どうして流れ星が落ちたのか。

私見だが、これらの点は宮沢氏が生前に執筆し、死後出版された『注文の多い料理店』の存在に起因するものと推測される。当該作品は童話であり、子供を対象とした作品であることから、宮沢氏は自身の作風を変化させることで世間の反応を観察していたものと思われる。その結果として一部の読者からは高い評価を得たものの、一般大衆からの共感は得られなかったようだ。そのため、宮沢氏は自らの創作物に一定のリアリティーを付与するための手法を模索する必要性が生じ、『注文の多い料理店』を執筆したのではないかと考えられる。

以上の理由から、今後、宮沢氏の作品が発見される可能性は極めて低いと思われる。しかし、宮沢氏の遺品の中には彼が生前に書いた日記が含まれていることが確認されており、そこには今回の一件に関する重大な事実が記されている可能性が高い。そこで、以下にその全文を掲載する。

一九四五年八月二十日 今日は暑い一日だった。朝早く起きて、畑に出る準備をしている時、ふっとあの人のことが思い浮かんだ。今頃何をしてるだろう……。そう思ったらいても立ってもいられなくなって、俺は家を飛び出していた。まだ薄暗い道を駆けていく。汗が流れ落ちて気持ち悪いけど、そんなことは気にならなかった。ようやくたどり着いた目的地――そこは小さな教会だった。教会の扉を開けると、中には誰もいなかった。祭壇の前に腰掛けて待つことにした。しばらくすると足音が聞こえてきた。誰か来たみたいだけど……どうせなら一緒に祈ろうと思った。でも入ってきた人は俺を見るとすぐに逃げてしまった。何だよ！ せっかく会えたのにさ。どうして逃げるんだよ？ ちょっとだけ追いかけっこをしたけれど、結局捕まえられなかった。仕方ないから大人しく祈ることにする。祈りながら思い出すのはやっぱりあの人のことだ。ああ神様、どうかお願いします。もう一度だけでいいんです。どうかあの人に会わせてください。きっと何か理由があるはずなんです。だからお願いします。神様。神様。神様。神様。神様。神様。神様。神様。神様。神様