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とにかく、乳幼児というものは抱っこおんぶが繰り返ししないと泣き続けるという特徴があった。

朝起きてから、泣く、抱っこ。ご飯だとさわいで、抱っこ。嫌いな食べ物が出てくるとちゃぶ台をひっくり返すお父さんのように食べ物が乗った皿ごとバシンとたたく。


せっかく可愛く作ったにんじんの星型も宙に舞う。

本当の星だったら嬉しいのに皿から口で運ばれずに床にポトンと落っこちる。

何が気に食わないんじゃぁと涙が出そうなくらい悲しくて額に筋が出そうなくらいイライラするのを

おさえて果歩は黙々と落ちた野菜たちを拾う。かろうじて卵は好きなようで、全部食べ切っていた。

離乳食が終わったと思ったら、通常の食事でこの調子。


母は、日々鍛錬。日々修行。

怒りを抑えるのもたまに忘れて感情のままあらわすこともある。


「もう、食べなくていい!!!」


お皿ごと投げられて、ブチ切れた瞬間だった。

疲れてても頑張って可愛いクマさんのお皿に用意した食事。

よりによって、今日は飲み会だと言っていない晃。

比奈子と2人きりの夕飯にちょっとうんざりしていた果歩。

こうやって、頑張って作っても食い散らかされ、食べ物を放り投げる。

食べ物はおもちゃじゃない。食べたくない野菜なのはわかる。


食べたいものだけ食べて投げるのはやめよう。

……と言っても、怒ればギャン泣きされる。

こっちの方が泣きたいよ。

なんだって、どうしたらいいかわからない。


(本当に融通の効かないお母さんだな。嫌いなものばかり出すんじゃないよ。何回投げても気づかないんだから。口で話したら、気持ち悪いって思われるから態度で示しているのになんでわからんのじゃーー)


果歩はかなり真面目人間だ。マニュアル通りに進めないと気が済まない。保健師指導で言われた通りに野菜、お肉、ごはん、味噌汁は必ずと言われたら、嫌いでもなんでも出す。


大人でも絶対これは嫌いという食べ物あるはずなのに、無理矢理食べさせようとする考えを無くして欲しくて、比奈子は何度も訴えている。


維持でも食べてほしいらしく食事メニューは変更するという考えには至らない。

比奈子は諦めも時には肝心だよと言いたくなった。

お互いに頑固な性格だったのかもしれない。

コブラとマングースのようだ。


「もう、わかった。明日、電話して、保健師さんに相談してみよう」


果歩は、食べさせることをとりあえず、やめて気持ちを切り替えた。


(てか、保健師っていうけど結局食べるのは私なんだよね。相談する人間違えてるよ。その保健師さんとお母さん、頭かたくて同じ考えしているから変わらないと思うな……相談するなら私に聞くべきでしょう)


テーブルに固定されたキッズ用の椅子に座って、比奈子はため息をついた。生まれてから、1年と6ヶ月はすぎていた。

まだ、片言しか話せていないが、あれ嫌、これ嫌などと、2語分程度は話せていた。


連日、夜寝る前に、鬼のような読書時間を設けられているせいか言葉覚えは早いようだ。果歩は東大卒業のアドバイスをInstagramで発信してる子育て方法を熱心に見ていた。頭が良くなるには、読書する時間を増やすこと。1日に10冊読むと良いと書かれた文字に反応して、それを真似て頑張っているようだが、比奈子は熱心すぎて逆に右から左にスルーする技を見つけたり、コクンコクンと寝ていることが多かった。


(そんなことしなくても前世は大学卒業してるし、学力は大して変わりないっての。見たことある絵本ばかりで飽きちゃうんだよね)


あくびをして、比奈子は眠りについた。


「比奈子、聞いてる?」


わずか1歳6ヶ月に、長い文字が書いてる絵本なんて読んでいる果歩は、納得できずに本をパタンと閉じた。


「もう、読んでる途中で寝ちゃうんだから。ま、明日でいいか。とりあえず、8冊は読めたからミッションはまぁまぁ達成だね」


食事に関しては食べさせバトルはあるが、寝る前の入眠儀式は割とあっさり受け入れていた。絵本を読むということは非認知能力養うと言われている。

果歩は育児に教育に必死に取り組んでいたが、それ以上に前世の記憶が残っている比奈子は、絵本の内容と言うより、母と一緒に過ごすという空間を楽しんでいた。


絵里香だった頃の幼少期は、一緒に絵本を読むという習慣がなかった。毎日、仕事で忙しくしていた絵里香の母は余裕がなくて、1人で寝なさいと何度も言われ、枕を濡らす日々が続いて、それでも寂しい夜を耐えた。


寝る前に母がそばにいるという温もりに触れて、心が洗われるようだった。本を真面目には読んでなかったが、果歩の腕をしっかり掴んですやすやと眠りついていた。何歳になっても、母と一緒にいるという時間は貴重なんだと転生してから気づいたのだった。


人恋しいと思うのが多いのは幼少期の満たされない何かを埋めたくて誰かがいないと落ち着かないになるのだろうか。


人によっては幼少期の満たされない気持ちが超越して、1人でも全然平気という気持ちになっていることもある。逆にそれは人を寄せ付けないオーラを発する。



人は1人では生きていけない。


人から愛されるには、人を寄せ付けないオーラより人を寄せ付けるオーラを発して生きて欲しいものだ。

日々成長して、まったりした昼下がり、昼寝をしない比奈子を横に果歩は育児書を読み込んだが、明確な答えは見出せなかった。


(だから、目の前にいる私が答えだって言うのに、わからない人だなぁ)


比奈子は、本を読む果歩の背中に乗り、おんぶを迫った。


「はいはい」


と返事しながら、おんぶされてそのまま本を読み続ける。


(その本と私、どっちが大事なのか……)


そんな疑問を抱えながら

毎日を過ごしていた。


果歩が前に資料請求して届いてた

ネイリストのテキストは

ホコリをかぶって本棚の奥の方に

行ってしまっていた。


一時は資格を取って、

自宅でネイリストをしようかと

考えていたが、

こんなに手のかかる比奈子だとは

思わなかったため、

シフトチェンジした。


仕事と育児、バランスの良いように

働けるかが母の役割だ。


育児の難易度が示すことができたら

どんなにいいか。


その子ども次第で母親との関わりを

欲するか欲さないか。


仕事はフルタイムやパートタイムと選べるのに育児にも数値化できるものがあると良いのになと感じる。


そんなものは

親子のお互いの心の問題で

示しようがない。



果歩は義務教育とされる3歳前までは

働かずに過ごそうと決めた。

わがままだって言いたくなる

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