テラーノベル
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砂漠を歩き始めて、三日目だった。
「……まだ?」
死にかけの声で呟く。
喉は乾くし、足は痛いし、景色はずっと変わらない。
砂。
空。
砂。
空。
たまに変な黒い影。
「もうそろそろ着くよ〜」
先を歩くらっだぁが気楽そうに返す。
その軽さに若干腹が立った。
「三日前からずっとそれ言ってないすか⋯」
「言ってたっけ?」
「言ってました」
らっだぁがあははっと笑う。
その時。
ふわっ、と。
風の匂いが変わった。
砂煙の中に、甘い花のような香りが混ざる。
らっだぁが足を止めた。
「――見えてきたよ」
その一言を聞いて前を向く。
そして、言葉を失った。
砂漠の空。
そこには、“街”が浮いていた。
「……は?」
空中だった。
巨大な島みたいな街が、空に浮かんでいる。
無数の建物が上下逆さまの地面に連なり、滝みたいに光が流れている。
青白い植物が空中を漂い、見たこともない鳥が輪を描いて舞い飛んでいた。
空と街の境界が曖昧だ。
まるで、
世界そのものが夢みたいに歪んでいる。
「……何これ」
呆然と零す。
らっだぁは、その反応を楽しそうに眺めていた。
「ようこそ、次の世界へ」
風が吹く。
その瞬間、
ゴォーン……
街の何処かで、鐘みたいな音が鳴った。
低く。
重く。
世界全体が軋むような音。
同時に、
街の奥で、“何か”が目を開いた気がした。
ぞわり、と背筋が冷える。
「⋯あれもエンティティ?」
らっだぁは少しだけ目を細める。
「うん。かなり強いね」
軽く言う。
思わず顔を引き攣らせる。
「え、入って大丈夫なんすか」
「たぶん」
「たぶん⋯?」
らっだぁが笑う。
「人間が居る世界の方が珍しいからね、この辺は」
「……は?」
流れるように恐ろしいことを言われて身が竦む。
「この“はてしない世界”には、無数の平行世界がある。でも、人が住める世界はほんの一部だけ」
歌うように言葉を続けるらっだぁ。
「大半は、エンティティが巣食ってるんだ」
らっだぁは空に浮かぶ街を見上げる。
碧い瞳が、静かに細められた。
「ここも、もうだいぶ喰われてるね」
その言葉と同時に。
――ギチッ
遠くで、何か巨大なものが動く音がした。
街の影が、ゆっくりと蠢く。
息を呑んだ。
あの街は、生きている。
いや、
“何か”に侵食されている。
「……マジで帰りたい」
らっだぁは吹き出した。
「まあまあ。死なないよう頑張ろ〜」
軽い。
軽すぎる。
けれど、
らっだぁはもう歩き始めていた。
空に浮かぶ異形の世界へ向かって。
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コメント
5件
通知こなかったんですけど…??てらーさん?? 歌うように言葉を続ける ……もうだめだ叶わない… 本物の小説家なれますって(?)
空に浮かぶ街…見てみたい… ぐちつぼが振り回されてる感あるなぁ…w