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迷路のように入り組んだ廃施設。逃走者たちの荒い呼吸が、冷え切った空気を白く染める。
「……これ、俺しか持ってないのか」
目黒蓮は、手元にある5枚のマップを睨みつけた。そこには施設の全マップと、死のトラップである「防犯カメラ」の設置場所が赤く点灯している。一歩でもその画角に入れば、監視課を通じて「鬼」たちに現在地が筒抜けになる。
『逃走者諸君に告ぐ。施設内のカメラに映れば、即座に位置を鬼へ転送する。マップは目黒のみが所持している。合流を目指せ』
無慈悲なアナウンスが響く。他の4人はマップを持っていない。目黒の元へ辿り着くには、カメラを避け、唯一用意された「安全なルート」を運命に任せて選ぶしかなかった。
「みんな……頼む、来ないでくれ……いや、早く来てくれ……!」
矛盾する願いを抱えながら、目黒は仲間の生存を祈り続ける。
しかし、運命の歯車は無情に狂い始めた。
一人、暗い廊下を必死に駆ける影があった。向井康二だ。
「めめ……どこや、どこにおるん……」
恐怖で視界が滲む。向井が曲がり角を選んだその瞬間、無機質なレンズが彼の姿を捉え、赤いランプが嘲笑うように点滅した。
その情報は、即座に「鬼」へと伝達される。
「……ターゲット、捕捉。佐久間大介、向井康二を排除せよ」
別ルートを索敵していた佐久間の脳内に、強制的な命令が響く。
「嫌だ……やめろ! 行きたくない!」
心とは裏腹に、佐久間の脚は爆発的な加速で向井の元へと走り出した。薬の力で増幅された身体能力が、彼を「殺戮のマシーン」へと変えていく。
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