テラーノベル
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ワシが幸せじゃなきゃ和泉は幸せじゃないなら、ワシが和泉の子供できなくて泣くのはやめようと思う。和泉に子供を持ってほしい気持ちはあるけど、和泉にとって、ワシが泣くことに比べたら子供は「そんなこと」なんだっていうのは、ずっと心の中にとっておく。和泉は、それくらいワシのことが大事なんだ……。
しばらく抱き合ったあと。和泉は、ワシの背中をなでながら言った。
「子供産むって、痛いしつわりもあるし、大変なことだろ? それなのにやりたかったの?」
『大変でも痛くてもやろうと思った、お前のためなら』
「そっか……」
和泉はまたワシを抱きしめた。
「その気持ちだけで十分だよ」
『そうなのか?』
「そうだよ」
そうなんだ……。
.。o○○o。.
それから何日か経って、ある朝。いつも通り朝飯を作って、和泉と二人で食べてた。和泉は、味噌󠄀汁を飲んで笑った。
「朝はやっぱりお味噌汁がおいしいねえ」
『お前、どの具の味噌汁でもおいしいって言うな……』
そんな風に返しつつ、ワシは和泉のおだやかな顔を見ていた。そして、ふと気づいた。
『なあ、お前の幸せはこれなのか?』
「何?」
和泉はきょとんとした。
『こんな風にさ、毎日ワシと飯食って、一緒に暮らして、ずっと一緒にいるのがお前の幸せなのか? 子供がいなくても』
和泉は苦笑した。
「ずっとそう言ってるつもりだよ」
『…………。そうか……』
ワシが思う和泉の幸せと、和泉が思う和泉の幸せは違うんだ……。
ワシの押し付けだったのかな、子供がいれば幸せっていうのは。そうだな、和泉はこれまで子供欲しいって積極的になったことはないもんな。
和泉は、ワシと一緒にいるのが幸せ。それで、ワシが幸せじゃなかったら幸せじゃない。
じゃあ、ワシの幸せはなんだろう?
今、割と幸せだと思う。和泉に優しくしてもらえるし、友達もいるし、好きな食べ物を食べられるし、金も仕事もあるし。
その夜、ワシは隣で眠る和泉を見て思った。和泉は、本当に幸せそうに寝ている。そうだな……ワシは、こんな風に眠るこいつを眺めることが、幸せかもしれない。
笑う和泉、ワシといて喜ぶ和泉。そんな和泉を見ることが、ワシの幸せかもしれない。
#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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コメント
1件
みぅ🤍🥀です。今回の番外編、めちゃくちゃじんわりきました…。千歳が「自分の幸せ=和泉の笑顔を見ること」って気づく流れ、すごく自然で心に染みました。和泉の「その気持ちだけで十分だよ」の優しさも、千歳の「押し付けだったのかな」って内省も、二人の距離が縮まった証拠だなあって。朝の味噌汁のシーンと寝顔の描写、幸せの形がちゃんと日常にあるのが素敵でした。がくじゅつてき・あかげさんの描く静かな温もり、大好きです🤍