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可愛い💕
「鏡よ鏡、鏡さん…この世で一番美しいのは、だぁれ?」
とある城の一角…
聞き覚えのある台詞が聞こえてくる
「それは、白雪姫です」
こちらも当たり前の様に、お決まりの台詞…
しかし…
「ほんまや…めっちゃ綺麗やん…///」
このお妃様は、何故か鏡に写った白雪姫に見惚れている様子…
「白雪姫かぁ…会いに行きたいなぁ〜。でもなぁ…俺が会いに行ったら、毒殺せなあかんねん…」
目の前のテーブルを見ると、そこには籠に入った毒林檎…
自分が会いに行くという事は…これを、あの白雪姫に食べさせなくてはいけないのだ…
「………」
見た目は、真っ赤に色付く美味しそうなこの林檎…
実は、猛毒が仕込んである
「これ、渡したないなぁ…苦しむなんて可哀想やん…」
あんな綺麗な色白の子に、こんなモノを食べさせてしまったら
青い顔をして苦しんでしまうだろう…
「でもなぁ…一回!一回で良いから、会いたいねん…」
誰に、言い訳をしているのか…
白雪姫に会いたいという衝動が抑えられなかった、お妃は
結局…白雪姫の住む、小人の家に向かったのだった
◇◆◇◆
コンコンコン…
城とは違い、小さな家の扉を叩くと
「は〜い」
ずっと会いたかった、白雪姫が顔を出す
『本物や…///』
「あの…どちら様ですか?」
ただいま、お妃は老婆に変装している為
白雪姫は気付かない…
「おや、これは綺麗なお嬢さん…」
「お婆さん、何かウチに用ですか?小人さん達なら…ランウェイ歩きにパリに行ってたり、ザリガニ釣りに行ってたり、体鍛えるんだってジムに行ったり、勉強するって図書館や…あっそうそう!後2人は…ネットゲームするんだってネットカフェに行ってるのよ…ウチ、森の奥すぎてWi-Fi繋がらないから…」
そう言って…
小人、一人一人の顔を思い出す様にしながら
小首を傾げて教えてくれる
『可愛いなぁ…///』
その仕草に、お妃はすぐ夢中になった
「いやいや…今日は、お前さんに用事があって来たんだよ」
「えっ、私?」
「森に可愛い子が来たって聞いたから…一度、挨拶しておきたかったんだ。そうだ…あんた、名前は?」
「えっと…私は…。今は皆んなに【しょっぴー】って、あだ名で呼ばれてます」
「しょっぴー?それは、良い名前だ///」
「ありがとう。所で…お婆さんが今、手に持ってるのは何?林檎?」
不思議そうな顔をして、白雪姫が聞いて来た
『しまった…!毒林檎、持ったままなの忘れてた…』
白雪姫に夢中だったお妃は
手に林檎を持っていた事を、すっかり忘れてしまっていた
「あっ…!これは、何でもないんじゃよ…」
「とっても美味しそうな林檎…もし良かったら、少し分けてもらえないかしら?あっ…でも私…小人さん達に、お前は包丁を持つなって言われてるのよね…」
困り顔の白雪姫に
「それなら、1つ剥いてあげよう…」
そう言って、白雪姫からナイフを貸してもらうと
毒の入っていない林檎を一つ手に取り、手際よく剥いていく
「出来た。ほら、食べてご覧」
可愛く剥いた、ウサちゃん林檎
それを白雪姫が手に取り、口へと運ぶ…
「うわっ!うまっ!」
目をまん丸にして、驚く姿は
子供の様に愛くるしい
「そうかい?気に入ったなら…もっとお食べ」
残りのウサちゃん林檎も渡すと
嬉しそうに食べてくれる
「あぁ…もうあかん!!こんな可愛い子に、絶対…毒林檎なんて食べさせられへん!!」
心の中で叫んだつもりが…声に出してしまった
その事に、気づいた時には既に遅く…
「毒林檎…?」
白雪姫が、少しだけ警戒を見せる
「あぁ!もう!」
こうなったら、どうにでもなれと
「しょっぴー!!王子やめて、俺にせえへん?絶対、幸せにしたるから!!」
白雪姫に抱き付く、お妃…
「えっ…えぇぇぇええええ!」
急に抱き締められて、慌てる白雪姫…
「渡さん…!絶対!しょっぴーは、誰にも渡さへんでーーー!!」
森の奥…
小鳥の囀りと動物達の鳴き声が聞こえる、のどかな森に…
お妃の…決意の絶叫が、こだました
完
※渡辺君のワンダフルのディズニーの回を見ていて
白雪姫の、お妃が康二君だったら…どうなるんだろう?と思って書きました。