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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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コロスコロスコロス。
アイツ等、よりによって白川さんを撃ち抜きやがった。
相手の狙いは、どう見ても“目立ってしまった”俺達だろうに。
だというのに、最初の一手で明らかに関係ないプレイヤーを狙って来た。
俺達の戦闘を見ていたのなら、彼女を警戒するのも分かるが。
けど“倒したい”という確たる理由がある以上は、初手で俺達三人の誰かを狙って来る筈なのに。
調子に乗るなとでも言いたいのか、それともその場のノリか。
どっちでも良いけど……とにかく、全員生きては帰さない。
「援護するよ、二人共」
インベントリからアンチマテリアルライフルを取り出し、その場に伏せながら構えた。
仲間二人は、何度も賞金首と戦った影響なのか……凄く強くなった。
グレーは相変らずの安定感を残しつつも、以前より本気で挑んでいるのが分かる。
位置取りから、“あえて”攻撃をその身で受けるタイミングまで、全て仲間の為に動いているのだと遠目で見ているとよく理解出来た。
まさに、頼もしい“タンク”。
そして出っ歯でさえ、シロさんに合わせて速度重視のステータスに割り振った結果。
これに慣れようと、とにかく練習を繰り返したのだろうって分かるのだ。
前みたいに身体のバランスを崩す事も無いし、何よりあのテンション高いお調子者が。
今は無言のまま敵の周りを走り回り、手にしたハンドガンで反撃しつつ注目を集めている。
ヘイト管理をその身一つでこなし続ける“スプリンター”。
ここにシロさんが加われば、更に凄い事になるのだが……今の戦場は、俺達だけでも充分に戦えると思える程に頼もしい。
「一人目」
声を出してから引き金を引けば、相手の狙撃手の頭が吹っ飛んだ。
本来こんな銃で人間を狙撃する方がおかしいのだが、今はそんな事どうでも良い。
全員、粉砕してやる。
レバーを引いてデカい薬莢を排出してから、全体を監視していく。
狙撃手が居なくなり、援護が無くなった事で随分と現場の人間が慌てている。
後衛はさっきの一人か? なら。
「二人目」
出っ歯を止めようと飛び出した重装備に対して、これまた一発。
防弾ベストを貫いて、身体にデカい穴が空いたのが分かる。
装弾してから続けざまにもう一人。
「これで三人。残り4」
『ナイスだクロ! 出っ歯、聞いたな!? 残ってるのは恐らく目の前の奴らだけだ!』
『了解だ! 確実に行くぞ! 誰に喧嘩を売ったのか……その魂に刻み付けてやろう!』
二人から頼もしい声が聞えて来た。
グレーの乱射により、相手はろくな行動を起こす事が出来ず。
その間に急接近していく出っ歯。
今の動きは、それこそ6keyと撃ち合った時を彷彿とさせる程丁寧で、尚且つ真剣そのもの。
あの時ほどテンションが高くないのは、二人共怒っている証拠なのだろう。
例えルールに乗っ取った試合だったとしても、傷付けた相手が悪かった。
俺等三人の内誰かが攻撃を受けたのなら、ここまで真剣にはならなかった筈だから。
多分俺等三人の共通認識。
変に特別扱いして、所謂“姫プレイ”をしている訳では無いにしろ。
もうシロさんは俺達のパーティメンバーであり、“守るべき存在”である事には間違いない。
出っ歯にとっては隣に並ぶスプリンターであり、彼女の影響を大いに受けた結果更なる高みを目指し始めた。
この影響で、アイツはこれまで以上に楽しそうに戦場を走り回っているのが分かる。
グレーだってそうだ。
前までは囮役が一人だった上、ソイツがお調子者のガンナーだからこそ、一緒にふざけている雰囲気が強かったのに。
今では二人になったかく乱役、そして前に出る両者が真剣だからこそ。
コイツ等は自分が守るんだって強い意思を感じるくらいに、恐れる事無く敵陣に突っ込む。
その身を盾にしたって、絶対に仲間達を傷つけられる事態を避けようと飛び出していくのだ。
最後の俺にとっては……彼女は、色んな意味で“特別な人”だから。
そしてそんな人を初手で傷付けた奴等を……いつもみたいに、笑って許せる筈が無かった。
所詮はゲーム。
そうだったとしても、本気だからこそ頭に来る事だってあると言うものだ。
「もう一人減らす、残り3」
今一度引き金を引いて、遠方の相手を撃ち抜いてみれば。
このタイミングでグレーが思い切った前進。
物陰に隠れていた相手に対して、必要以上に銃弾の雨を浴びせた後。
『一人キル! 残り2! リロード!』
『了解した! 任せろ、時間を稼ぐ!』
近距離で2対1の状況に陥った出っ歯は、それこそその場で踊る様に派手な動きを見せた。
こういう時だけは、あの無駄に長い上に派手な色のロングコートが役に立つ。
どうしたって視線は派手な色を追いかけてしまうし、思わずそちらに銃口を向けてしまうのだろう。
しかしながら低姿勢で走り抜けるのと、時たまそこら辺の足場を使って派手なターンを見せる出っ歯。
つまり彼等の視線が一番追ってしまうのは、派手に揺れ動いた結果“靡くコートの裾”。
だからこそ、いくら撃とうがその場に彼は居ない。
これを認識する前に、出っ歯が相手に急接近し。
『ゲーマー女子を大事にしないプレイヤーには、死を!』
おかしな事を言いながら、相手の顔面に飛び蹴りをかましたではないか。
とはいえ、少々派手な行動を取り過ぎだ。
着地のタイミングを、残った一人から明らかに狙われている。
「出っ歯! 伏せ――」
『無理やりにでも走り抜けて下さい!』
此方が警告を飛ばすよりも先に、無線からは“シロさん”の声が響いた。
コレはゲームだからこそ、ダメージが回復すればすぐに前線に復帰できる。
それは分かっているのだが。
思わず、スコープはその声の主を確認しようとしてしまった。
すると。
『せいっ!』
フリーで残っていた一人に対して、物凄い速度で急接近した小さな影。
彼女はそのまま飛び上がり、それこそさっきの出っ歯みたいな飛び蹴りをかましたかと思えば。
『貫け!』
グリッと足を捻り、彼女のブーツからはパイルバンカーと呼べそうな棘が突き出した。
シロさんが知り合いから貰ったと言っていた、あのブーツ。
本来は地面や壁に突き刺す為であろう杭が、相手の顔面に襲い掛かった。
結果、敵はとんでもない攻撃を受けて戦闘不能。
すぐさま棘を引っ込めたシロさんは着地と同時に走り出し。
彼女から警告を受けた出っ歯も、どうにか着地と同時に駆け抜けた。
先程蹴っ飛ばした相手を飛び越し、そのまま急反転して戻って来ると……。
出っ歯のキックを受けて転倒していた相手が起き上がると同時に、駆け付けたスプリンター二人が前後からハンドガンを押し付けたではないか。
そして。
『死ね、貴様等は俺を怒らせた』
『私の勝ちだ』
シロさんと出っ歯から一発ずつ貰って、最後の一人もその場に倒れた。
もはや映像に残しておきたいと思ってしまった程、格好良いトドメだったと思える。
なんだけど……さっきの、シロさんの台詞。
非常に聞き覚えがある。
心の何処かで、6keyへの疑いがまた一歩確信に近付いた気がしたのだが。
『うおぉぉぉぉ!? 今の、最後スゲェ格好良かったじゃん! 出っ歯にしては珍しく決まってたし、シロさんもかっけぇ! 高速スプリンターコンビ、滅茶苦茶絵になるぞこれ!』
『ふへぇ~……やぁっと追い付いたのに、最後見逃しちゃったじゃん! ねぇ誰か録画してないのぉ!? 私も見たかったぁ!』
現場の方は、グレーとナナさんが騒がしい声を上げているのであった。
とはいえまぁ、何とかなった。
今は、それで良しとすべきなんだろうけど。
やっぱり……6keyの正体は――
『クロさん、お疲れ様でした。そちらも無事……ですよね?』
「……え? あぁうん、平気。シロさんもナイス、格好良かった」
『ヘヘ……綺麗に決まって、ちょっと気持ち良かったです』
無線から聞えて来る声は、いつも通りの彼女。
この違いを見ると、やっぱり別人なんじゃ……なんて思ってしまう程、緩い声を聞かせてくれる訳だけども。
でもまだ、確信という程じゃない。
かなりの条件が揃っていたとしても、“決めつけ”は思考を曇らせるって兄貴からも教わっているし。
だからこそ、頭を振ってから皆の元へと合流を急いだ。
色々と思う所は多かったりするけど……でも。
この五人でイベントに参加出来たら、どれくらい活躍出来るんだろうって。
素直に、そんな事を思ってしまった。
そして何より……きっと、凄く楽しそうだなって。
コメント
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おおっ、第117話読了!シロさんが初手でやられた怒りがチーム全体に伝染してて、普段のお調子者・出っ歯が無言で戦う姿にグッときたわ。クロの狙撃もめっちゃ冴えてたし、「ゲーマー女子を大事にしない奴には死を」は笑ったけど、直後にシロさんがパイルバンカーのブーツで決める流れは痺れるね!6key疑惑も少しずつ確信に変わってきて、この5人でイベントに出たらどんだけ強いんだろうって想像しちゃう熱い回だった🔥