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「大丈夫。」と答えたが実際は真逆だ。
「ありがとう…ございます…。許してくれますか…?」
思わず私は「いやいや、そんなわけないから…(笑)」と言いそうになったが、口をつぐんだ。
「別に大丈夫です。」
私は誰もいない屋上でぼんやりと景色を眺める。
いつもと同じ風景。いつもと同じ人。
少し前までは助けて欲しかった。
でも今は助けて欲しくない。
助けるなら最初から助けろって話…(笑)
グラウンドを眺める。所々地面の色が濃くなっていた。
はは…、雨かぁ…(笑)私って本当不運だよなぁ…(笑)
私は屋上から落ちていく。落ちていく瞬間はスローモーションに感じた。周りの人達が全員遅れているように思える。 地面が近い。
「え…?」
女性が私を抱きかかえている。
「ごめんなさい…。私、染宮なのかって言うんですが…。」
それ以前に困惑と怒りが隠せなくて、「なんで…ですか…?」と私は言う。
「あ…、それは後で説明しますから…!雨がかなり降っていますので私の家へ!」染宮なのかと名乗る女性は焦りながら言う。
「ごめんなさい、結構です。」止まない雨。止められない雨。
「でも…!」必死に彼女は訴える。
「とりあえず今は…!」
「とりあえずってなんですか!!」体も勿論、心もビショビショだ。
正直なところ、突然すぎて言っている意味が分からなかった。
「ごめんなさい…。幸せになって欲しいんです。」
「今更幸せなんか無いって…!」 北風が寒い。寒い寒い寒い。
「私は幸せになれたんです…。一旦で良いんです…!」
「…。」
今考えるとなんでOKをしたのかは分からない。
彼女のその一言に惹かれる何かがあったのだろうか。
と、染宮さんに会った日のことは置いておいて、夕飯を食べることにしよう。
「染宮さん、夕飯食べます。」