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「ちょっとルティ! アックさまたちが追い付いて来ないのだけれど?」
「えええ? でもでも、こっちも今はそれどころじゃないですよぉぉ!」
「その通りなのだけど、まぁいいわ。後で追い付いて来るでしょ。獣娘もついていることだし、何も心配する必要なんて無いわね」
アックとシーニャが後ろの方で戦っていた頃、ルティたちの方でも戦いが始まっていた。その相手はアックが予想していたとおり、火属性の魔物だった。
しかも次から次へと連なって襲って来る。
初めの頃、ルティはどんなに仲が悪くても一緒に戦ってくれるフィーサとともに調子良く敵を片付けまくっていた。しかし、それはあくまで単体の敵に限るものであり、集団で来る相手には追い付かなかった。
ミルシェは元々ルティに対し好感度が高かったこともあって、支援魔法でバックアップを行っていたがやはり何かが足りない。そう感じた彼女たちが出した結論は、全員一斉での連携攻撃だった。
「……ふん、何故我が貴様たちと連携をしなければならない? 我が認めているのは、我が夫となるアックだけだ。貴様らがやられようと知ったことか!」
ここでの問題は孤高のエルフ族であるサンフィアの協力。それが鍵を握っていた。風の精霊を使えるようになった彼女の協力が得られれば、魔物の群などすぐに排除出来るからだ。
「サンフィアさん、お願いしますです~! アック様からあなたのことは頼まれていまして~」
「何? 我のことをお前に頼んだだと?」
「はい~。ここはどうしても、火属性に耐性のあるわたしじゃなければ苦労する。だからサンフィアさんはとっても苦しい思いをすることになるから、手助けしてやってくれと言ってました~」
もちろんこれは、ルティとミルシェが考えていた作戦。
アックはサンフィアのことを気に掛けてはいるものの、だからと言ってサンフィアのことをルティに頼むことはほぼ無い。その前提があることからミルシェと相談して決めていたことでもあった。
サンフィアの性格上、アックの名前を出すだけでは言うことを聞いてくれない。そのことが分かっていたからこその作戦でもあった。
「馬鹿な……あの男がお前ごときに我のことを頼むというのか? 奴め……我のことをどれだけ見くびっているというのか! 手助けなど無くとも……くっ……」
敵に対してではなく、どちらかと言えば耐えられない熱さに我慢が出来ない。熱さに強いわけでも無いエルフ族のことを知った上での作戦だった。
そして見事に成功する。
「お、お願いしますです! サンフィアさんのご協力があれば、きっと一掃出来ますです!」
「……ふん。我の何が必要となるのか、教えろ!」
「はいっっ!! ではでは――」
多少不安を抱えながら、サンフィアはルティの話を聞くことにした。
「本当に大丈夫なの? 小娘一人だけでどうにかなるほど甘くないなの」
「フフフッ。あなたこそ、どうかしらね? 人化した状態で突っ込んで行くのは簡単でしょうけれど、やはりそれだけでは、大量発生の魔物相手には分が悪いのではなくて?」
「全く、いつ聞いても性格が悪い女なの! こうなったら、小娘と一緒に片付けてやるなの!!」
「ええ、期待していますわよ」
様子を見守っていたミルシェとフィーサは相変わらず不仲。しかし、サンフィアの援護をもらってからの動きに対応すべく、態勢を整えていた。
「よぉおし!! これならきっと全部やっつけられますっ! さぁ、サンフィアさん! お願いしますですっ!!」
「――ちっ、くだらん。だが負けてはいられん……ドワーフのルティシア! しっかり受けろ!」
「はいっっ!!」