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第2話 夢人探し
—昼休み—
「はぁ~……」
昼休みとなり、侑は銀と部活のチームメイトである角名倫太郎と一緒に屋上で昼ご飯を食べていた。
「何や侑、ため息なんかつきおって」
侑のため息を聞きつけた銀は少し心配そうにして尋ねた。
「なんか有ったんか?」
「いや、ちょっとなー、」
「悩み事かなんかか?」
「そういう訳でもないんやけど…」
実をいうと侑は今朝の夢のことで少し気になっていたのである。
(最近あの夢よぉ見るようになったけどここまでモヤモヤしたのは今までなかったな…)
「いやいや、このバレー馬鹿に悩みなんてないでしょ」
「ちょ!角名!少しは人の心配しろや!」
「www」
そんな角名と侑のやりとりを見て銀は少し苦笑していた。
「じゃ、何でそんな浮かない顔してんの?」
「あー、それは…」
今まで夢のことは誰かに話すことでもないので誰にも話したことなかった侑だが、夢にも困っていたのでこの際相談してみることにした。
「実は、、、」
そうして、侑は夢について銀と角名に話した。
𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌𓂃𓋪◌
「なるほどね、つまりその夢について悩んでいて元気がない、ってことだよね?」
「まー、そういうことやな」
「不思議な夢もあるもんやな」
侑の話を聞き終えた銀と角名だったが、角名の方は何やら疑問を持っていた。
「ねぇ、もしかしたら侑その夢の人に会ったことあるんじゃない?」
「え?」
「何でそう思うんや?」
侑と銀は角名の言ったことを不思議に思い聞き返した。
「夢ってほとんどの内容が今まであったこととか過去とかだったりするでしょ?見覚えない場所でもだいたいは行ったことある場所だったりするし。しかもよく見るってことはそれだけ思い入れが強いってことなんじゃないかなって」
「ほな、その人も侑が覚えとらんだけで実は会ったことある人ちゅうことか」
「その可能性はあるね。侑的にはそんな感じあるの?」
「ん~、そう言われるとそんな感じもあるかもしれんけど…」
侑にも夢の人はどういう人なのか記憶は曖昧だ。
正直、その人が男なのか女なのかもよくわからない。
もしその人が実際にいて会ったことあるとしても本当に夢の人だと確信する自信はなかった。
(あの人が誰だかわからんし見当もつかんけど、もしかしたら…)
「……」
「…何か気づいたことあったの?」
「あ、あぁ、関係あるかわからんけどちょっと気になったことがあってな」
「なんや?」
「子供の頃な、その日丸1日何があったか全く覚えてない日があったんや」
「丸1日?」
「おん、朝にどこか出掛けるまでは覚えとるんやけど気がついたら夜になってて、その日の記憶がないんや」
侑が小学生だったの時の夏休み。
どこへ行こうかは忘れてしまったが出掛けようとしたら意識を失ってしまったのか気がついた時には辺りは真っ暗で近くの公園のベンチで倒れていた。
そんな不思議な体験だったためそのことは今でも覚えている。
確かその頃くらいからだ。
あの夢を見るようになったのは。
「んー、じゃあその日何があったか思い出せば夢の人も誰だか分かるんじゃない?」
「確かにあり得るかもな」
角名の意見も可能性はあり、夢についても解決したかったため放課後調べようかと思っていた侑に銀がある提案をした。
「ほな、今日部活休みやしみんなで調べてみるか」
「だね」
「え?角名たちも手伝ってくれるんか?」
「当たり前でしょ。ここまで聞いて後が気になるしほっとくわけにもいかないよ。」
「せやせや、角名の言う通りや。俺たちも協力するで!」
予想外のことに少し驚いていた侑であったが、ひとりで探すのにも不安であったためホッとしていた。
「ほな、お言葉に甘えて手伝ってもらおか」
「おう!任せとき!」
「じゃあ、放課後に侑たちのクラスに行くね」
「「了解」」
こうして侑たちの”夢人探し”が幕を開けた。