「はっ、はっはっ…」
まずい!非常にまずい!旅の途中、美味しそうなきのこに気を取られ、取ろうとしたのはいいものの、まさか巨大魔法獣の縄張りだったなんて思いもしなかった。
後ろからは白い狼のような大きな魔獣が勢いよく追いかけてくる。口を大きく開け、よだれを垂らし私に向かってくる。周りは薄暗い森で人影は無く、このままだと本当に食われる!!
「あっ!」
まずい…!!岩に引っかかり地面にこける。すぐに体制を立て直し、逃げようと魔獣の方に顔を向けると、
もう目の前に大きな口と大きな牙があった。
死ぬ!!死んじゃう!!
目を強く瞑り、体を縮こませた。
痛く…ない?
もうとっくに食われていてもおかしくないはずだった。なのに何故か痛くない。あぁ、なるほど。死んだら痛みも感じないのか。
目が覚めると明るい場所にいた。暑くも寒くもなく、ただ明るい場所。
体の輪郭も感じられず、自分がどんな状態なのかも分からなかった。
「ま、まずい…!!」
へ?人の声が聞こえる…??
「本当に申し訳ないです…!殺す人を間違いましたわ…」
え?間違えた?殺す人…?
「戸惑うのも無理ありませんわね…。そう、貴方は死んだのです!」
え?あ、やっぱり?死んだんだ
「ですが…すみません、手違いで貴方を呼んでしまいましたわ…」
え?手違い??
「すみません…!!本当は貴方じゃなかったのに…!」
え、そんなことあります?手違いて、
「うぅ…ですが、焦ることはありませんわ!貴方を転生させて差し上げますので!」
え?転生?いや、ちょちょ
「大丈夫ですわ!次の人生はイージーモードにしてさしあげますので!」
え?イージーモード?ちょ、ちょい
「よし、大体設定も決まりましたわ」
「それでは、いってらっしゃいませ〜!」
え?え?ええええ??
「ああぁぁぁ!!」
ここ…どこ?寒い…。涙が止まらない…。
「おい、お前。」
お前?!お前?!口の聞き方がなってない!!
「泣くことしかできないのか」
なんか知らないけど喋れないの!!
「…家にくるか?お前」
だーかーらー!お前って呼ぶな!!
「そうか、来るか」
言ってねぇよ!!
そうして、私のイージーモードな人生は始まった…はず。
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