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最近ノベルどハマり中ー
「ころん君,誰かと付き合ってるらしいよ」
女の子達が噂しているのは俺の好きな人。
格好良くて,優しくて面白くて…,
そんな彼がモテないはずがない.
そんなわけで俺の恋は儚く散った.
直接恋人がいる,と訊いた訳ではないけど,
あんなに完璧な子に恋人がいないはずが無い
「あ,さとみ君っ,探したんだよ〜?
一緒に か〜えろっ!!」
「…彼女と,帰んなくていいのかよ」
「ぇ,…??」
「彼女居るのに,俺と帰っていいのかよ」
「…」
暫く重い空気が流れる.
それを先に破ったのはころんだった.
「彼女?…いないけど,」
「うそ,…っ!だって,だって,…」
確かに彼女の話なんて聞いた事がないし,
「だって,僕の好きな人…さとみ君なんだし」
「は、…っ??」
それを理解するのに時間が掛かった。
「それでさ,さとみもころんのこと好きなん
じゃね?ってなって,付き合ってるとか言い出
してさ〜…,止めたんだけどね〜…,」
そう,…だったんだ.
一瞬の事だったけど,さとみって…呼んだ?
「俺も,…,ずっと好きだよ」
「さとみ,…君?」
「付き合ってほしいなぁって…」
「んふ,好きだよ?」
そう言って俺を包み込む手は優しかった.
「なぁ,…?ちょっと水飲みたいんだけど」
「水?…ん〜,ぁ!!」
そう言ってペットボトルを開けると,
自分の口に水を含ませるころん.
かと思えばちゅぷちゅぷ,っ❤︎という水音と
共に自分の口に流される。
そのまま口付けを何度も交わし,
2人だけの世界を楽しんでいたー、
「なぁ,俺らもおるんやけど」
「2人の世界入らないでくれます?」
ウザいです,と付け足するぅと君。
「え~,でも2人も付き合ってるんでしょ?」
「そんなこんなで,もし苺王子が全員リア充
だったら?は終わりますっ!!」
「以上!俺たちの声劇でした〜!」
と言って配信をぷつりと切る。
「僕達が本当に付き合ってるのは
メンバーにも,リスナーさんにも秘密だから
誰にも言っちゃダメだからね??」
と言うと,それを確かめるように
そっと,2人で口付けを何度もした.
この恋は苺みたいに甘酸っぱくて,
「好きだよ」
その言葉を合図に,視界をぐるっと回して
天井に向け,そのまま『おいで』と言うように
手を大きく伸ばした。
「好きだよ」
この言葉が繋いだ,甘酸っぱい恋の味.
いつか同性婚が日本でも認められて,
結婚できるまでは,こうして
『好きだよ』を合図に気持ちを確かめ合って,
そしてキラキラ光るダイヤモンドを左手の
薬指に嵌めておけば,それだけで
結婚できるような,そんな気がするでしょ?
きっと,これから先も…そうやっていけば
気持ちが薄れることなんかない.
そう思って,今日もオフィスに向かった.
「あの,昨日配信切れてなかったですよ」
「は.…ぇ,?」
「さとみ君の声,全世界にダダ漏れでしたよ」
「隠すなら隠すで,ちゃんと隠してください」
「まぁ,今回はいい方に転んだのでよかった?
ですけど.ちゃんと責任持ってください」
「は〜い…,さとみ,行こ?」
こうして配信外では「さとみ」と
呼び捨てで呼ばれる事が増えた。
まだ慣れてなくて,その度にドキッとするのは
ここだけの秘密な.