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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
謎の小瓶から得た『深淵の神薬』によって、私の魔力は完全に回復したどころか、世界の理を書き換える「白銀の神の領域」へと超絶覚醒を遂げていた。
背後に広がる白銀の翼を優雅に羽ばたかせながら、私は崩壊を始めた迷宮の回廊を、お兄様たちを探して歩いていた。
「さて、空間のシャッフルはすでに私の白銀の魔力で完全に無効化しているわ。……お兄様とリンはどこかしら?」
目を細め、精神を集中させて二人の魔力の波長を探そうとした、まさにその時だった。
ドォォォォォン!!!!!!
バリバリバリガシャァァァンッ!!!!
「――え?」
突如として、私の歩いていた回廊の『右側の壁』と『左側の壁』が、寸分の狂いもなく同時に、凄まじい爆音を立てて大爆破した。
もうもうと立ち込める凄まじい硝煙と瓦礫の嵐。
あまりの衝撃に、私は思わずその場に立ち止まり、左右の空いた巨大な大穴を交互に見つめた。
まず、右側の壁のガレキの向こうから、凄まじい殺気と、普段の完璧な貴公子スマイルを完全に消失させたアルベルトお兄様が、氷のガトリングを構えたまま飛び出してきた。
「ローゼマリーィィィッ! 今助けに……おや?」
そして同時に、左側の壁の爆煙を突き抜けて、神聖な光と美しい薔薇の魔法を全身に纏ったリンが、超神速のステップで大ジャンプしながら飛び込んできた。
「ローゼマリー様ぁぁぁっ! ご無事ですか……あら?」
左右から物凄い勢いで飛び出してきた二人は、回廊の中央に、見たこともない『白銀の翼』を背負って無傷で優雅に佇んでいる私の姿を見て、空中で同時にピタリと動きを止めた。
そのまま二人は勢い余って、お互いの頭をゴツンと派手にぶつけ合いながら、私の足元へと滑り込んできた。
「「……いたたた」」
「お兄様、リン。……二人とも、ずいぶんと賑やかな合流の仕方をしますのね?」
私が呆れ半分、愛おしさ半分でクスリと微笑むと、二人は大急ぎで立ち上がり、何事もなかったかのようにパッと衣服の埃を払って居住まいを正した。
◇
「ロ、ローゼマリー……! 無事で良かった……っ! 寂しかったかい!? 怖かったかい!? 兄として不甲斐ない、君を一人にしてしまうなんて……!」
アルベルトお兄様は、先ほどまで迷宮の壁を何十枚も力技で爆破してきた悪鬼羅刹のような表情から一転、涙目で私の両手を握り締め、過保護全開のシスコンモードへと一瞬で復帰した。
「いいえ、お兄様。私は全く怖くありませんでしたわ。それよりも……お兄様、その背後の壁の壊し方は一体何かしら?」
私がお兄様の歩いてきた跡(ただの一直線の巨大な氷のトンネル)を指差すと、お兄様は「最短ルートで君の元へ向かうには、壁が邪魔だったからね」と爽やかに微笑んだ。相変わらずこの人の思考回路は、私に関することになると完全にブレーキが壊れるらしい。
「ローゼマリー様、お怪我はございませんか? 影を奪われたとはいえ、お側に遅れてしまい申し訳ありませんわ」
リンも大急ぎで私の前に跪き、いつものおっとりとした笑顔で一礼した。けれど、彼女の身体から溢れているのは、先ほどまで持っていなかったはずの、魔王の闇を完全に浄化するほどの神聖な『光と薔薇の魔法』の波動だった。
「リン、あなたその魔法は……? それに、あなたも壁をぶち破ってきましたわね?」
「ええ、ローゼマリー様を不審なネズミからお守りしたいと強く願いましたら、新しいお掃除(暗殺)の力が開花いたしましたの。壁につきましては……アルベルト様が右から物凄い音を立てて迫ってこられるのが分かったので、メイドとして負けるわけにはいかないと、左から並走してぶち抜いて参りました」
「ふふ、なるほどね。二人とも、私のためにそこまでしてくれたのね。ありがとう」
私は二人の頭を優しく撫でてあげた。お兄様は至上の幸福そうな顔で身悶えし、リンも嬉しそうに目を細めている。
不気味で絶望的だったはずの魔王の迷宮が、この二人にかかれば、ただの「賑やかな再会の舞台」に早変わりしてしまうのだから、本当に面白い。
◇
「それにしても、ローゼマリー。君のその神々しい白銀の翼と、世界そのものを書き換えかねない圧倒的な魔力は……一体どうしたんだい?」
アルベルトお兄様が、私の背後に羽ばたく白銀の翼を見上げて、驚愕と、それ以上の深い愛おしさを瞳に宿して尋ねてきた。
「ええ、お兄様。迷宮の奥で前世のゴミ(偽聖女エレンの幻影)を一撃で片付けた際、不思議な『神薬の小瓶』を手に入れまして。それを戴いたら、魔力が全回復しただけでなく、どうやら完全に『神の領域』へと至ってしまったようですわ」
私がそう言って、指先にほんの少しだけ白銀の魔力を灯すと、それだけで周囲の歪んでいた迷宮の空間が、パキパキと音を立てて正常な構造へと強制的に修復されていった。
「素晴らしいですわ、ローゼマリー様! まさかこれほどの短時間で、さらに美しく最強へと進化されるなんて……。これなら、あの往生際の悪い魔王など、お茶の子さいさいですわね」
リンがパチパチと小さな拍手を送る。
「そうだね。僕たちの進化した力、そしてローゼマリーの神の魔力があれば、世界の外側の闇など恐るるに足りない。さあ、バラバラに引き裂いてくれたお礼を、たっぷりと魔王ディルクに返しに行こうか」
お兄様の切れ長の瞳に、冷酷で不敵な『最強の魔導師』の輝きが戻る。
「ええ、行きましょう。私たちの新しい、そしてこれからの幸せな居場所を脅かす大罪人への……本当の、最後の処刑の時間ですわ」
私たちが再びしっかりと手を繋ぎ、リンを影(今や光を纏った最強の影)に従えて前を向くと、歪んでいた迷宮の最奥の大扉が、私の白銀の魔力圧によってガガガッと自動的に抉じ開けられた。
その奥に続くのは、ついに魔王が震えて待つ、本物の『玉座の間』。
私たちは一切の油断なく、
しかし圧倒的な絶対王者の余裕を崩さないまま、
最終決戦の舞台へと堂々と足を踏み入れるのだった。
コメント
1件
いやー、読んだ読んだ!第25話めっちゃ熱かったわ🔥 白銀の翼に超覚醒して神の領域まで行っちゃうローゼマリーかっこよすぎるし、何よりアルベルト兄様とリンの、壁爆破しながらの並走合流がツボったwww「お掃除(暗殺)の力が開花」ってリン、その表現好きすぎる。お互い負けじと爆砕してくる執念、過保護で笑った。お兄様のシスコン全力モードも安定よ。三人揃った最終決戦、この面子なら魔王ディルクも秒で終わりそう。ラスボス戦、楽しみにしてる🔥
ねむ
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