テラーノベル
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――ついに、学園祭の日がやってきた。
朝から校内は普段とは、まるで違う空気に包まれていた。
色とりどりの装飾が施された廊下。
あちこちから聞こえてくる呼び込みの声。
教室の前には、それぞれのクラスが趣向を凝らした看板を掲げている。
いつもの学園が、この日ばかりは別の場所になったようだった。
宮舘のクラスの演劇は、2日目に予定されている。
つまり、今日1日は完全に自由だった。
対して、目黒のクラスが出店する執事喫茶は今日が本番。
しかも目黒の給仕当番は、もっとも混雑すると予想されている昼時の2時間。
その話を聞いた時、宮舘は少し心配していた。
❤️「(ちゃんと会えるかな……)」
けれど、その心配はすぐに杞憂だと分かった。
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学園祭前、目黒から渡された一枚の整理券。
🖤『絶対に来て』
そう言って、少し照れながら渡してくれたものだった。
おかげで、目黒のクラスの前にできた長蛇の列を横目に、宮舘は並ぶことなく中へ入れることになっている。
それでも、いざ教室の前まで来ると緊張してしまう。
胸の奥が、どくん、どくんと騒がしい。
❤️「(……目黒、どんな格好してるんだろう)」
期待と緊張を抱えながら、宮舘は入り口の係をしている生徒へ整理券を差し出した。
「こちらへ、どうぞ」
❤️「ありがとう」
案内されるまま、一歩を教室の中へ足を踏み入れた、瞬間だった。
🖤「――お帰りなさいませ、ご主人様」
低く、良く響く声。
聞き慣れたはずのその声が、今日はいつもとはまるで違って聞こえた。
❤️「……っ」
宮舘は思わず、息を呑んだ。
そこに立っていたのは、目黒だった。
黒を基調とした執事服。
きちんと整えられた襟元。
背筋はいつも以上に伸びていた。
その立ち姿には普段の少年らしさとは違う、どこか艶やかな大人っぽさが漂っている。
――そして何より
真っ直ぐに向けられた瞳が、印象的だった。
🖤「……舘さん」
目黒が名前を呼ぶ。
ただそれだけなのに、胸が大きく跳ねた。
❤️「(……頬が、熱い)」
まるで一瞬で火がついたように、宮舘の顔が真っ赤に染まっていく。
❤️「……あ、えっと」
言葉が出てこなかった。
そんな宮舘を見て、目黒はふっと優しく微笑んだ。
🖤「こちらへどうぞ」
そう言って差し出された手を宮舘が恐る恐る取った。
すると、目黒はまるで本物の執事のように美しい所作で軽く身を屈めた。
そのまま、宮舘を店内の奥へ案内していく。
そこに用意されていたのは、どう見ても特別扱いとしか思えない、
――落ち着いた一角の席だった。
❤️「ここ……?」
🖤「はい。ご主人様のお席です」
❤️「……ご主人様って、やっぱ恥ずかしいな」
🖤「今日はそういう設定だから」
そう言って笑う目黒の表情は、少しだけいつもの彼に戻っている。
けれど、宮舘の心臓はまだ落ち着かない。
照れ隠しのように、卓上へ置かれていたメニュー表へ手を伸ばした。
すると、その手の上に目黒の手がそっと重なった。
❤️「……え?」
🖤「メニューは、私がご主人様のために考えさせて頂きました」
❤️「……!」
完璧な微笑みをした目黒は、そのまま一礼すると一旦、宮舘の前から離れていった。
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――数分後。
🖤「お待たせしました」
宮舘の目の前に置かれたのは、ふわりと甘い香りを漂わせるパンケーキだった。
生クリームやフルーツが美しく盛りつけられ、見た目にも華やかにデコレーションされている。
❤️「これ……」
🖤「俺が作った」
そう言った目黒の声は、少しだけ素に戻っていた。
❤️「……いただきます」
宮舘はナイフを入れ、一口分を切り分けると、そのまま口へ運んだ。
❤️「……!」
ふわふわの生地。
口の中に広がる、ちょうどいい甘さ。
クリームやフルーツとのバランスも絶妙で、思わず言葉を失ってしまう程だった。
❤️「……美味しい…!」
漸く出てきた言葉は、それだけだった。
けれど、その一言を聞いた目黒の顔には、ホッとしたような笑みが浮かんだ。
🖤「……良かった」
――その時だった。
🤍「それね、めめが今日のためにすっごく練習したんだよ!」
🖤「……おい!」
隣のテーブルから、ひょこっと顔を出したのは、ラウール。
楽しそうに笑いながら、秘密をあっさりと暴露してしまう。
🤍「何回も失敗してさぁ」
🖤「ラウール!余計なこと言うなよ!」
目黒の顔が、一瞬で赤くなった。
耳まで真っ赤にして、困ったようにラウールを睨んでいる。
その表情は、先程までの完璧な執事とはまるで違い、いつもの少年らしい目黒だった。
🤍「だって舘さん、知らなかったでしょ?」
❤️「……うん」
宮舘はパンケーキを見つめる。
❤️「(俺のために……いっぱい練習してくれたんだ……)」
胸の奥が、じんわりと温かくなった。
今日の日のために、わざわざ練習して準備してくれた。
きっと、自分が喜ぶ顔を想像しながら。
そう考えると、目の前のパンケーキがただの料理には思えなかった。
❤️「目黒」
🖤「ん?」
❤️「ありがとう」
🖤「……うん」
目黒は照れくさそうに笑うと宮舘も一緒になって笑う。
そして、残ったパンケーキを一口ずつ大切に味わいながら、最後の一切れまで綺麗に食べ終えた。
その頃には、目黒の給仕当番の時間も終わりに近付いていた。
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🖤「じゃあ、行こうか」
❤️「うん!」
いよいよ、2人の学園祭デートの時間。
教室を出ようとしたところで、宮舘と制服へ着替えた目黒は、後ろから呼び止められた。
🤍「二人とも、待ってー!」
振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべたラウールが近付いて来た。
🤍「はい!」
ラウールが両手で差し出したもの。
それは、2つの美しいブローチだった。
🤍「これが約束の、お揃いのモノだよ♡」
❤️「……!」
宮舘は思わず目を輝かせた。
丁寧に作り込まれた一対のブローチ。
一つには宮舘の色である鮮やかな赤。
もう一つには目黒を思わせる黒が、気品のあるデザインとしてあしらわれている。
❤️「ありがとう、ラウール」
🖤「すげぇ……めちゃくちゃ良いじゃん」
🤍「でしょ?」
ラウールは満足そうに胸を張った。
🤍「2人がつけることを想像しながら作ったんだから!」
🖤❤️「「……っ」」
宮舘と目黒が、同時に顔を見合わせる。
少しだけ照れくさいけど、嬉しい。
宮舘が黒いブローチを手に取る。
❤️「じゃあ、目黒。つけてあげる」
🖤「え?」
❤️「お互いにつけ合わない?」
🖤「……うん」
宮舘が目黒の胸元へ手を伸ばす。
真っ直ぐになるように慎重に位置を合わせ、黒いブローチをそっと留める。
❤️「……出来た」
顔を上げると、すぐ近くに目黒の顔があって目が合う。
🖤「……舘さん」
❤️「な、何?」
🖤「似合ってる?」
❤️「……うん」
次は目黒が宮舘の胸元へ手を伸ばした。
赤いブローチが、小さく光る。
🖤「……うん。やっぱり似合う」
その言葉に、宮舘の頬がまた少し熱くなる。
――キラリ。
赤と黒のブローチが光を受けて瞬く。
それはまるで2人だけの小さな秘密の証のようだった。
🖤「じゃあ、行こっか」
❤️「うん」
並んで歩き出すと校内には、たくさんの人がいた。
笑い声も、呼び込みの声も、音楽も、あちこちから聞こえてくる。
そんな賑やかな喧騒の中で、宮舘は輝く赤いブローチへそっと触れた。
隣を歩く目黒には、黒いブローチ。
❤️「(……お揃い)」
その事実が、どうしようもなく嬉しかった。
❤️「(……今日は、この後ずっと一緒にいられるんだ)」
放課後に会えなかった寂しさなんて、もうどこにもない。
今はただ、この時間が楽しみで仕方がなかった。
目黒もまた、宮舘を見て小さく笑う。
――赤と黒。
二つの小さな輝きを宿して。
二人は自然と歩幅を合わせながら、賑やかな学園祭の喧騒へと足を踏み入れていった。
#渡辺翔太
クリオネ?
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zetsu.
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#一般人
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コメント
5件
も〜〜ぉ♡ ぜっちゃーーーん🫶💕 本当キュンキュンが止まらないよ〜💓💓💓 🖤の執事にときめく❤️も、❤️の為に頑張ってパンケーキの練習する🖤も尊い…🥰🥰🥰 お揃いのブローチでデートも楽しみ🥰 私も下ネタ書いてる場合じゃねぇわ!わら
🖤のパンケーキ…🤤
あーもう、執事目黒やばかったわ…!「お帰りなさいませご主人様」の声でいきなり持ってかれたよね。パンケーキ練習してたエピソードとかラウールからのブローチのサプライズも、全部が「二人のため」って感じで尊すぎた。学園祭デート、この後どうなるんだろ…続き絶対読みたい🔥