テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
芙月みひろ
92
#王子
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……あの、陽一さん」
白石さんが、艶やかな髪に雪ならぬ塩をつけたまま、不敵な笑みを浮かべて僕を見た。
「お義父様とお義母様……とっても『守り』が固いのですね♡ まさか塩を撒かれるなんて。……攻略のしがいがあって、私、もっともっと好きになっちゃいました♡」
僕は、せっかく取った月曜の午後休が、実の親からの「塩まき」で終わった現実に、泣きたくなったのだった。
「……はぁ。話も聞いてもらえないんじゃ、これからどうしたらいいのか……」
僕は肩に積もった塩を払いながら、路地の入り口で深いため息をついた。 すると、隣で同じく塩まみれになっていた白石さんが、口を開いた。
「……陽一さん。私、とってもいいことを思いつきました」
「え……?」
白石さんは、淀みのない口調で続けた。
「帰ったらさっそくから作業に入りますね。ちょっと資料を作るのですが、最低でも100ページ、場合によってはそれ以上の大作になるかもしれません♡」
(……ひ、100ページ!? いったい何に使うんだよ、そんな凶器みたいな書類……)
この時の僕は知らなかった。彼女が一体なにを用意しようとしているのかを。その中身を初めて目にしたとき――。 僕は、恐怖のあまり完全にフリーズすることになったのだった。