『あくまで彼女役』
注意書きは第一話をご覧下さい。
僕にはずっと好きな人がいる。
それは、幼なじみのいふくん。
小さいころからなんでも器用にこなすあなたに惚れた。
でも、君は僕を恋愛対象として見てくれない。
あくまでも…幼なじみで、“仮の恋人”。
どうしても言いたくても言えない言葉。
それは__
水「……好きだよ、いふくん」
水side
青「よっ、ほとけ、おはよう」
水「おはよいふくん」
学校への登校時間、家が近い僕たちはよく一緒に登校する。
別に約束してた訳でもないけど、家を出る時間が大体同じだから自然とそうなるだけ。
でも、僕にとってこの時間は幸せだった。
青「今日も頼むな、俺の彼女役」
水「ほんとにさ〜、僕がどんな目で見られてるかわかってる?」
青「ほんまに悪いと思っとる!でもめんどいんやもん」
水「まあいいけどさ…」
いふくんは校内の女子からだいぶモテる。
休み時間の度に机は女子で囲まれ、逃げ出すのも困難。
その状況を抜け出すために、いふくんに提案された。
「俺の彼女役になって欲しい」と。
その時の僕は複雑な気持ちだった。
彼女役だけど、彼女になれるのは嬉しかった。
だけどその時、いふくんは僕に恋愛感情を抱いてないんだなって、遠回しに振られた気持ちになった。
けど、あまりにいふくんがお願いしてくるから断れなかった。
『キャーー!!!!!♡♡』
青「ぅわうるさっ……」
水「……💧」
今日も今日とて、彼はモテモテだ。
彼が好きな人の中には、彼だけを見つめてキャーキャー騒いでる女子や、僕のことを睨みつけてくる女子もいる。
正直、ここから逃げ出してしまいたい。
睨みつけてくる女子たちは、コソコソ僕に聞こえるように悪口を言っている。
なんかそっちを気にしちゃって、聞きたくもない言葉が聞こえてしまう。
<稲荷さん、だっけ?いふくんの彼女
<そうそう、幼なじみらしいわよ
<へぇ……ちょっと可愛がってあげようかしら…♪
水「ッ…!」
今、すごく怖い言葉が聞こえた気が…
コンコンッ
「失礼しまーす、稲荷さんいますかー?」
水「え、僕…ですか?」
「そ、ちょっと着いてきて欲しいんだけどいい?」
お昼休み、話したことがない女子たちから呼び出された。
見た感じ、いふくんのファンの子かな。
こうやって自分が呼び出されるのは初めてだった。
なにが目的なんだろう…ラブレター渡して欲しいとかかな?
いやでも彼女(仮)にお願いしないか……。
水「……ぇ、屋上…?」
「そー、話したいことがあってさ」
「……稲荷さん、ここから飛び降りてくれない?」
水「………え」
予想外の言葉を告げられ、間抜けな声を出してしまった。
彼女達の考えがよくわからなかった。
水「ッ…な、なんで……」
「だって邪魔なんだもん、あなたが〇ねば、邪魔者がいなくなるでしょ?」
水「ッ…」
だからってここまでするか普通??
この人たちが異常なのか、それとも僕の知識不足なのか……そんなことはわからない。
……いふくんの彼女になるって、大変だな。
なにかこの状況から抜け出すことは出来ないか考えていると、ひとつ僕の頭に浮かんできた。
水「……もし、逆の立場だったらどうしますか?」
「は?」
水「あなたたちと僕の立場が逆だったら、あなたたちはいふくんの彼女というだけで飛び降りないといけない」
水「あなたたちはどう思いますか?」
「……」
やはり、黙るか。
なにも返す言葉が見つからないのだろう。
「っ……うるさいわね…はやく飛び降りなさいよ」
水「なにも言い返せないんですね、語彙力がなくなってますよ」
「ッッ〜〜〜〜!!!💢💢」
やっばめっちゃ煽っちゃった。
「そうやってあなたがずっと喋ってんのも〇にたくないからでしょ!?」
水「…そうですね、〇にたくありません」
「ふんっ、じゃあ私が落としてやるわよ!!」
水「ッえ…」
ガシッ
水「ッ!」
やば…肩、掴まれ__
バンッ!!
青「ほとけッ!!」
水「いふくっ…」
「いふくん!?」
思いっきり扉を開けて来た彼は、走ってきたのか息切れが激しく、制服も乱れていた。
「なんでここが…」
青「ほとけを呼びに教室に行ったら、お前らに連れていかれたって聞いた」
青「探したんや、学校中を」
青「……で、なにしてるんや?」
水 ゾワッ
低く、ドスの効いた声が響く。
普段は優しい声色で喋るいふくんが、こんなにも低い声で、鋭い目付きで話すのは珍しい。
青「まさか、ほとけを落とすんじゃないやろな」
「…まッ、まさかそんなことするわけないじゃない!」
青「じゃあなんで肩掴んでそんな端に追いやってるんや?」
「ッ…そ、それは……」
いふくんから正論を次々と告げられ、言い返せない彼女たち。
タイミング悪く来た彼に怒っているのか、その怒りを僕にぶつけようと、掴む力を強くしてくる。
爪が長く、鋭いため僕の身体にくい込んでくる。
正直、声が出そうなくらい痛いけど、今は我慢するべきだ。
この修羅場が終わったら保健室にでも行くとしよう。
青「とりあえず、今すぐその手離せ」
青「そして、今すぐ去れ。お前らのことは後で先生に報告する」
青「俺の彼女を傷つけて、タダで済むと思うなよ」ギロッ
「ッ……は、はい」パッ
タタタ…ッ
水「ッ……い、いふく_」
ギュッ
水「!」
青「ごめんッ…ほんまにこんな事になってもうて…!!」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!////
僕今いふくんに抱きしめられてる!?///
大丈夫かな!?さっき爪でやられたとこ血出てそうなんだけどバレてないかな!?
水「…んーん、大丈夫だよ」
水「助けてくれてありがとう…♪//」
青「………なぁほとけ」
水「ん?」
青「……いや、いいや」
水「えーなんで!気になっちゃうじゃん!」
青「いやその前に保健室行こうや」
水「……え??」
青「肩の後ろ血出てる」
水「…」
ば、バレてた…。
「あら〜、制服に血が付いちゃってるわねぇ……」
「1回着替えましょっか、体育着持ってきてる?」
水「えっと……持ってきてないです…👉🏻👈🏻」
だって今日体育ないもんしょうがないよね!?
青「じゃあ俺の貸すで」
水「…えぇッ!?///」
「じゃあそうしましょっか♪」
青「上着だけでええ?」
水「うんっ…大丈夫…!//」
青「わかった、じゃあ取ってくるな」タッ
水「…///」ドキドキ
こ、これっていわゆる彼シャツというのが出来るのでは…!?///
青「__はい、ぶかぶかかもやけど」
水「あ、ありがとう…!✨」
「じゃああそこのカーテンが閉まってるとこで着替えてね」
「先生ちょっと席を外さなきゃ行けなくて、少し離れるわね」
水「わかりました」
水「……覗かないでよ??」
青「覗くわけないやろッ!?//」
水「まー、そんな事しないってわかってるけど♪」シャッ←カーテンを閉じる
青「…この後は職員室に行って、先生に報告しに行くで」
水「はーい」
水「………………あれ、?」
あれ、僕……シャツにがっつり血が付いてて……シャツの下は下着で……
水「!?!?//」
え、このままだと下着の上にいふくんの上着着ることにならない?!
え無理無理無理無理無理無理無理!!!///
いろんな意味で無理!!!
水「はぁッッッ!?⤴」←壊れた
青「どうしたー?」
水「ちょッ、先生!!」
青「おらへんって」
終わったあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!
え無理。こんなこといふくんには絶ッ対言えない。
言ったらもうお嫁に行けない…泣
水「僕もうここから出れない…」
青「なにがあったん??」
水「……ねぇいふくん、どっかの棚にTシャツない?」
青「Tシャツ…?」
青「そもそもこの保健室服置いてないで」
水「なんでだよ」
青「おかしいとは俺も思う」
青「別にTシャツなくても大丈夫やろ」
水「ふざけてんのッッ!?」
水「Tシャツなかったら僕は下着の上に上着着て過ごさなきゃいけないんだよ!?」
水「…………あ゙っ」
青「…………そういうことか…////」
しまった……口を滑らせて全部言ってしまった…////
恥ずか〇ぬって!!!///
青「…とりあえずそれで出てきいや… 」
水「…わかった…///」
水「…///💦」
シャッ←カーテンを開ける
青「……大丈夫や、見た目わからんから」
水「で、でもぉ……////」
水「な、なんかちょっと…す、スースーする……////」
青「っ゙…!!////」
青「…ほんまにッ…」
グイッ ドンッ
水「…!?///」
え、僕今…いふくんに壁ドンされてる…!?///
青「俺も男やねんで?」
青「ちょっとは危機感持てや…///」
水「!//」
も、もしかして……僕のこと…意識、してくれてるのかな…///
水「…」ギュッ
青「!?ちょっ…///」
水「…僕、やっぱり好きだよ……///」
水「彼女役じゃなくて、本当の彼女でいたい…」
水「ダメ…かな…?////」
青「………はぁ…///」
青 ギュッ
水「!」
青「そんなん、良いに決まっとるやん…////」
青「俺も、好きやで。ほとけのこと」
水「ぇ…ほ、ほんと…?//」
青「おん、ほんまやで」
水「…えへへっ、嬉しい…///」
青「でも…いいん?もしかしたらまた、今日みたいなことが起きるかもしれへんし…」
水「いーの、それに…いふくんが守ってくれるでしょ?♪」
青「…もちろん♪」
青「ほとけ、俺の…本当の彼女になってください」
水「…はいっ、よろしくお願いします…!」
青「…じゃあ、職員室行こか」
水「……あと少しだけ…ぎゅってしてたい」
青「…ダメ//」
水「なんでー!?///」
青「ぃや…その……////」
青「っ……とにかく行くぞ!!///」グイッ
水「えぇっ、!?//」
彼女役から彼女へ進化して、これからも充実した日々を過ごせそうです。
おまけ
青「っ……とにかく行くぞ!!///」グイッ
水「えぇっ、!?//」
青(胸が押し付けられてるなんてぜってぇ言えねぇ…!!///)
コメント
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あら青くんちゃんと男の子((誰目線やねん 多分初コメ失礼します!! めちゃ良きで最後でにやけちゃいました!!(