テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ねぇ、貴仁さん」
「うん、なんだ?」
スーツ姿からラフな服装に着替えた彼が、こちらに顔を向ける。
「さっきのミルクちゃんって、どんな気持ちで子どもたちを見てたのかなって」
「そうだな……」と、彼が顎に片手を添える。
「いい弟と妹ができたと感じていたんじゃないか?」
「ふふ、そうかも……」他愛のない私の話に付き合ってくれる彼が、無性に愛おしく思えて、今さらながらにこの人と結婚できた喜びをしみじみと噛みしめる。
「ねぇ、貴仁さん……」
「うん? 今度は何だ?」
ソファーの隣へ腰を下ろした彼の耳元へ唇を寄せ、
「あのね……大好き」
囁きかけると、目の前で耳が仄かに紅く染まった。
「君は、まったく……」
赤くなる顔を片手の平で覆い隠して、低く呟いた彼が、
「君は、私を、まったくどこまで好きにさせたら……」
なんて口にするものだから、ますます愛しさが募ってたまらなくなった……。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!