テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「もう、疲れた〜」
ソファーに座ったピンク頭の甘えん坊が
両手を広げて何かを主張している
「はいはい…ちょっと待っててね〜」
俺は、最後の洗濯物をクローゼットに入れ終えると
声の主の居るリビングへ、いそいそと向かって行った
「あべちゃん、ギュッてして〜!」
部屋に入ると
待ってましたと言わんばかりのリアクション
「ほら、ギュ〜!!」
リクエストに答える様に
佐久間の小柄な身体を抱き締めて、ギュッと包み込むと
「はぁ〜温かいし、あべちゃんの良い匂いがする〜」
幸せそうな声が、腕の中から聞こえて来た
「大介…最近、忙しいもんね…新曲もだけど、1人の仕事もたくさんあるし…体調崩さない様に気をつけないと…」
「ん〜」
いつも元気いっぱいの佐久間だが
当然、頑張り過ぎると限界が来る…
だから、そんな時には
こうしてウチに来て、英気を養ってもらっているのだ
「ねぇ…何してたの?」
「ん?大介の服、洗濯してクローゼットにかけてたんだよ。明日帰る時にアレまた着るでしょ?そのまま置いておくとシワになっちゃうからね」
今、佐久間が着ているのは
こうして寛ぐ為に買った、ウチ専用の部屋着だった
柔らかい生地で、サラサラしていて気持ち良いと
嬉しそうにしていたのを思い出す
「そっか…へへっ…ありがと、あべちゃん///」
自分の事を思って、動いてくれる行動が
凄く嬉しくて頬が緩む
「どういたしまして」
ピンク色の髪を指で触ると
くすぐったそうにしながら、笑っている
「んふふ〜♪」
「ご機嫌だね」
「うん♪」
こうして、甘えん坊な面を見せてくれるのは
自分の前でだけだという事実も、俺にとっては凄く嬉しい…
「ねぇ、そういえば…大介、お腹減ってる?カレー作ってみたんだけど…」
「ん〜俺、あべちゃんのカレー好き〜」
腹が減っているのを思い出したのか
足をバタつかせて、アピールするが…
「はいはい、分かった。じゃあ準備して来るから、離してもらって良いかなぁ?」
先程からずっと、自分の腰に回されたままの手に
そっと触れると…佐久間が顔を上げてくる
「えぇ〜離れるのやだぁ〜」
「それじゃあ、カレー食べられないよ?」
「えぇ〜あべちゃんのカレー食べたいの〜」
駄々っ子の様な佐久間の姿を愛しく感じ、困ったフリをして反応を見る
「ん〜じゃあどうするの?このままだと、キッチンに行けないよ?」
再度、質問を投げかけると
「………じゃあさ、良い子で待ってるから…んっ///」
俺を見て…
そっと目を閉じ、ほんの少しだけ唇を尖らせる
これはいつもの、キスの合図
「んっ…」
頬に触れ、ゆっくり唇を合わせるだけの軽いものだが
顔を見ると…照れた様に頬を染めて、はにかんで笑っている
「それじゃ…続きは、食事の後ね…」
そう耳元で囁くと…
「っ…!///」
佐久間の身体が、期待に震え
俺の腕の中で小さく揺れた
完
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!