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#山中柔太朗
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学校では、相変わらず勇斗の周りに人が集まっていた。
女子から声をかけられ、男子からも誘われる。
誰にでも優しく、どんな話にも笑顔で応じる。
それなのに、どこか一線を引いているようにも見えた。
ある日の昼休み。
勇斗は、女子たちに囲まれていた。
俺は少し離れた席で、柔太朗たちと話していた。
❤️「仁ちゃーん、勇斗のこと見てた?」
💛「えっ?」
❤️「いや、ずっとそっち見てたから」
💛「見てないって!」
💙「舜太、からかうなや!」
🤍「……でも、勇斗って不思議だよね」
💛「不思議?」
🤍「みんなに優しいけど、誰にも本当のことを話さない感じ」
太智がうなずいた。
💙「確かに。恋愛の話とか、絶対しないしな」
❤️「聞いても『秘密』って言うだけ!」
俺は、勇斗の方を見た。
女子の一人が、何かを尋ねている。
勇斗は笑って、首を横に振った。
その表情は、やっぱりどこか遠かった。
放課後。
俺は教室で、先生に頼まれたプリントを整理していた。
気づけば、教室にはほとんど人がいなくなっていた。
窓の外は、夕焼けに染まっている。
💛「……あれ、もうこんな時間」
急いで鞄を持つ。
廊下に出ると、階段の踊り場に人影があった。
🩷「…終わった?」
💛「……勇斗?」
勇斗が壁にもたれて立っていた。
💛「まだ帰ってなかったの?」
🩷「うん」
💛「待ってたの?」
🩷「……まあね」
💛「どうして?」
勇斗は、少しだけ視線をそらした。
🩷「一緒に帰ろうと思って」
その言葉に、胸が跳ねた。
💛「……そっか」
二人で校門を出る。
夕暮れの道は、朝とは違う顔をしていた。
遠くで鳥が鳴いている。
田んぼの向こうに、オレンジ色の空が広がっていた。
💛「……この時間、好きかも」
🩷「夕方?」
💛「うん。こっちに来てから、こういう景色を見ること増えたから」
勇斗は、静かに笑った。
🩷「……仁人、こっちの生活に慣れてきたね」
💛「うん。みんなのおかげ」
🩷「……そっか」
少しの沈黙。
そのあと、勇斗がぽつりと言った。
🩷「俺は、仁人が来てから、帰り道が少し楽しくなった」
思わず、勇斗を見る。
💛「……え?」
🩷「今までは、ただ帰るだけだったから」
勇斗は前を向いたまま続けた。
🩷「誰かと話しながら帰るのって、いいね」
💛「……俺も」
勇斗がこちらを見る。
💛「勇斗と帰るの、好きだよ」
言った瞬間、顔が熱くなった。
勇斗は、しばらく黙っていた。
そして、小さく笑った。
🩷「……俺も好き」
その声が、夕暮れの風に溶けていく。
坂道の途中に、小さな自動販売機がある。
勇斗はそこで立ち止まった。
🩷「何飲む?」
💛「え?」
🩷「奢るよ」
💛「いいの?」
🩷「うん」
仁人は少し迷ってから、いちごミルクを選んだ。
勇斗は、炭酸飲料を買った。
二人で並んで座る。
遠くに海が見える。
💛「……きれい」
🩷「でしょ」
💛「勇斗は、ここによく来るの?」
🩷「たまにね」
💛「一人で?」
🩷「……うん」
仁人は、少しだけ勇斗の横顔を見た。
🩷「ここに来ると、何も聞かれないから」
💛「……何を?」
勇斗は、ペットボトルを握ったまま黙っていた。
🩷「……俺が何を考えてるのか、とか」
仁人は、何も言わなかった。
勇斗は、みんなに好かれている。
でも、誰にも見せない顔がある。
そのことを、少しだけ知った気がした。
💛「……俺は、聞いてもいい?」
勇斗が、こちらを向いた。
🩷「え?」
💛「勇斗が何を考えてるのか。知りたいって思ったら、聞いてもいい?」
勇斗は、しばらく仁人を見つめた。
そして、ゆっくり笑った。
🩷「……仁人なら、いいよ」
その言葉は、夕暮れの空よりも、ずっと淡くて優しかった。
その日の夜。
柔太朗から、勇斗にメッセージが届いた。
🤍「最近、仁人とよく一緒にいるね」
勇斗は、スマホを見つめた。
少し考えてから、返信する。
🩷「そう?」
🤍「うん。朝も一緒だし、帰りも待ってるでしょ」
勇斗は、思わず笑った。
🩷「……よく見てるね」
🤍「勇斗のことだからね」
しばらくして、もう一通。
🤍「仁人といると、楽しそう」
勇斗は、画面を見つめた。
そして、短く返信した。
🩷「……うん」
送信してから、スマホを伏せた。
窓の外には、夏の夜空が広がっている。
勇斗は、今日の帰り道を思い出していた。
「勇斗と帰るの、好きだよ」
あの言葉が、何度も頭の中で繰り返される。
🩷「……ずるいな」
小さくつぶやいて、枕に顔を埋めた。
その頃、仁人もまた、同じ言葉を思い出していた。
勇斗が笑った顔。
並んで歩いた帰り道。
夕暮れの風。
明日も、また一緒に帰れたらいい。
そんなことを考えながら、仁人は目を閉じた。
まだ、恋とは呼べない。
でも、確かに何かが始まっていた。
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コメント
3件
更新ありがとうございます🙏🏻 続ききになるぅ🥹
みぅ🤍🥀です 夕暮れの帰り道、自動販売機のシーン、めちゃくちゃ好きです。勇斗が「俺は、仁人が来てから帰り道が少し楽しくなった」って言うところ、胸がぎゅってなりました。あの、誰にも見せない顔を見せるって特別なことですよね。仁人の「知りたいって思ったら聞いてもいい?」っていう問いかけもすごく優しくて、二人の距離がゆっくり縮まってる感じが伝わってきました。次の話も楽しみにしてますね🌙