願い始めて暫くたつが、一向に何も出てこない。
失敗か…と思い顔をあげようとすると、頭にコツンという衝撃がきた。
上を見てみると鉛筆が降ってきていた。
「え?」
そう、降ってきているのだ。
削られてない新品の鉛筆が。
「なんでだよ!!」
思わず汚い言葉が口から出たが、それは良いとして、フフッという笑い声がその場に響いた。
悲しそうな顔でこちらを見ていた女性が同い年くらいの少女の姿で無邪気に笑っていた。
『おもしろい。』
少女が初めて口を開いた。
初めて声を聞いたはずなのによく聞いてるような懐かしさを感じる声に、なぜか泣きそうになった。
少女は続けて、
『きっと鉛筆か、書く物を願ったんだろうけど新品がこんなにくるなんて。』
と言い、口を開けアハハと笑った。
彼女の悲しさが含まれた顔以外を見るのはもちろん初めてのはずだった、けれども懐かしかった。寂しかった。
ここで、夢で、寂しい等という気持ちになるのはもちろん初めてだ。
けど、空白が少し埋まってる気がした。
空白なんてないはずなのに。
『あなたは、おもしろくなかった?』
と、少女が聞いてくる。
それよりも、なんでと言う気持ちが強かったと言おうとしたとき、目の前がパッと明るくなった。
そこは、自分の部屋の布団の中だった。
ここまで!
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