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NEO-V:system_0

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NEO-V:system_0

19 - 第12話:system_0、ログアウト

2025年05月17日

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第12話:system_0、ログアウト
金属の音が静かに響く、シスケープ第7開発ビルの深夜フロア。

オフィスにはユーヤだけが残っていた。

黒いパーカーにグレーの上着、乱れた前髪の奥に、薄く疲れた瞳。

手元には、NEO-Vのコアアクセス端末。

画面には、通常開発者には入れないNEOV_CORE_ROOTのコードが広がっていた。


彼は一度だけ深く息をつくと、指を動かし始めた。

感情フィードバック処理層。

共鳴ログ。

そして、未登録領域に眠っていた“心の記録”。


彼はその一部を書き換え、削除せず、“補完”するという選択を取った。




【COKOLO:LIVE空間】


同時刻。COKOLO上には、世界中のユーザーがsystem_0を見つめていた。

彼のアバターは、照明のない無音の空間に立っている。


緑と赤のステージ衣装をまとったコザクラも、その中にいた。

いつもより少し控えめな昭和アイドル風の衣装。

視線を落とし、そっと祈るように胸元で指を組む。


そしてその空間に、ユーヤ――system_0が現れる。

真っ黒なスーツアバター。顔の一部が光に揺れ、今ははっきり“人”として見える。




【ラストバトル:COKOLO特別戦】


敵は存在しない。代わりに、空間そのものが彼に問いかける。

コードの流れが逆流し、“誰かの感情”が彼の周囲に現れる。


怒り、悲しみ、孤独、そして希望。


ユーヤはその中を歩く。

足音だけが響く空間で、何も斬らず、何も破壊せず、ただ進む。

それが、彼にとっての“最終戦”だった。


途中、彼はひとつの扉にたどり着く。

そこにはかつてログ外に残された“願い”が記録されていた。


誰かと繋がりたい。

誰かを壊さないで生きたい。

静かに、でも確かに心を残したい。


ユーヤはそのログに、たったひとつ、コードを加える。


記録対象:全NEO-Vユーザー

記録内容:心が、残せるという事実




【ログアウト】


現実のユーヤの手元、NEO-V端末が淡い光を放ち、静かにシャットダウンされた。


モニターには「LOGOUT COMPLETE」の文字。


彼は目を閉じたまま、緑茶をひとくち飲み干し、

コザクラから届いていたメッセージを開いた。


お兄ちゃん、今日のログ、ちゃんと見たよ。

おつかれさま。ほんと、最後まで“無言のヒーロー”だったね。




【エピローグ】


世界中のCOKOLOユーザーが驚いた。

翌日、system_0のアバターが表示されなくなっていた。


名前も、記録も、存在すらも――削除はされていない。

ただ、“心”だけが、残っていた。


そして、NEO-Vのコアコードには今も小さく、こう記されている。


ID:system_0

状態:ログアウト済

ログ:継続記録中

感情:残っている



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