テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
澄んだ空、優しい風、美しい緑
そして地獄のマラソン………
無陀野「今日は基礎体力向上のためにマラソンをする。」
集まった面々が嫌な顔をしながら不満を口に出す。誰だってしんどいマラソンなんかしたくないはずだ。
無人先生が手を叩き静寂を取り戻す。
無陀野「静かに。体力がなきゃすぐ死ぬ。お前らが死なないための訓練だと思え。」
みんなが喉を鳴らす。無人先生の言う通り、体力は生死を分ける大切なものだ。もちろん分かってはいるが…
コースは山の麓を一周するコース。無人先生の淡々とした態度が恐ろしい。
無駄を嫌う無人先生は今すぐ始めようと提案した。俺らは早く終わらせようと思い同意した。
無陀野「では今からマラソンを開始する。」
せーのの合図でみんなが走り出す。
体力を温存する者、初っ端からとばしている者、共に走ろうとする者。各々自分に合ったやり方で走る。
息が切れる。周りも息切れが酷くペースも落ちていた。その中でも俺は遅れている方だった。
そして俺の後ろに1人……
「心臓バクバクしてる…え?これ病気かな?死ぬのかな…」
そう。手術岾ロクロである。先程からブツブツ不安の声を上げている。そしてとうとうその場にへたれこんだ。
ロクロ「むり…むりだよ…」
俺も体力が尽きそうなとこだった。だからだろうか。俺はふと変な考えが頭をよぎった。
「ねぇロクロ。一緒にサボろ!」
ロクロside
恋太郎「ねぇロクロ。一緒にサボろ!」
サボる…?サボ……え?
僕は混乱していた。急に後ろを向いてこちらへ走ってきたかと思えば、こんな提案をするのだから。無陀野先生に怒られるのは目に見えている。
ロクロ「えっと…無陀野先生に怒られるし流石に…」
僕の返事が気に食わないのか頬をプクっとさせる。以前四季くんが“レンには子供っぽいところがあるぜ!”と言っていたのを思い出す。
確かにこれは子供っぽい。
恋太郎「バレないようにちょーっとサボるだけ!だめ?」
彼から圧を感じる。どうしてもサボりたいのだろう。
ロクロ「わ、わかった……」
恋太郎「やった!じゃあこっち来て!」
さっきまでの表情が嘘みたいににっこりと笑う。本当に単純で子供っぽい可愛らしさがある。
彼に手を引かれ森の中へ行く。綺麗な緑が美しい。
恋太郎「ここ綺麗だろ!俺が見つけた!」
ロクロ「へぇ、もしかして…いつもこんなとこ来てるの?」
恋太郎「俺結構探検好きなんだぜ!」
彼の言葉に僕は思わず吹き出した。
やっぱり子供っぽい一面がある。探検だなんてだいたいの人は小学生で卒業だろう。
恋太郎「なんで笑うんだ!」
不満そうな顔をしてきたが、何も怖くない。
ロクロ「ごめんね」
笑いながらの謝罪に説得力など存在しない。
なんだか恋太郎と過ごすと面白い事ばかりだ。
恋太郎「でもそれだけじゃない!訓練しに来てるんだよ。…ん〜?気になるって?仕方ない!俺の新作を見せてあげよう!」
誰も頼んではいないが、 一番にみせてくれるのはなんだか嬉しかった。
恋太郎「いくよ。」
その後彼は血でできたスケートリンクに足を滑らせた。クルクル回る身体が綺麗だ。そしてなんだか今回はしなやかさより力強さが大きい…?
なんだか力が湧いてくる。不安が嘘みたいに消える。
恋太郎は華奢な方なのになんだか誰より力を持っているように見えて。
その青い目に励まされているみたいだ。
「大丈夫」 「ひとりじゃない」
そう言っているみたいだった。
恋太郎「どう!?自信作!」
ロクロ「すごい…!なんか不安が消えて力がみなぎるね!」
恋太郎「よかった!これ、実践で使えそうかなって思って!仲間を鼓舞するみたいな」
ロクロ「いいね。俺はいつも不安だから、恋太郎がいたら俺ももっと役に立てるかな。」
急に恋太郎が黙り込むので恋太郎の方を向いてみる。するととても近い距離で俺のことをじっと見つめている。正直怖かった。
そして恋太郎が俺の両頬へ両手を伸ばす。
恋太郎「…不安なのはダメなことじゃないよ。不安だからこそ慎重に行動できるでしょ?それに誰にだって不安な時はある。」
恋太郎「あの最強の無人先生にだって、不安な時あると思う。」
励ましてくれてるのだろうか。彼の優しさが心に染みた。いつも不安ばかりだけど、それは悪いことじゃないって言ってもらえて俺は少し安堵した。彼の手から頬に伝う熱が暖かくて涙が出そうだ。そっと彼の手を握り返す。
ロクロ「そうだよね…ありがとう」
恋太郎「うん!」
その後、無陀野先生にはめちゃくちゃ怒られたし水鶏に睨まれるって恋太郎が震えていた。
案の定怒られたりしたけれど、楽しい時間を過ごして恋太郎と仲良くなれた気がした。