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「 知らない夜 」
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風間 「腹減った〜」
白宮 「…流石にお腹すきましたね」
余村 「ね、あともうちょっとだから!」
「……」
何故か俺は、コイツらに連れられてる
生徒会長の家に泊まる…らしい。
俺は泊まりたくなんてなかったけど、半ば強制だ
余村 「よし! 着いたぞ」
「……」
…意外と、普通…なんだな。
豪邸かマンションだと思ってたのに。
風間 「嶺二! ここが生徒会長の家だ。覚えとけよ〜?」
「…黙れ」
余村 「まあまあそんな事言わずに。
さあさ、入って入って」
生徒会長に無理やり家に入れられる
…玄関も、そんなデカくねえ。
白宮 「……ちゃんと靴綺麗に揃え…」
「……」
風間 「…うお、」
「…あ? んだよ」
天城 「意外と靴綺麗に揃えるんだ〜って思って」
「それが普通だろ。」
風間 「…いや、普通だけど嶺二がやるとは思わなかった」
「……失礼だろ」
天城 「ね〜、もっと吹っ飛ばすかと」
「誰がだ」
生徒会長が俺の方をジッとみて言う
余村 「……家、ちゃんとしてたんだね」
「……」
空気が止まるのが分かる
余村 「ごめんね悪くして。ほらみんな入って!」
「……」
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生徒会長の家
静かで綺麗。生活感もある。
棚…本…ブランケット…ソファー…
「……」
普通だ。
なんか変だ
生徒会長なのに、強そうでもないし偉そうでもない
……なんなんだ、こいつは。
余村母 「あら〜! お久しぶり〜!」
「……!」
風間 「お! 余村の母ちゃん!!久しぶり〜!!」
天城 「こんばんは〜!」
白宮 「お邪魔してます。」
葛西 「…こんばんは」
「……」
母…ちゃん…?
誰のだ。…いや待て、
ここ、生徒会長の家だ。当たり前だろ、親くらいいる。
なのに、…なんで当たり前のことに驚いてんだ俺。
余村 「お母さん、今日みんな泊まるからね」
余村母 「分かってるわよ! 皆の布団出しといたわ!」
風間 「流石」
「……」
俺も泊まる前提なのかよ。
余村母 「……あら?」
生徒会長の母親が俺のことを見る
余村母 「初めまして…よね?」
余村 「1年の嶺二くんだよ」
「……(構」
生徒会長の母親が笑う
余村母 「そうなの〜! かっこいいお名前ね!
よろしくね!」
「……」
かっこいい…?
言われたことなんて無かった。
「……」
風間 「どうした?」
「……お邪魔…します。」
余村母 「ふふ、どうぞ〜」
何者だ、こいつ。
こいつもてっぺんか何かか?
余村 「やっぱり。嶺二くん、礼儀正しいね」
「……普通だろ」
風間 「礼儀正しいのは偉いことだぞ、嶺二」
俺、偉い事してるつもりなんてないけど
「……」
風間 「なんだよ無視かよ〜」
余村母 「あ、ご飯あるから荷物置いて食べちゃって〜!」
白宮 「ありがとうございます」
葛西 「お腹空いた…」
皆がリビングに荷物を置いて、椅子に座る
「……」
俺は…端でいいか。
風間 「あ、おい嶺二は真ん中な」
「は? なんでだよ」
余村 「いいから! 真ん中ね〜」
なんだ、こいつら。
余村母 「今日はオムライス! ほらどうぞ!」
余村 「ありがとう! じゃあ皆食べようか!」
皆(嶺二以外) 「いただきます」
「……」
…オムライス…… 昔よく食べてたっけ。
風間 「うま!」
葛西 「美味しい…」
「……」
皆美味しそうに食ってる…
白宮 「…嶺二は、食べないの?」
「……」
余村 「僕のお母さんのご飯美味しいよ〜?」
「……」
俺はスプーンを持ち、一口食べる
「……!」
美味い… 美味い…!
余村母 「口に合ったみたいで良かった!」
白宮 「勢い良く食べると喉に詰まるよ」
「……」
俺は思わず手を止める
オムライスを見る
ケチャップ…卵…
暖かい。
……
昔はよく、食べていた気がする。…誰かと
でも思い出せない
「……別に」
もう一口食べる
美味い。
……なんか腹立つ。
思い出せるようで、思い出せない。
食ったこと、あるはずなのに…
余村母 「足りなかったらおかわりあるからね〜」
「……いらない……っす。」
風間 「遠慮してんのか?」
「……別に」
風間 「じゃあ食えよ」
「…これが、…俺の普通。」
空気が止まる
生徒会長が俺の方を見て言う
余村 「…嫌じゃ、なかった?」
何がだ
飯か? 家か? 空気か?
分かんねえ。
…でも
「……普通」
余村 「…そっか」
生徒会長が笑って言う
余村母 「……」
余村母 「そっか〜、じゃああとで食べられそうだったら食べてね」
「……」
風間 「……余村んちのオムライス久しぶりだな」
白宮 「…ですね、前は確か…」
葛西 「カレーライス。」
天城 「よく覚えてるねなるくん」
「……」
なんだこいつら。
残すな って、言わないんだな。
余村 「……!」
「……」
…やっぱり、美味い。
余村母 「……(微笑」
天城 「ご馳走様でした〜! 美味しかったよ余村お母さん」
余村母 「あら〜、それならよかった!」
余村 「美味かった… 皿洗い手伝うよ」
余村母 「ありがとう!」
風間 「あ、じゃあ俺も」
白宮 「その前に口の周り拭いてください」
「……」
…不良校の1番強え奴とは思えねえほど、
とても、…平和だ。
余村 「……嶺二も、皿洗うからこっちにおいで」
「…自分で洗うからいい。」
俺は流しに行き、自分の食べた皿を洗う
白宮 「…意外…だ」
「…………人様の…迷惑にならないように…って……アイツが言ってたから。」
「……!」
口が滑った…! 思わず話してしまった
「今のは…!」
空気が悪くなるのが分かる
…なんでいつも俺は、口を滑らすんだ…
風間 「……人様の迷惑にならないようにって気をつけるの、すげえな〜!」
葛西 「…人の事、大切にしてる証拠じゃないかな。」
「……!!」
…俺が…人のことを大切にしてる?
アホ言うな。
「…んなこと…!」
余村 「……あると思うよ。嶺二くんはね」
「はあ!?」
余村 「嶺二くんも、いつか自分で思うと思うよ。
「俺人大切にしてる」…ってね!」
「……意味わかんねえ。」
余村 「そう?」
生徒会長が皿を洗いながら言う
余村 「嶺二くんが言う アイツ が、大切な人じゃなかったら、その人が言った言葉なんて覚えてないよ」
「……」
余村 「嫌いな人の言葉って、…いつかは忘れるから」
「……!!!」
違う。
…違う。
これは違う。
覚えてるんじゃない
忘れてないだけだ。
……そうだろ
余村 「…嶺二くん?」
「……知らねえ」
俺は洗い終わった皿を少し強めに置いた
風間 「おい、割るなよ〜?」
「割る訳ねえだろ」
余村母 「ふふふ、ちゃんと洗ってくれてありがとう!助かったわ!!」
「……!!!! べ、別に…」
そこでまた止まる
「ありがとう」……
まただ。
なんなんだ、今日は。
怒られない 残してもいい 皿洗って偉いって言われる
……普通じゃねえ。
でも、
……嫌では、…ない。
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風呂が終わり、皆で寝室に来た
風呂では風間…が強制的に 「皆で入ろうぜ」と言って強制で入らされた。
風間 「どうだ? 楽しかったろ〜!」
葛西 「皆でお風呂に入るって、こんなに楽しいんだね」
天城 「ね!! 嶺二くんはあんまりだと思うけど……」
「……!?! あ、あんまじゃねえ…!」
余村 「じゃあ、楽しかったんだ〜」
「………黙れ!」
……嫌では…無かったけどな。
風間 「否定、遅かったけどな〜?」
「うるせえ」
白宮 「否定する時は、大体本音だよね」
「違う」
天城 「じゃあまた入ろう! 皆で!」
「入らねえ」
葛西 「……でも、さっき笑ってたよね。
風間がシャンプー目に入って騒いでた時。」
風間 「お〜い、言うなよ」
「……笑ってねえ」
余村 「そっか」
生徒会長が布団を敷きながら言う
余村 「じゃあ明日も笑わないようにしないとね」
「…意味分かんねえ」
余村 「うん」
布団が並ぶ。距離がとても近く感じる。
誰かの声がする 誰かが笑ってる 天井が見える
静かだ。
……変だ。
こいつらはとても騒がしくて、うるさいのに、
何故か落ち着く。
風間 「嶺二どこ寝る?」
「端」
風間 「却下〜」
天城 「真ん中〜」
白宮 「逃がさないよ」
葛西 「……こっち、おいで。」
「……なんなんだお前ら」
結局俺は真ん中になった。
今日は何故か真ん中になる事が多かった
電気が消える
暗い
…なのに、怖くない。
……
寝る前、ふと思う
今日は誰にも怒鳴られなかったし、誰も機嫌悪くなんてならなかった。
誰も俺の事を責めもしなかった。
こんなの、
……こんなのなんて、……知らない。
……知らない、夜だ。
コメント
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読んだよ〜「知らない夜」! 主人公、無理やり連れて来られたのに「普通」って何度もつぶやく感じ、すごく刺さった。オムライス食べるところ、本当は懐かしくて温かいのに「別に」って言っちゃうのもわかる。余村くんのお母さんの「ありがとう」で固まるところ、もうね…こっちがじーんとしちゃったよ。 「普通」を探してる主人公の心情がすごくリアルで、読んでて優しい気持ちになった。続き、すごく気になる!
52
歌大好き!
78
#異世界
あのち
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