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莉愛
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踏み込みむべきではない。
警鐘はガンガンと頭の中で鳴っている。
なのに飲み込んだはずの言葉を無意識に放つ。
「さっきの、ちゃんと聞きたい」
はやとの目が、ほんの少しだけ揺れる。
でも、すぐに笑う。
「なにを?」
「続くよ、ってやつ」
空気が、少しだけ止まる。
「……そのまんまだけど」
軽く言う。
軽く、言おうとしてる。
「違うでしょ」
思ったより語気が強くなった。
自分でも少し驚くくらいに。
「…方が、“思ってる方がいい”って言った」
はやとの視線が、わずかに逸れる。
「それってさ」
言葉を選ぶ余裕なんて、あんまりない。
「本気で続くと思ってなくて、そう思い込みたいだけだよね」
沈黙。
「俺に終わる話しないでって言うけど、終わりを見てるのは勇斗もおなじでしょ」
何言ってんだ、俺。違うだろ。
「……なんでそんなこと言うの」
低い声。
怒ってるな、これは。
俺の終わりの見方と勇斗の終わりの見方は違う。
同じ終わりがあるのをわかっていても、
その終わりがくるのをどこか確信めいて、待ち受けてる俺と、
終わりは終わりと認めて、そこに行かない今を続けてる勇斗と。
全然違うのに。
酷いこと言った。後悔する。
取り返せるなら取り返したい。
でも溢れた言葉はきちんと相手に届いて、
お前をひたすらに傷つけている。
沈黙が落ちて、初めて見る顔かもしれない。
さっきまでの“いつもの顔”が、どこにもない。
視線を落としたまま、考えてる。
「……俺は」
やっと、絞り出した声は掠れて、どこか弱々しい。
「続くって、思ってるよ」
顔を上げて、
「思い込みでもいい」
はっきりと、どこか自分に言い聞かせるような声。
「そうじゃないと、無理」
だって、と勇斗が笑おうとして、失敗する。
「終わる前提で好きでいるとか、俺にはできない
仁人みたいに、終わること考えられない。考えたくない」
小さく続ける。
「だから、“続く”って思うしかない」
少しだけ、間が空く。
「それでもダメ?」
静かに聞かれる。
思い込みたいのに、どこかで怯えてる。
その目を見て、初めて気づく。
自分は終わらせるつもりなんてないくせに、
勇斗の終わりを勝手に確信して、終わりを見据えている。
なんて卑怯な逃げ方。