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マリは中学生になっていた。
あの靴の事件から少し変わったようだ。
本質は変わらないが周りを気にするようになった。
不思議な所も変わらなかった。
中学入りたての頃、友達のいなかったマリは昼休みでも一人ノートに漫画を描いていた。
クラスには咲良ユミも居たが、他のクラスメイトとすぐに居なくなってしまっていたので話せずにいた。
そんな時、親睦会なのだろう、入学早々、遠足に行くことになった。
担任が班決めは自分たちで、と言ったのでマリはユミのところへ行った。
「ユミ、一緒の班になろ〜」
にこにこと話しかけるマリに、ユミはにこりと笑っていた。
しかし班決めは自由では無かった。
男女別、代表で三人がじゃんけんをして好きな人を決めていく班決めだった。
何故こんな方法をとるのか…
しかしマリは、ユミと班にまだなれると信じていた。
代表の三人の一人はユミと良く居る友達。
これを機会に私も仲良く慣れたらいいなぁとマリは思っていた。
言わずもがなユミは初めの方に呼ばれて、その子と楽しそうだった。
マリはわくわくしながら待っていた。
しかしどんどん呼ばれる中マリは最後の三人に残ってしまった。
懇願するようにユミを見るが、バツが悪そうに笑っていた。
違う班の人に呼ばれたがマリはそこから動けなかった。涙で視界が揺れていたから。
人生で3度目の惨めな思いをする場面だった。
小学生の時もそうだが、咲良ユミは誰にも嫌われたくない、八方美人の人間だった。
上手いこと流れに乗って、誰が中心的なのかを見定めることが出来る。
だからマリの様な、一人でも楽しんでいるような変わった人間とは、つるみたくないのだ。
自分可愛さで平気で嘘もつく。
勿論相手を選んで嘘をつくが。
そんな人間だった。
マリは漸くユミに好かれていないのだと言うことに気付いた。