__綾辻探偵事務所
コンコン
アンティークな雰囲気の部屋に、軽快なノック音が響く。
鳥打帽を被り、遮光眼鏡をかけた青年の横には、人形のような少女がいる。
少女はノックをした人物が入ってくる前に、地下へと続く階段へ姿を消した。
__地下室 紗雪side
今日もあの人は来る。
任務だから、先生は特一級だから、仕方ない。
私も元々そうだった。
辻村さんは影の子と私、先生に深月を頼んだわ、と言われた。
未だ配属二年目だろうに、先生のところに来るとは、少しかわいそう。
お気に入りの”日本国機密書類”に目を通しながらそんなことを考えていた。
紗雪:…?今日は上が騒がしいわね。……少し行ってみようかしら。
__一階
短いヒールが階段をうつ音が響く
木でできたドアノブを回し、右目を閉じて入った。
深月:ですから…!
紗雪:こんにちは。深月さん。
深月:え….綾辻先生、真逆誘拐して…
綾辻:違う。
紗雪:自己紹介が遅れました。私は辻本紗雪。年齢は…今は10歳ほどです。
私が自己紹介をしたが、彼女は困惑の表情を隠せない。
それもそうだ。なんて言ったって、私の背格好は、どう見ても年不相応だから。
急に出てきたと思ったら、小さな少女が、まるで、自分より年上のような言葉遣いをするのだから。
無理もないだろう。
これには訳があるのだけれど……今は必要ない。
綾辻:久しぶりだな。
紗雪:そうね。2週間ぶり?
綾辻:あぁ。
深月:あの…?先生、この子は….
綾辻:君の先輩だ。
深月:……は?
綾辻君はいつも言葉足らず。
それを補うのも私の役目だったけど……今は、ね。
紗雪:先生、相変わらずの言葉足らずですね。
深月:……?
紗雪:すみません。私は元内務省異能特務課長官の辻本紗雪です。
深月:辻本長官….!もしかして、あの最年少長官の….!
紗雪:そうです。今は異能d((
綾辻:その話は必要ない。
紗雪:…そうでした。
綾辻先生は、私が昔の…9年前のことを語るのを嫌う。
それもしょうがないと言えば、しょうがないのかもしれない。
私の過去は________
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!