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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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ーコツ、コツ、コツー
昼間とは大違い、静まり返った無人の夜の街は僕の、レンガの地面を歩く靴音しか聞こえなかった。


「…」


空を見上げると、大きな球が街を照らしていた。どうやら今日は満月みたいだ。


この時間が一生続いたらいいのにな。


僕はため息をついて、また大きく深呼吸をしてから走り出した。


ニコアは一体どこにいる?人の気配もないし、ニコアの気配もどこにもしない。どこか遠くへいったのだろうか。


「…!」


いた。ニコアの気配が。その気配がした場所は、なんと僕の真下。


つまり地下だった。


僕は近くにマンホールがあるか月の光を頼りに探し、人が入れるくらいの大きいマンホールを薄暗い路地裏の目の前にあるのを発見した。


僕は迷わずそのマンホールの蓋を開け、中に入った。ハツガの日に毎回地下水の流れるこの道を通っているから見慣れた物だが、一つだけ見慣れないものがあった。


黒い扉。


ブラックホールのように黒い、黒いと言うか漆黒と言った方が妥当だろうその色に塗りつぶされた扉が目の前にはあった。


「同じ素材の全く同じ形の扉…」


僕はそう呟きながら扉を触って観察した。ジクが集まるあの部屋の扉を全く同じだ。ただ色が違うだけ。


僕は取っ手を握り、2秒ほどフリーズしたあと扉を開けた。


「…え?」


そこは眩しいくらい真っ白な空間だった。目の前にいるのは自主練中のニコアただ1人だけだった。


ニコアは僕に気付き、一度ぎょえぇ?!と変な声を出した後にニカっと笑った。


ニコア「よーウラン!俺のトレーニングルームにようこそ!」


ニコアは刀を持っていた。そういえばニコアの持ち武器は刀なんだっけ。


「あのニコアが1人で自主練…?」


僕には考えられなかった。だって、ニコアは自分が強いことを自覚していて、自己肯定感がとても高い奴なんだから。


ニコアは僕が苦い顔をして見ていることに気づいて、刀を振る手を止めてこちらを見た。


ニコア「なんやその苦い顔!どうせニコアは自主練なんかしない思うてたんやろ!この前下剋上出して来た謎の組織倒しに行きはった時、俺ウラン越したい思ったねん。」


そう言って真剣な顔でまた刀を振り始めたニコアを見て、僕はため息をついた後、一瞬で刀を抜き、ニコアの刀を受け止めた。


「僕、刀習得中なの、教えてよ。」


ニコアは刀を押し返し、互いに距離を置いた。


ニコア「あのウランが俺に稽古申し込んできよった!?ええでー!言うてもさっきの構え方完璧やったんやけどな…笑ウランは実践で何もかも覚える方やろ!ほな対戦しようや!」


僕はあの一瞬で分析をしたニコアに関心を持ちながら刀を構えた。刀を持って来ておいてよかった。


「よろしく。」



ー10分後ー



ニコア「ながいっ!」


ニコアはそう言っていきなり床に倒れ込んだ。急に倒れるものだから危うくニコアを刺すところだった。


そういえばニコアって短時間でぱぱっと終わらせる派だったっけ。僕もだけど。


ニコア「俺と互角な奴ひっさしぶりに見たんやけど!!なんか悔しい!もう疲れた!」


ニコアは駄々をこねる子供のように悔しい悔しいと口にした。僕は刀をしまい、ニコアの隣に腰掛けた。


「ニコアは持久力、耐久力がなさすぎるんだよ。僕まだ全然疲れてないよ。」


ニコア「ウランさんなぁ、俺一般人からしたら持久耐久力相当ある方なの知っとって言うてるん?ウランが異常なだけ!!あんなに俺を動かして、あれも計算なんやろ!」


僕はにこっと笑って、おー流石ニコアさんと言いながら放り投げ出されたニコアの刀も片付けた。


「そろそろ戻ろうよ。僕もパトロールあったし疲れた。」


ニコア「はいはい。ありがとうございましたー。」


僕たちはそう言いながら部屋を出た後、下水道を通りマンホールの蓋を開けて地上に出た。


僕とニコアは月明かりに照らされる誰もいない街をゆっくりと歩いた。


「そういえば聞くの忘れてたけど、あの部屋ボスが用意したの?」


ニコア「おう!俺が作ってくれ言うたら、速攻で作ってくれたねん!微妙に遠いんやけど今まで俺以外誰も入ったことがないんや。だからウラン2人目!」


ボスもニコアには期待してるんだな。僕は空を見上げながらふーんと答えた。


少しの沈黙の後、次はニコアが僕に質問をした。


ニコア「…なぁ、ウランってどこで生まれて誰に育てられてなんで今殺人鬼になっとるん?お前って何者なん…?」


「…」


僕がニコアに目線を戻すと、ニコアは真剣そうで複雑な顔をしながら僕を真っ直ぐに見つめていた。


僕はニコアならと思い話すことにした。


“僕”のことについて。


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