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夜が明けて、隠れ家の朝
山荘に火が差し込む
まだ眠たげなきりやんの髪にきんときがそっと手を伸ばす
「おはよ♡」
「ん……うわぁぁあ!?ち、近い!」
「寝顔、可愛いくって♡」
「………最悪//」
(でも昨夜はなんだか夢を見ていた気がする…俺が”きりやん”として、誰かに抱きしめられてた夢…)
その夢の続きが今、現実になっているようだった
王宮
事件の後処理を終え、きりやんは再び、”王子”としての生活が始まった
完璧な所作、冷静な判断
誰もが称えるその姿に自分自身違和感を覚える
(俺は……また仮面を被ったんだろうか)
夜、ベッドの中
何度かため息を吐いたその時
窓の外から、コツンと小石の音
「おーい王子さま~♡夜這いかじゃないぞ~純愛だぞ~♡」
「……はぁ!?なんでお前……!」
「そりゃ会いたくなったから♡」
「懲りずにまたお前は……//」
きりやんは目をそらし、でも胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた
一王宮の裏庭、夜の再開
2人きりで話すその距離は、ほんの一歩
「お前が”王子”やってるの見てたら、何もできない俺が悔しくなっさ」
「……」
「でも、きりやんが本当に戻りたいのが、あの仮面なら俺……引くつもりだった。」
「でも違うだろ?…顔に書いてあった。”戻りたくなかった”って」
「……やめろ…っ」
「言えよ本当のこと。俺に隠すなきりやん」
「うるさい……!お前なんかに…俺の何がわかる」
声が震え、感情が溢れ出す。
「俺はいつも期待されて、それに応えて……”王子”として実壁じゃないといけなかった…………でも本当は」
「……怖かったんだ」
「きりやん……」
「怖くて…ずっと、誰にも見せられなくて……」
「でもお前がさらってやるって言った時、俺は……」
その瞬間、抱き寄せられる
「……泣いていいんだよ」
「…っ……!」
涙が止まらなかった。暖かい腕の中で、何もかもがほどけていく
「好きだよ、きりやん。 もうずっと前から」
「きりやんの仮面も、素顔も、全部好き、もう一度言って。“俺を連れ出して”って」
「……っ…きんとき………俺を……」
「連れ出して」
その一言ですべてが変わった
キス、深く、 優しく、何度もお互いの想いを確かめるように
翌日
陽が昇り、王宮の中庭
きりやんがすまして歩いていると、背後から忍び寄る男の影
「おっはよ〜♡昨夜は甘々だったね~♡♡ 」
「やめろ!!!///」
「ねえねえきりやん♡やっぱ俺のこと好きだったんでしょ〜?ねぇ~~?♡」
「は? 俺はっ…ただ逃げたかっただけだし」
「え~~うっそ!くそ照れてたくせに~」
「だからやめろって言ってんだろ!!!//」
「うわかわい~~♡♡」
その様子を見た周囲の兵士たちが、
「あっまた王子が赤くなってる…」
と目をそらす中、きりやんの心の中ではー
(もう逃げない、王子として戻っても俺は”きりやん”で、きんときと、ここにいたい…)
そう確かに、決意していた。