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latte
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芙月みひろ
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#溺愛
桜咲かな
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#長編
結愛
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ここ最近本当に気候がおかしい・・・
つい先日、お盆が過ぎるまでは、日傘を刺していても地面に照り返す熱で熱中症になるほどの気温だったかと思えば、急に涼しくなって、大粒の雨がもう1週間降り続いていた
基本、ジェニの会社、メビウスがある大阪南地区は、四方八方運河に囲まれた平坦な土地に街が広がっているため、この地域一帯は常に治水の問題を抱えていた
なので、これほどの大雨が続くと、道路はすぐに冠水し、排水溝や暗渠大阪湾に直接つながっている小川バイユーにも、どんどん水が流れ込んで、たちまち溢れてしまっていた
過去に起こった洪水の死者数は、関西でもトップ地域のこの一帯は、増水した土地を突っ切ろうとした車がひっくり返ったり、流されたりする事故も、相次いでいた
連日降り続く鉄砲水によって、下水道が破壊され、地下鉄の前のマンフォールは水の噴水に押し上げられ、洪水雨量は昼になると、とんでもなく増え続け、台風でもないのに警報が出されていた
社員のスマホの画面が、各地元のJアラートで忙しく鳴っている・・・昼過ぎになると、社員達は電車の遅延速報とにらめっこして、夕方の帰宅ラッシュ時に、どの路線を使えばいいか気にしていて、今日はほとんど良い仕事が出来ないだろうなとジェニは思っていた
「佐々木さんが、5時には正面玄関を閉めるって!」
「みんなも電車の遅延速報とか見て、早めに仕事を切り上げ帰ってね」
ジェニはその日の夕方のスケジュールで、得意先の来月からスタートする、ふるさと納税の和菓子動画広告の、オンラインシステムについてミーティングをする予定が入っていた
初回の顔合わせなので、まずは情報収集が主な目的で、ジェニ自身がその会社に赴むき、今回は商品一つずつの説明を漠然と聞くものになることだろう、なので真紀に作ってもらった叩きの商品ブログラムソースコードをひっさげて、クライアントの要望を一つも漏らさず覚え込むつもりで、ミーティングに挑む決意をしていた
その会社が入っているジェニが目指すビルは、淀川近くの古い工場地帯にあるため、大雨の中、鈴木を走らせて淀川大橋を渡った
ザァザァ降りしきる雨は、ワイパーをマックスにしても視界が悪く・・・まだ5時だというのにあたりは真っ暗だった
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古い建物が多い事で知られる東淀川の工場地域では、昭和時代に建ったような、古い長屋や空き家が立ち並び、ジェニのクライアントの和菓子屋が入っている河川敷付近にある、煉瓦造りのテナントビルのあたりには、すでに大きな水たまりが沢山出来ていた、そして道路によっては徐々に「通行止め」が出始めていた
一瞬ジェニは、雨で水はけが悪い道路を見て、打ち合わせを後日にしてもらおうかと思ったが、それをしてしまうと、ドミノ倒しのような他の案件のスケジュールも大幅に調整しないといけなくなるので、やはり本日、強行突破することを決意した
深い水たまりを跳ね上げ、鈴木を地下駐車場の低層階に駐車した時は、無事に得意先に到着出来てホッとした・・・にもかかわらず、車を降りた時には、あたり一面の水たまりで、靴がかなり濡れた
パソコンを入れたバッグを胸にしっかり抱きしめ、ピョンピョン跳ねて水たまりをよけながら階段入り口に向かう
エレベータの前でくるりと振り向き、このビルの薄暗い地下駐車場を見渡してみる・・・この地下の低層階の駐車場には、今はジェニの鈴木君しか停まっていなく・・・地上階からここに雨がザァザァ流れて来ているような音がする・・・
水たまりはもう1センチほどまで地面を隠し・・・ジェニは一瞬このまま水が浸水してくると、帰る頃には鈴木を発進できなくなるのではないかと考えて、慌ててそのゾッとする考えをどこかに押しやった
―やっぱり地上階のどこかコインパーキングを使えばよかったかな・・・とにかく早めにミーティングを終わらせるしかないわ―
ジェニは急いでレトロで重厚なエレベーターに乗り込んだ
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ふるさと納税に力を入れる、和菓子老舗店は、初めての動画広告にとても乗り気で、ジェニが考えている以上の予算を提示してきてくれた、すっかり気を良くしたジェニは、この予算内だとこんなことも出来る、あんなことも出来ると、沢山資料を見せ、ミーテイングメンバーに熱意的にプレゼンした
和菓子店の広告担当達は、動画広告にとても期待していて、そして打ち合わせが終わる頃には、みんなで硬く握手をし、これからここは良い得意先になるだろうと、久々にジェニは熱い手ごたえを感じた
打ち合わせが終わった後も、仲良くなった動画広告担当の広報の斎藤さんと話がはずみ、すっかり話し込んだ、和菓子を振舞ってもらって、二人の仕事の話から、身の上話に花が咲く・・・その頃にはもう8時近かった
するとこのビルの警備会社からの事務所に連絡がきた、このビルの地下駐車場に水が浸水しているので、駐車場を閉鎖したいとの連絡が入った、警備会社は早く避難させた方が良いと、駐車場に一台だけ残っている水色のラパンの車の持ち主を探していた
「あー!その車、私のです!」
ジェニはノートパソコンを閉じカバンにしまった
「早く車を見に行かなくちゃ、今日伺った事柄については、うちの動画制作クリエイター達に相談して、明日にでもこちらからお電話を差し上げて、ご相談することで構いませんか?」
「ええ、もちろんですよ」
スッキリとした女性らしいオフィススーツを着た、中年の優しそうな雰囲気の斎藤がジェニに微笑んだ
「一度うちにも遊びにいらしてください、動画制作を直かにご覧になったら、もっといろんなクリエイティブなアイディアが浮かぶと思います」
「まぁ、メビウスビルに行けるなんて嬉しいです、色々勉強させてほしいわ、あなたのような優秀な方とお仕事が出来るの嬉しいわ」
「通勤はお車ですか?」
ジェニが聞いた、斎藤は微笑む
「いいえ・・・いつもは電車通勤なんですけど、ほら、この雨で電車がストップしてるでしょ?主人がもうすぐ迎えに来てくれるんです、だからオフィスも私が最後で鍵を閉める事になっていて、すっかりお引き止めしちゃったわ・・・もしよかったら私も一緒に地下駐車場に様子を見に行きましょうか?」
「いえいえ!そんなの私一人で大丈夫です!」
ジェニはハキハキと答え、カバンを抱えた
「それじゃ!!ありがとうございました!」
斎藤が言う
「このビル老朽化が酷くて・・・しかも地下駐車場は地上からかなり深く埋まっているでしょう?もしかしたら駐車場であなたの車水浸しになっているかも・・・駐車場で何かあったら、すぐに警備会社に連絡してね、私も、もう帰りますから」
アハハ「そんなおおげさな、大丈夫ですよぉ~」
ジェニは笑って心配そうな斎藤に別れを告げ、オフィスを後にした
コメント
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今回のエピソード、大雨と洪水の描写がすごく臨場感があって、一気に引き込まれました。大阪の運河やバイユーといった地理的な特徴を活かした世界観の作り込みがリアルで、ジェニの「地下駐車場が浸水したら」という不安がひしひしと伝わってきました。ラストで警備会社からの連絡が入る緊張感、次回が気になります!