第38章 砕けぬ盾、揺るがぬ光
荒廃した地球の大地。
空は黒く、雲間には常にルシフェルの軍勢が蠢いていた。
だが、そこに――たった三つの光が、闇を裂いて立っていた。
ゲズ。セレナ。そして、ウカビル。
数千の敵を前にしても、その視線には一分の迷いもなかった。
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「……来るぞ!」
ウカビルが叫んだ瞬間、
無数のルシフェルの軍団が一斉に飛翔し、地上へと降り注ぐ。
ゲズは飛び込んでくる敵をなぎ払い、
セレナは周囲を保護する結界を張りながら仲間の動きを補助する。
ウカビルは盾のように前線で立ち塞がり、敵の突破を一切許さない。
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■ゲズの覚醒「砕星・裂光」
「この力は……もう抑えなくていい……!」
ゲズの右腕が光に包まれ、空を裂くような一閃が走る。
次の瞬間、地面が抉れ、十数体の兵がまとめて消し飛んだ。
セレナ「ゲズ! それ、今のは……!」
ゲズ「リオンから託された感覚だ。もう、俺の中に生きてる」
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■セレナの支援魔法「星花の守り」
周囲に咲き乱れる幻影の花が、味方の動きを軽くし、傷を癒す。
セレナ(あなたが見ているなら……私たち、ちゃんと前へ進んでる)
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■ウカビルの奮闘「巨神断」
「立ち塞がるなら、全て砕くのみ……!」
金色の大剣が地を割り、ルシフェル配下の中級将軍クラスをまとめて撃破。
敵の数は膨大だったが、三人はまるでひとつの流れのように戦った。
その力の均衡、信頼、闘志――すべてがひとつに重なっていた。
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【ついに勝利。だが――】
やがて、敵の軍勢は壊滅。
空は晴れ間を見せ、ようやく静寂が訪れる。
ゲズは息を吐き、セレナと目を合わせてうなずく。
ウカビルも剣を下ろし、傷を押さえながら前を向いた。
だが――その瞬間。
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――「ザン」
空間が切り裂かれる音。
誰もそこにいなかった場所が、黒く裂ける。
現れたのは、かつて“英雄”と呼ばれたはずの者。
長い白銀の髪、漆黒の双刃。美しき戦士の面影を残しながら、
その目に宿るのは感情ではなく、深い奈落の空虚。
ウカビル「……まさか。……カティナ、貴様が……!」
カティナ「この名に反応するとは。
……記憶がまだ残っているのか、元・英雄よ」
ゲズ「ウカビルの……かつての戦友……?」
カティナは静かに刃を構え、ひとつ言った。
カティナ「次の戦いは、あなたよ、ウカビル。
私の使命は、かつての英雄を――完全に終わらせること」
一歩踏み出すたびに、大地が悲鳴を上げる。
その刃は空を裂き、そして――心も断つために振るわれる。
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