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夢を見た。アルゴちゃんと、タイルと言う女性と一緒に行った海の夢。
遠い遠い海まで、タイルさんのバイクに乗って3人で行った。久しぶりに見た海は、青く輝いていて美しかった。
私が初めて海に行ったのは父親が死んだ数週間後。父親の死が信じられず海まで1人で探しに行った。その日は天気が悪く、雨が降っていた。 強い波と薄暗い空を見て、父はもう死んだのだと実感した。その日、私は海が嫌いになった。
アルゴちゃん達と行った海は、あの時とは違って美しかった。
「君もおいでよ。ティファニちゃん、だったかな?」
「あぁ、タイルさん。私は見てるだけで十分ですよ、濡れたくないですし」
2人が戯れているのを離れたとこで眺める。しばらくして、私は2人の見えないところに行った。
あの日のように、波打ち際を歩く。濡れないように足元を見て歩いていると、蝶の死骸が流れてきた。
初めて見る赤褐色の羽をもつ蝶。
「海に蝶なんて珍しいな」
波にされるがままの蝶を見つめる。アルゴちゃんは、この蝶を知っているだろうか。
「ティファニー、アルゴちゃんが貝殻見せたいって呼んでるよー!」
タイルさんの声に反応して顔を上げる。適当に返事をし、夢は終わった。
重い瞼を開け、体を起こす。 空は昨夜とは大違いで、青く澄み渡っていた。
蝶に警戒して辺りを見渡す。
「………え」
アルゴちゃんがどこにもいない。
慌てて立ち上がり、辺りを探し回る。どれだけ探しても彼女の姿は無く、青火草の花畑とエボリュの外壁が見えるくらいだった。
呼吸が荒くなり、心拍数が高くなる。
「どこに行ったの……?」
一旦落ち着くためにしゃがみ込み考える。アルゴちゃんは一体どこに行ったのか。エボリュに戻ったのだろうか、でもあそこに戻った所で家は焼けているし、死体が数体あるだろう。それなのに戻る意味はあるのか?もしかしたらヴェリアの方に行ったのかもしれない。もしアルゴちゃんがヴェリアに戻っているのなら危険だ、あそこには蝶が大量にいる。
「はぁ………」
震えるため息を吐きながら冷静さを取り戻す。可能性があるとしたらヴェリアだろうか、もしエボリュに行っていたとしても、ヴェリアに比べたらずっと安全だ。
私はヴェリアに向かう体制を整え、アルゴちゃんを探しに向かった。