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午前9時。

彼は天高く伸びたビルのひとつから姿を現す。

耳にはイヤホンに似た無線機が付けられており、スーツ姿に似合うそれはまるでボディガードのようだ。

まだ朝方という事もあり人々が多く行き交う街路樹下。

彼を見る者はいない。


ピピッ__

『14時に〇〇家に行って欲しい』


無線機から無機質な声が彼の耳に届く。

煉瓦造りの歩道を革靴が踏み締め、溜息を1つ零す。

彼に‪”‬任務遂行中に■しは御法度だ‪”‬と執事は言った。

ただし、任務内容が”‬それ‪”の場合は致し方ないので彼の意思がどうであれ■しをしなければならなくなる。

たとえ‪、その”‬目標‪”‬が仲間だとしても。


ピッ__

「…後ろのはお友達ですかぁ?」


人混みに紛れ、彼を狙う影が1つ。

彼の声に、無機質な音が2回鳴る。


『さぁな』


この業界では、‪”任務が確実に遂行される”と言われる程、彼は信用の厚い人間らしい。

しかし反対に、彼が行動する事を良く思わない人間もいるのは彼自身も知っていた。


「はぁ」


背後から迫る手が、彼のコートに接触するまであと数cm。

周りには大勢の「観客」。

どちらも下手な行動は取れないこの状況で、彼が取る行動は…

▶振り返る


「よ」


路地裏の男がニコニコと笑いながら立っていた。

旧友のように、馴れ馴れしく。

彼は男に、心底呆れたような顔を向ける。


「じゃあ行こっか」


肩を掴まれ、彼は近くのファミレスへと連行される。

無抵抗なその様子に、男は顔を歪めた。



午後12時半。

前の席に座り、呑気に飲み物を頼む男。


「で?」


彼が問うと、男は飲んでいたジュースをコースターに置いた。

結露した水滴が机に落ちる。


「その”無線”、一体誰からのものですかねぇ?」


「はぁ」


片腕を曲げ、下から覗き込んでくる男の目は彼と同様■んでいた。

目が合えば貼り付けたような笑顔を見せる男。

ここに連れて来られた内容を知りたかったのにも関わらず、方向の逸れた返答に彼は違う意味で顔を歪める。

その様子が男にとって面白かったのか、クスクスと笑った。


「いいよ、君が知りたいこと答えたげる」


「どうぞ?」とジュースを手に取り飲みだす男。

何を企んでいるのかわからない相手に、彼は先程よりも警戒心を強めておく。


「アンタは_」

________ピピッ__

『〇〇家に侵入者発見』


突然ガタリと席を立つ彼に、男の表情は変わらない。


「仕事?」


寧ろ、それを知っていたかのように、またあの笑顔を見せた。

彼は目の前の相手が何者なのか、何を企んでいるのか、何が目的なのか。

すべてが謎に包まれたまま、気に食わないまま、


「さようなら」


と、言葉を置いた。











→♡3000






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コメント

11

ユーザー
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本当に毎日の楽しみすぎます、、rdのなんか無自覚な圧っぽいのがこの作品では、より際立っていて滅茶苦茶面白いです!🍀次も頑張ってください😽

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