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-コンコン
その夜、約束通り彼女が僕の病室へやってきた。
「準備できたー?」
「うん、出来たよ。」
「よし、行こ!」
そして僕らは逃げ出した。この窮屈で孤独な病院から。
結局来た場所は屋上だった。外に出ると、大きな宇宙が広がっていた。これは比喩で言ったつもりだけど、本当に宇宙みたいだった。大きな宇宙には星が輝いている。
「うわぁ…綺麗…」
彼女は声を漏らした。
「すっごい綺麗…」
僕も思わず声を漏らした。
そして僕らは、ベンチに座った。二人で、静かに夜空を眺めた。この夜空に名前をつけるならなんだろうねとか、他愛のない会話をしていた。
「私、流れ星になりたい。」
出会った頃から薄々思っていた。この人はよくわからないことばっかり言う。
「え?」
聞き返しても彼女は夜空から目を離さない。
(なんて人間は難しいのだろう。)
そう思いつつも、適当に返事をする。
「は、はぁ…」
「…あのさ。」
これは僕がずーっと言いたかったことだ。それを今彼女に伝える。
「うん、何?」
大きく息を吸い、獲物を捕えるような目で彼女を見つめる。
「君は…何者なの?」
この言葉が正解なのかはわからなかった。でも、本当に聞きたいんだ。今、目の前にいる君に。おかしなことを言う彼女に。もうすぐ死んでしまう星乃明花に!!その時、自分が考えていた言葉にはっと我に返る。
(もうすぐ…死んでしまう…?)
彼女と出会ってから半年は経った。いや、まだ半年あるじゃないか。その半年が早いのかもしれない。けど、こんな元気な彼女がぽっくり逝く訳が無いだろう。
「何者って…どういうこと?」
彼女は可笑しそうに笑う。それでも僕は諦めない。彼女が応えるまで問い続けてやる。
「君は雨を当てた。それに僕の足が治る日も予想した。絶対予感が当たるなんて都合がいいことは無いはず。君は何者なの?」
言葉が息をするように溢れ出る。違う、僕が本当に言いたいことはこれじゃない。僕の言いたいことは_
「君は…どうなっちゃうの?」
僕の声に微かな震えが混じった。