「ちな、言わないで」
「侑(ゆう)!! 」
「さぁ、最後まで残るのはどのカップルでしょうかー! 」
焦った叫び声は歓声にかき消され、司会者さんの声と共に、となりのカップルが体勢を崩した。
「侑っ、もう降ろして……!」
「動かないで。 動かれると余計に重いから」
「だったらほんとに降ろしてよっ」
侑をこんなに間近で見下ろすなんて、一体いつぶりだろう。
焦りと恥ずかしさで目を逸らそうとした時、ふと鋭い感覚が走った。
(え……)
この感覚は……。
侑とだれかが似ていると思ったことは、前にもあった。
でもそのだれかが頭に浮かんだ途端、激しい 自己嫌悪(じこけんお)に 陥(おちい)る。
(……最低だ、私)
そんなわけないのに。
侑と 佐伯(さえき)が似ているなんて、思ってしまった私は最低だ。
辛くて別に目を移すと、いつの間にかさっきよりも観客が増えて************
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