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フラムとの模擬戦を終えた進。
焚火に前に、マリーとレッドカーネーションのみんなと夕食を取る。
「ススム君―――」
「さっきはいきなり模擬戦を申し込んで悪かったね。」
相変わらず、フラムさんは紳士的な態度だ。
優しい人なんだな―――
「いえ、全然大丈夫ですよ。」
「オレの方こそいい戦闘訓練になりましたし―――」
皆でワイワイと食事を取って賑やかな中、フラムさんに切り出した。
「フラムさん、そろそろ教えてください。」
「何をだい?」
「今回のクエストには何かあるんでしょう?」
「ただの新しいダンジョンを発見しただけならこんなにいくつもパーティに協力を要請するはずがないです。」
「ハハハ、確かにそうだね。ススム君はいいところに気が付く。」
「ごまかさないでくださいよ!」
進はフラムの応答に少し不機嫌になる。
「いやぁ、悪い悪い。」
「ススム君には本当のことを話しておこう。」
思いついたような顔のフラム。
そして、少し顔が険しくなる。
「実は今回調査に行く新たに発見されたダンジョンを調査するのは、僕たちが初めてじゃないんだ。」
「2週間ほど前にBランクのパーティが調査に行ったんだが、そのパーティは戻ってこなかった。」
「生死不明ってやつさ。」
「それで今回の大規模クエストですか―――」
「まぁ、ギルドマスターには僕からお願いしたんだけどね。」
「その生死不明のパーティには僕の親友もいるんだ―――」
「ということは、その親友の捜索も兼ねてってことですか―――」
進はフラムの思惑が腑に落ちる。
「簡単にはくたばる奴じゃないからもしかしたら遭難しているだけかもしれない。」
「前向きですね。」
「もう死んでいるんじゃないかって思わないんですか?」
「ああ、僕はあいつのことを信じているから―――」
フラムさんは遠い目をしながらそう云った。
「夕食も取ったことだしもう寝ようか。」
フラムがそう切り出す。
しんみりした雰囲気が嫌だったのかもしれない。
皆がそれぞれテントに入る。
「あっ、そういえばオレたちテント一つしか立ててないな―――」
マリーは女の子だし、流石に一緒のテントに寝るわけにいかないだろと思っていると―――
「マリーちゃんはススムちゃんと寝るの?」
「女の子なんだから私たちのところで一緒に寝ようよ。」
そう提案してくれたのは、レッドカーネーションのエリアさんだった。
その提案はオレとしてもありがたい!!!
「ススムさんがもしいいなら一緒のテントでも大丈夫ですよ。」
止めてくれ、そんな子犬のような目でオレを見ないでくれ。
進は少し困り顔になる。
いつもはクールに徹しているつもりの進もこういうことには果てしなく奥手だった。
「エリアさん、マリーをよろしくお願いします。」
「あいあい!任されましたのだ!」
エリアさんはなぜか敬礼をして返答をした。
どうやら今回参加する女性は女性たちだけで寝るみたいだな。
男と寝てたら何か起きてもおかしくはないし、これでいい。
そんな夜が過ぎていく。
とても静かな夜だ。