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stpr 紫赤 様&橙緑 様
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日本語おかしい
5月10日、メイドの日。
配信終わりの通話で、「今日はメイドの日らしいよ」と誰かが言い出した瞬間、こったろの目が細くなった。
「……へえ?」
その声に、coeは嫌な予感しかしなかった。
数時間後。
「なんでちむが、こんなの着てんの……!」
鏡の前で顔を真っ赤にしたcoeが、ふわりと揺れる白黒のエプロンを押さえる。短めのスカートに、フリル。頭には猫耳みたいな小さなカチューシャまでついていた。
「似合ってる」
背後から聞こえた低い声に、肩が跳ねる。
振り返る前に、こったろの手がcoeの腰を引き寄せた。
「っ、近……!」
「逃げるの?」
耳元で囁かれて、coeの呼吸が止まる。
いつもの配信の軽いノリとは違う。
少し掠れた声が、やたら熱っぽかった。
「だ、だって……これ、恥ずかしいし」
「俺は好きだけど」
こったろはそう言いながら、エプロンのリボンを指先で弄る。
ゆっくり、わざと焦らすみたいに。
「……っ」
「顔赤い」
「うるさい……」
からかうように笑ったあと、こったろはソファへcoeを座らせた。逃げようとした膝を自然に挟まれて、行き場がなくなる。
「ご主人様にちゃんとご奉仕しないと」
「そのネタまだ続けるの!?」
「続ける」
即答だった。
しかも真顔。
「ほら、こっち向いてこえくん」
顎を軽く持ち上げられる。
視線がぶつかった瞬間、coeはだめだと思った。
こったろのこういう目を知っている。
本気で、逃がさない時の目。
「……かわいい」
ぽつりと落ちた声に、心臓が跳ねる。
次の瞬間、唇が触れた。
最初は軽く。
でも離れると思ったら、もう一度重なる。
今度は少し長く。
「ん……」
呼吸が混ざる。
こったろの指が腰を撫でるたび、薄い布越しに熱が広がっていく。
「こえくん、声かわい」
「っ、言うな……」
「もっと聞きたい」
唇の端を甘く食まれて、coeは思わずこったろの服を掴んだ。
その反応に、こったろが喉の奥で笑う。
「……だめだよ、煽ってるようにしか見えない」
「煽ってないし……!」
「じゃあ、その格好で俺の膝乗ってるのは?」
「それはこったんが……!」
言い返す途中で、首筋に唇が落ちた。
びく、と身体が震える。
「っぁ……」
「弱いね」
「うるさ…ぃ…」
耳まで真っ赤になったcoeを見て、こったろは満足そうに目を細める。
「今日はメイドの日だから特別ね」
「なにが……」
「いっぱい甘やかしてあげる」
そのまま抱き締められて、coeは完全に黙った。
逃げたいのに、逃げたくない。
こったろの体温が近すぎて、心臓の音まで聞こえそうだった。
「……こえくん」
「なに」
「もうちょい続きしていい?」
至近距離でそんなことを聞かれて、まともに答えられるわけがない。
coeが視線を逸らしたまま小さく頷くと、こったろは嬉しそうに笑って、また唇を重ねた。
部屋の隅では、メイド服のフリルだけが静かに揺れていた。
5月10日、メイドの日。
「……これ、ほんとに着るの?」
部屋のドアからそっと顔を出した如月ゆうは、不安そうに裾を摘まんだ。
黒いメイド服に、白いフリルエプロン。
鏡の前では何回も「やっぱ無理かも」と言っていたくせに、結局ちゃんと着て出てきたあたりが、いかにもゆうらしい。
くにはその姿を見た瞬間、少しだけ目を見開いた。
「……かわい」
「えっ、ほ、ほんとに言ってる?」
「うん」
即答されて、ゆうの耳が一気に赤くなる。
「そ、そんな真顔で言われると困るんだけど……」
恥ずかしそうに視線を逸らしながら、ゆうは部屋へ入ってくる。
歩くたびにエプロンのフリルが揺れて、そのたびに落ち着かなさそうに裾を押さえていた。
「サイズぴったりだね」
「……それは、まあ」
「ちゃんと似合ってる」
「だからそういうの急に言わないで……」
声は小さいけど、怒ってはいない。
むしろ照れすぎて処理しきれてない感じだった。
くにはソファに座ったまま手を伸ばす。
「おいで」
「……ん」
ゆうは少し迷ったあと、素直に隣へ座った。
肩が軽く触れる距離。
それだけで、ゆうの身体がぴくっと揺れる。
「緊張してる?」
「……してない」
「してる顔だよ」
「ぅ……」
図星だったらしい。
くには笑いながら、そっとゆうの髪を撫でた。
「今日、髪ふわふわだね」
「配信前に整えたから……」
「えらい」
子ども扱いみたいな言い方なのに、不思議と嫌じゃない。
むしろ褒められるたびに、ゆうは少しずつ嬉しそうな顔になる。
「ねえ、写真撮っていい?」
「えぇ!? ま、待って、心の準備……」
慌てて姿勢を正すゆうがかわいくて、くには思わず吹き出した。
「そんな緊張しなくても」
「だって変な顔してたらやだし……」
「変な顔でもかわいいよ」
「それフォローになってる?」
くすくす笑い合ったあと、くにはスマホを置いた。
「やっぱ写真あとでいいや」
「……なんで?」
「今は近くで見てたい」
その言葉に、ゆうの呼吸が止まる。
「そ、そういうのずるい……」
「ずるい?」
「急に言うから……」
ゆうはもごもご言いながら、くにの袖をちょっとだけ掴んだ。
離れたいわけじゃない。
むしろ構ってほしいのが見え見えで、くには頬が緩む。
「ゆう」
「ん……?」
名前を呼ぶと、素直に見上げてくる。
その顔があまりにも無防備で、くにはそっと額へキスを落とした。
「っ……!」
「今日のメイドさん、かわいすぎ」
「ぅぅ……」
真っ赤になったゆうは、耐えきれなくなったみたいにくにの肩へ額を押し付ける。
「もう無理……恥ずかしい……」
「でも逃げない」
「……だって、くにお優しいし」
小さく漏れたその言葉に、くには少しだけ目を細めた。
抱き寄せると、ゆうは安心したみたいに大人しく寄りかかってくる。
フリル越しの体温はあったかくて、くにはそのままゆっくり髪を撫で続けた。
(今回のお話がご好評でしたら、ほかの〇〇の日のお話もあげようかなと考えております。全然投稿していなくてごめんなさい。)
コメント
1件

ちょーー好きです!!!
雨彩かなた