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ある日のこと
カイドウは酒を飲みながら昔のことを思い出し、その思い出にふけっていた。
『あれは34年前のこと…』
カイドウとアルベルはとある島の砂浜であおむけになっていた『ゼェゼェ…なんとか抜け出してこれたなカイドウさん』傷だらけのカイドウを見てアルベルはそう言った。
この頃カイドウは25歳で新世界の研究所で血統因子を抽出されていたがそこにいたアルベルと共に脱走、政府から送られたサイファーポールと戦い命からがら逃げてきたところだった。
『で海に出ると言ってもどうすんだよ』先ほどの戦闘で疲れているのだろうアルベルは下を向きながら呟いた。
『…ウォーターセブン』地平線の向こうを向きながらカイドウはそう言い放った。
しかしカイドウたちはウォーターセブンに行くための情報や食料、ましてや今自分たちがどこにいるのかもわからなかった。
アルベルがそう思い思考を巡らせていたその時、『ほらもっと速く歩かんかえ!』嫌気がさすような声が聞こえてきた。
そこには天竜人が奴隷にまたがる姿があった。
『カイドウさん…』アルベルがその光景を見て呟く、嫌気がさしたのだろう、カイドウはそれを気にせずその場を立ち去ろうとした、しかしすぐ近くに強烈な殺気があることに気づく。
それに気づいたカイドウが振り返った先、そこには金棒をもった男一人が天竜人を睨む姿があった。
見るに齢30後半といったところだろうか、男に気づいた天竜人は男を睨み返し『なんだえ』と言った。
男はそれを聞いていなかったのか『その奴隷を解放しろ』と言う。
天竜人はその言葉を聞いた瞬間激昂し、『畜生は野垂れ死ぬえ!』と銃を乱射する。
しかし、その男はそれを全て躱し、天竜人に向かって走っていく、その瞬間、男は金棒を前に構え、地面を強く蹴った。
『雷鳴八卦!!』『グゴベェェ!!』ズサッ…天竜人はその場に崩れ去り意識を失った。それを見た男は奴隷の方へ行き、奴隷の手錠に触れた、『少し大人しくしろ』そう言い男は目を瞑り、手錠を握った。
(覇気を流しているのか?)それを見たカイドウは疑問を浮かべる。
すると奴隷の身についていた手錠が割れた。
『行っていいぞ』男は言った。
奴隷は男を見て目に涙を浮かべながら何度も感謝し、その場を去っていった。
その時今までそれを見て黙っていたアルベルが声を上げる。『お、お前!い、今、天竜人をブっとばしたよな!?』動揺しているのだろうアルベルは少し声を荒げてそう言った。
それを聞いた男は淡々と『なんだお前も天竜人を支持する人間か』と冷静に言い返す。
『いや、そうではないんだが…』そう言いながらもキョトンとした顔でアルベルはその男を見つめていた。
男はその表情を見て苦笑いし、アルベルの隣にいるカイドウの顔を見上げる。
男はそのまま少し見つめてその後眉をひそめながら少し黙り込んだ。
『あ!』男が沈黙を破る。『お前、カイドウだな!元ロックス海賊団見習いの!政府に捕らえられたと聞いてたがこんな所で何してんだ?』男は目を見開きそう言う。
『脱走した』カイドウはそっけなく答えた。
それを聞いた男は信じられないという表情でより目を見開く、しかしすぐに男は顔を曇らせこう言った。
『ここは政府の監視下だぜ、すぐに逃げた方がいい』それを聞いたアルベルがカイドウを急かす。
『ヤベェよカイドウさん早く逃げようぜ』それを見た男がアルベルを静止する。
『まぁ落ち着け、オメェら行くあてはあんのか?』男はカイドウたちに問う。
『ウォーターセブンだ』それを聞いた男は『島の反対側に港がある行くぞ』と言い走っていった。
カイドウたちも慌ててそれに着いていった。
アルベルが空を見上げると日は沈み、空には星がでていた。
港に着いたころには日が上り夜が明けていた。
戦闘した後に徹夜で走ったせいかアルベルはもう今にも倒れそうだった。
『おい、空いてる船が一隻あるぞ』男がそう言ったときにはカイドウたちはもうその船に乗っていた。
そしてカイドウたちは密かに港を出た。
カイドウ船頭で朝日を見ていた、一方アルベルは疲れて船底で寝ているようだ。
ふとカイドウが振り返ると少し後ろで港まで同行した男が朝日を見ていた。
『なぜお前も乗っている?』カイドウは男を見てそう言った。
それを聞いた男は『俺、天竜人ブっとばしちまったからもうこの島にゃいれねぇんだ』と笑いながら言った。
それを聞きカイドウはまた前へ向き直る。
その時カイドウの目が何かをとらえる。それは3隻の軍艦だった。
そしてすぐに誰の軍艦かもわかった、海岸だ。男も同時にそれに気づく。
男がそれを見ていると男は真ん中の軍艦の船頭に誰かいることに気づいた。
その時、男が口を開いた『セグノ少将…!2億の賞金首を討ち取り、少佐から少将へと大出世した海軍の新星じゃないか…!』海軍本部少将セグノ、氷を纏った剣を使うことから「氷剣のセグノ」の異名をとる。
『ぅおぉい!』カイドウが叫ぶ。
『なんだ!』男が反応する。
『アルベルを起こしてこい!』とカイドウが怒鳴った直後、『アルベルって誰だよ?』と男が聞き返すのでこれには少しカイドウも呆れて『下で寝てる白髪の野郎だ』と言った。
それを聞いた音は急いで船底へと降りていった。
カイドウはまた前を向き3隻の軍艦を見つめた。
その時、こちらを認識したのだろうか、セグノが自分のことを睨んでいるのにカイドウは気づいた。
カイドウもすかさず睨み返す。
と後ろから、『どうしたんだ、カイドウさん!』と声が聞こえた。
そこにはアルベルが目を擦りながら男と一緒に走ってきた姿があった。
アルベルは前の光景を見て目を見開く。
『あれは海軍!?』その時、ビュン!ズザザー…『セグノ…!』男が険しい表情をして呟く。
『お前らの航海はここでお終いだ、そして特にお前だ、天竜人を侮辱したな?』セグノは男を睨みながらそう言った。
そしてセグノがいきなり男に切り掛かった、男は金棒を構えそれを受ける、しかしまだセグノの攻撃は続く。
あたりに激しい金切音がなる。
それをしばらく見ていたカイドウはこう叫んだ。
『お前はそいつをやれ、俺は少し暴れてくる』それを聞いたアルベルは『ちょ、ちょっとカイドウさん!』と叫ぶ、同時に『おい、お前!』と男は叫んだ。
その瞬間、突如セグノはアルベルに切り掛かった。アルベルは刀を抜きそれを受け止めたがセグノの剣圧が強く押し飛ばされた。
しかしそこに男が飛び込みながら金棒を振りかざす。
しかしセグノはそれを躱した。
『クソ…』男が呟いたその瞬間セグノの剣が眼前に迫っていた。
(まずい受けきれん…!)男が目を瞑った瞬間、カキン!アルベルがセグノ剣を受け止めていた。
しかしそれはほんの時間稼ぎにしかならずアルベルはまたしも押し返される。だが、男にとっては十分な時間稼ぎだった。
男はその時すでに金棒を前に構えていた。セグノの表情から余裕がなくなる、その刹那、『雷鳴八卦!!!』キィィン!『ガッ…』その瞬間セグノはあおむけに倒れた。
アルベルは目を見開き、『信じられない』と呟いた、それと同時に前方の3隻の軍艦が爆発した、カイドウが青龍の姿になり戻ってくる、倒れた姿のセグノを見てカイドウは『よくやった』といい船に降り立った。
それを聞いた男とアルベルは倒れ込みそのまま眠りについた。
翌日、先に起きたのは男だった、水平線からは日が上り、星がまた沈もうとしている。
カイドウは昨日と変わらず船頭に立っていた、遅れてアルベルも起きてきた。
アルベルは男を見るやいなやこう言った『オッサン!昨日はすごかったな!』男は『お前もな』と微笑みながら返した、その時、空からなにか落ちてきた。
『手配書だ!』アルベルがそれを見て叫ぶ。
空から落ちてきた3枚の手配書にはそれぞれこう書かれてあった。
カイドウ懸賞金17億8900万ベリー、アマガサ懸賞金3億6100万ベリー、謎のルナーリア族1億9000万ベリーと、これを見たアルベルが『お前、アマガサっていうのか!』 と叫ぶ、それを聞いたアマガサは『おうっ!これから少しの間よろしくなっ!』とこたえた。
『カイドウもよろしくなっ!』とカイドウにも声をかけた。
これを聞きカイドウは少し微笑みこう叫んだ『おめぇら!目指すはウォーターセブン!行くぞぉぉ!!』『おう!』
これから始まるのは後にカイドウの左腕と呼ばれる男の物語である。
第一話 完