テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ー終わる話、しないでよ
強くないからと、吐き出した勇斗を自分がこんな弱くしたのかと、自惚れと後悔が押し寄せる。
ー今の話だけ、しよ
今にこだわる意味をうっすらと理解した。
そうか、俺と同じで終わりに耐えられないのだ。
でもそんなの、どちらも終わりを見据えてるだけじゃないか……。
考えることも、話すこともしないで、
ただただ、欲望に塗れて夜をなんとか乗り切る。
間違っているのはわかっているけれど、
そこに踏み込む勇気を俺は持てないでいた。
「…はやとっ、あいしてる」
乱暴とも言えるほどの行為を繰り返す中で、
毎回、薄れゆく意識と共に、言葉を吐き出す。
答えは聞こえてないし、求めていない。
朝の光は少しだけ暗闇の思考を掬い上げてくれる。
「続くよ」
ぽつりと、急に言う。
あまりにもあっさり日常に落とされた言葉。
「……なにそれ」
思わず笑いそうになるけど、
ちゃんと笑えない。
「なんかさ
毎日毎日、ボロボロになる程、俺のこと求めてるのに、なんで終わらせたいの?」
ここ数日、いや数週間かも。
言葉を聞きたくなくて、ただひたすらに身体だけを勇斗に求めた。
身体は確かにボロボロ。
もうやめよ、というのも無視してひたすらに欲した。
優しさで応えるにも流石に限界なのだろう。
「続かない前提でいる方が、変じゃない?」
軽い口調。
でも、どこかに重い塊がある。
「俺は、続くと思ってる方がいい」
「思ってる“方が”って」
素直じゃない言葉の拾い方。少しだけ間が空く。
「あー……」
困ったように、でもすぐにいつもの顔に戻る。
「いいじゃん、別に」
ごまかすみたいに笑って、毎日激しすぎだよ。って。
「……はやと」
呼ぶと、振り返る。
「なに」
いつも通りの顔。
さっきと同じはずなのに、少しだけ遠い。
「さっきのさ」
言いかけて、やめる。
何を確認したいのか、自分でもよくわからない。
“続くよ”の根拠か、
それとも、
その言葉がどれくらい本気なのか。
「……今日は抱いてくれないってこと?」
結局、飲み込んで、欲望に溶かした逃げを打つ。
はやとは一瞬だけこっちを見て、
それから小さく頷いた。
「そっか」
それ以上、何も聞いてこない。
それが、少しだけ助かって、少しだけ寂しい。
薄氷を踏んで歩いてるかのような危うい空気感。
踏み込んではいけないのに。
「……はやと」
呼ぶと、顔を上げる。
「ん?」
相変わらず、いつも通りの顔。
その“いつも通り”が、急に遠く感じる。
莉愛