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#高校生
第54話 「九州の風」2021年11月。
秋季九州大会。
開催地は長崎。
柳城高校は福岡1位校として出場していた。
目標は一つ。
センバツ出場。
しかし福間監督は言った。
「出るだけなら意味はない」
選手たちは頷く。
甲子園準優勝。
その経験がチームを変えていた。
一回戦。
柳城は鹿児島代表に勝利。
続く準々決勝。
大分代表大分学芸高校との接戦を制した。
ベスト4進出。
これでセンバツ当確と言われる状況になった。
宿舎。
夜のミーティング。
選手たちの表情は明るい。
センバツが近づいていた。
だが福間監督は変わらない。
「浮かれるな」
それだけだった。
選手たちは苦笑いする。
いつもの監督だった。
翌日。
準決勝。
相手は沖縄代表。沖縄首里学園
試合は終盤までもつれた。
だが八回。
塁が自らタイムリーを放ち勝ち越し。
柳城が逃げ切る。
決勝進出。
九州大会決勝。
相手は熊本代表・熊本城南高校。
強力打線を誇る好チームだった。
試合は乱打戦になった。
塁も珍しく苦戦する。
史陽もエラーを一つ記録した。
それでも。
最後は柳城が粘った。
延長十回。
佐伯のサヨナラヒット。
柳城高校 7―6 熊本代表 熊本城南。
九州大会優勝。
選手たちが歓喜する。
秋の九州王者。
それは柳城高校としても久しぶりの快挙だった。
表彰式。
優勝旗を受け取る佐伯。
その姿を福間監督は静かに見つめていた。
帰りのバス。
選手たちは疲れて眠っている。
だが塁だけは窓の外を見ていた。
「どうした?」
隣の史陽が聞く。
塁は少し考える。
「甲子園で負けた時さ」
史陽は黙って聞く。
「全国優勝って遠いと思った」
窓の外の夜景が流れる。
「でも今は少しだけ近づいた気がする」
史陽が笑う。
「まだ遠いやろ」
塁も笑った。
「確かに」
その頃。
東京。
大学の寮。
啓介はスマートフォンで結果を見ていた。
『柳城高校 九州大会優勝』
短い記事。
啓介は画面を閉じる。
そして小さく呟いた。
「順調やな」
それだけだった。
だが、その表情はどこか嬉しそうだった。
数週間後。
センバツ出場校発表。
柳城高校野球部員たちは視聴覚室へ集まる。
運命の日がやって来る。
第54話 終
コメント
1件
読み終わりました!第54話、九州大会優勝おめでとうございます🎉 塁が「全国優勝って遠いと思った…でも今は少しだけ近づいた気がする」って呟くところ、ぐっときました。甲子園で負けた悔しさがあったからこそ、この一言に重みがあるんですよね。史陽との「まだ遠いやろ」「確かに」のやり取りも温かくて、この二人の距離感がとても好きです。 それに東京の啓介が「順調やな」と嬉しそうにスマホを閉じるシーン。言葉少ないけど、ちゃんと柳城を見ているんだなと伝わってきて、胸が熱くなりました。センバツ、楽しみです!