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#❤️💙
みら

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どのくらい話していたのか。
気づけば。
窓の外が少しずつ明るくなっていた。
夜の色が薄くなって。
朝が近づいている。
阿部は窓の外を見る。
「……朝」
岩本も時計を見る。
「ほんとだ」
「ずっと話してたんだね」
佐久間が少し驚いたように言う。
誰も眠そうではなかった。
泣いて。
笑って。
また泣いて。
それでも。
全員、まだここにいる。
その時。
宮舘が静かに立ち上がった。
「今日は」
みんなが見る。
「臨時休業にしようか」
「え?」
阿部が聞く。
宮舘はそのまま店の外へ出ていった。
少しして。
いつも店先に置いている看板を抱えて戻ってくる。
「館さん?」
「今日はもう働かなくていいでしょ」
宮舘はペンを持った。
看板の前に座る。
全員が見ている中。
ゆっくり。
大きく。
文字を書いた。
『閉店しました』
「……え?」
阿部が目を丸くする。
「臨時休業じゃないの?」
渡辺も看板を見る。
「涼太、それ閉店じゃん」
「間違えた」
宮舘は平然と言う。
「絶対嘘」
渡辺がすぐ突っ込む。
少しだけ。
笑い声が起きた。
阿部も。
思わず笑ってしまう。
宮舘は看板を見て。
少し考える。
「まあ」
「まあ?」
「今日はこれでいいか」
「よくないでしょ」
渡辺が呆れた顔をする。
でも。
宮舘は気にしていなかった。
看板を壁へ立てかけて。
阿部の方を見る。
「阿部」
「何?」
「俺も」
少しだけ笑う。
「翔太と夢の国に行きたい」
「……え?」
阿部は驚いて宮舘を見る。
渡辺も。
一瞬固まった。
「は?」
「翔太と」
「聞こえてる」
「行きたい」
「なんで今言うの?」
「阿部と目黒が行ってたから」
宮舘はいつもの調子で言う。
「楽しそうだった」
渡辺の顔が。
少しずつ赤くなる。
「……別に」
「行かない?」
「行かないとは言ってない」
「じゃあ行こう」
「決定早いな」
阿部は二人を見ながら。
少し笑った。
すると。
今度は深澤が手を上げた。
「俺も」
「ふっかも?」
「照と行きたい」
「……俺?」
岩本が自分を指す。
「他に誰がいるの」
「いや」
岩本は少し笑う。
「行くけど」
深澤が満足そうに頷く。
「じゃあ決まり」
「決定早いな」
「だって夢の国だよ?」
「うん」
「現実だとさ」
深澤は少し考えて。
「二人で普通に一日遊ぶとか、意外と難しいじゃん」
「……まあね」
「ここならできるし」
岩本を見る。
「手とか繋いでも誰も気にしないし」
岩本が笑う。
「それが目的?」
「それも目的」
「正直だな」
また。
少し笑い声が起きる。
阿部は。
その会話を聞きながら。
不思議な気持ちになっていた。
この世界は。
自分が作った夢。
自分が逃げたくて。
全部忘れたくて。
普通になりたくて。
そう願った結果できた世界。
でも。
今。
みんなも。
少し楽しそうだった。
「俺はな」
康二が突然言う。
「あと三日」
阿部が見る。
「何が?」
「写真集発売」
「……写真集?」
「そう!」
康二の目が急に輝く。
「この世界で撮った写真、いっぱいまとめたんよ」
「いつの間に?」
「ずっと撮っとったやん」
「そうだけど」
「風景も、カフェも、みんなも」
康二は嬉しそうに指を折る。
「九人の写真も入ってる」
「勝手に?」
「ちゃんとええ写真だけ」
「許可は?」
「今取る」
「遅いよ」
阿部が笑う。
康二も笑った。
「でもな」
少しだけ声を落とす。
「あと三日で発売なんよ」
「じゃあ」
阿部が気づく。
「康二、あと三日はここにいたい?」
康二は少し困ったように笑う。
「まあ」
「……楽しみにしてるんだ」
「そらそうやろ」
「自分の写真集だもんね」
「せやで」
嬉しそうだった。
本当に。
「俺もある」
佐久間が言う。
「何?」
「アニメのイベント」
「……」
阿部が数秒黙る。
「それは現実でも行ってそう」
「行ってるけど!」
佐久間が即座に返す。
「この世界のイベントなんだよ!」
「何が違うの?」
「抽選当たった!」
「そこ?」
「めちゃくちゃ大事!」
佐久間は真剣だった。
「しかも前から楽しみにしてたの!」
「いつ?」
「来週!」
「来週なんだ」
「だから」
佐久間は阿部を見る。
「できればそこまではいたい」
「完全に楽しんでるじゃん」
「そりゃ楽しむでしょ!」
佐久間は胸を張る。
「せっかく来たんだから!」
「夢の中なのに?」
「夢の中だからこそ!」
言い切った。
阿部は。
笑うしかなかった。
「俺も」
ラウールが静かに言った。
「ラウも何かあるの?」
「うん」
「何?」
ラウールは少し考えて。
真顔で言う。
「いっぱい食べたい」
「……それだけ?」
「それだけじゃないよ」
少し頬を膨らませる。
「体型気にしないで」
「……ああ」
阿部は納得する。
現実。
アイドル。
モデルの仕事。
体型管理。
食事。
きっと。
気にすることがたくさんあった。
「ここだと」
ラウールは楽しそうに言う。
「何食べても体型変わらないんだよ」
「夢だから?」
「多分」
「それ天使に確認した?」
「してない」
「怖いな」
「でも変わってない」
ラウールは自分のお腹を見る。
「だからもっと食べたい」
宮舘が言う。
「じゃあ今日は好きなもの作ろうか」
「ほんと?」
「何がいい?」
「いっぱい」
「料理名じゃないよ」
「いっぱい食べたい」
「分かった」
宮舘は普通に頷いた。
「分かるんだ」
阿部が笑う。
みんな。
思っていたより。
この世界を楽しんでいた。
宮舘は。
翔太と夢の国へ行きたい。
深澤も。
照と夢の国へ行きたい。
康二は。
自分の写真集の発売を楽しみにしている。
佐久間は。
アニメのイベントへ行きたい。
ラウールは。
体型を気にせず、いっぱい食べたい。
きっと。
他にもある。
この世界だから。
できること。
現実では。
仕事や立場や人の目を考えて。
簡単にはできなかったこと。
阿部は。
少しだけ笑った。
「みんな」
「ん?」
佐久間が見る。
「結構楽しんでるんだね」
「そりゃね」
深澤が答える。
「最初はあべちゃんのために来たけど」
「うん」
「せっかくだし」
渡辺も続ける。
「普通の生活なんて、なかなかできないし」
岩本も頷く。
「悪くないよね」
「……そっか」
阿部は。
少しだけ肩の力が抜けた。
ずっと。
思っていた。
自分のせいで。
みんなをこの夢に付き合わせている。
自分が帰ると決めなければ。
みんなも帰れない。
だったら。
早く決めなければいけないんじゃないか。
そんな焦りが。
少しだけあった。
でも。
宮舘が。
阿部の顔を見て言った。
「だから」
「うん?」
「今すぐ決めなくていいよ」
阿部は目を瞬く。
宮舘は穏やかに続ける。
「帰るか」
「残るか」
「そんな大きなこと」
少しだけ笑う。
「一晩で決めなくていい」
「……でも」
「俺たちも」
宮舘はみんなを見る。
「まだこの世界でやりたいことあるみたいだし」
「いっぱいある!」
佐久間がすぐ言う。
「俺もあるで!」
康二も続く。
「俺は食べたい」
ラウール。
「俺は翔太と夢の国」
「何回言うの」
渡辺が照れる。
深澤も。
「俺も照と行く」
「分かったって」
岩本が笑う。
阿部は。
みんなを見た。
楽しそうだった。
本当に。
だから。
少しだけ。
安心した。
「……じゃあ」
目黒が阿部を見る。
阿部は。
ゆっくり笑った。
「もう少しだけ」
この世界で。
みんなと。
過ごしてもいいのかもしれない。
今すぐ。
答えを出さなくても。
宮舘が。
静かに頷く。
「うん」
「ゆっくり決めればいいよ」
窓の外は。
もうすっかり明るくなっていた。
長かった夜が終わる。
でも。
夢は。
まだ。
終わらなかった。
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おはようございます☁️ 一気に読みました。 最初は少し重いかなと思いましたが 泣いて笑って 最後はこの世界でしか出来ない事やりたい事沢山挙げて笑って 🖤は何だろう 💚一緒に入れれば良いのかな まだもう少しこの世界で楽しむのかな 続き待ってます♪
うわあ…夜が明けて、みんなの「やりたいこと」がぽろぽろ出てくるの、すごく好きだったな。阿部ちゃんが「みんな結構楽しんでるんだね」って気づくところで、私もほっとしたよ。宮舘くんが「今すぐ決めなくていい」って言ってくれて、阿部ちゃんの肩の力が抜ける感じが伝わってきた。夢の中だけど、みんながちょっとずつ自由になってて、それがとても優しい空気だった。続き、ゆっくりでいいから見守りたい…🤍🥀