo
2,003