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episode #3 start
┈
長尾謙杜side
おかしいって思ったのは、
朝起きた瞬間やった。
「……だる」
体、重い。
頭も、ぼーっとする。
熱測ったら、
37.8。
「……微妙」
大丈夫やろ、って思って
リビング行ったら。
「謙杜?」
一瞬で気づかれた。
「顔赤い」
「声も変」
近づいてきて、
おでこに手。
「……熱あるな」
「ちょっとだけです」
「ちょっとでも熱は熱」
即、
ソファに座らされる。
「寝とき」
「大丈夫ですって」
「大丈夫じゃない顔してる」
有無を言わさへん感じ。
でも声は優しい。
(……誘拐犯の圧じゃない)
┈
気づいたら、
自分の部屋のベッド。
「え、ここまで……」
「無理せんでええ」
布団、
ちゃんとかけてくれる。
「喉痛ない?」
「……少し」
「待ってて」
数分後。
スポドリ、
ゼリー、
解熱剤。
「……用意よすぎません?」
「体調崩す可能性は想定内」
「なんで」
「謙杜、冷え性っぽいし」
(……そこまで見てたんや)
「……大吾くん」
「ん?」
「俺、誘拐されてますよね?」
「せやで」
即答。
「……看病まで込みなんですか」
「当然」
迷いゼロ。
「攫った以上」
「最後まで責任持つ」
——その言い方。
冗談みたいやのに、
妙に頼れる。
┈
昼過ぎ。
熱、上がってきて
頭ぼーっとして。
「……さむ」
小さく言ったら、
すぐ。
もう一枚、
毛布足される。
「……あの」
「なに」
「ずっとここにいる必要ないですよ」
言ったら。
大吾くん、
一瞬だけ困った顔して。
「……離れたくないだけや」
素直すぎる。
「……それ」
「はい?」
「反則です」
「知らん」
椅子引いて、
ベッド横に座る。
スマホ触りながら、
でも目線は俺。
「寝てええからな」
「……大吾くん」
「ん?」
「俺が寝てる間に」
「なんかされるとか」
一瞬、
空気止まる。
「……それ」
少し低い声。
「すると思ってる?」
「……」
「せえへん」
はっきり。
「謙杜が」
「嫌なことは」
その目、
冗談じゃない。
「……俺は」
少し間。
「謙杜に」
「ちゃんと好きになってもらいたい」
——胸、
きゅってなった。
(……ずる)
顔、
熱のせいだけじゃなく
赤くなる。
「……大吾くん」
「ん?」
「それ、誘拐犯の言葉じゃないです」
小さく笑う。
「せやな」
「でも」
「俺は誘拐犯で」
「それ以外は本気」
頭、
そっと撫でられる。
優しい手。
「今は」
「治すことだけ考えよ」
そのまま、
視界がぼやけて。
——寝落ちる直前。
(……なんで)
(……この人のそば)
(……落ち着くんやろ)
そんなこと考えながら、
眠りに落ちた。
┈
episode #3 finish
𝐍𝐞𝐱𝐭…❤️💛𓈒 𓏸