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❀視点
アニメの最終話のアフレコが終わり、私たちはスタッフやキャストのみんなと一緒に打ち上げへ向かった。
わいわいと賑やかな雰囲気の中、黒崎は相変わらず私をからかってくる。
まぁ最近はそんなやり取りすら心地よく感じるようになっていた。
……なんだかんだ言って、やっぱり楽しい。
それでも、少しだけ胸の奥がもやもやするのは――
彼の本心が見えないからかもしれない。
黒崎は……私のこと、どう思ってるんだろう?
そんな考えが頭をよぎるたび、素直に笑えなくなる自分がいた。
打ち上げの後、駅までの帰り道。
❀「……今日は、楽しかったですね」
♧「ま、アニメも無事に終わったしな。お前が意外と頑張ってたのも認めてやるよ」
いつも通りの軽口を交わしながらも、どこかぎこちない空気が流れる。
そして、ふと黒崎が立ち止まった。
❀「……なに?」
♧「いや、別に」
そう言って目を逸らした彼の横顔が、いつになく真剣に見えた。
❀「さっきから黙ってどうしたんですか?」
♧「……お前、ほんと鈍いよな」
♧「え?」
♧「俺、ずっとお前のこと見てたんだけど」
心臓がドクンと跳ねる。
❀「……からかってます?」
♧「違ぇよ。……ったく」
黒崎は、ぶっきらぼうに髪をかき上げる。
♧「お前みたいな生意気で、意地っ張りで、いちいちムカつく女……」
❀「……」
♧「……しょーがなく好きなんだよ」
耳を疑った。
❀「……え?」
♧「だから。しょーがなく好きだっつってんの」
わざとらしく不機嫌そうに言うその顔が、少しだけ赤く染まっている。
❀「……なにそれ」
♧「お前がバカみたいに鈍感だから、こうやって言ってやってんの。感謝しろよ」
❀「な、なんでそんな偉そうなんですか!」
恥ずかしさでいっぱいになりながらも、胸の奥が熱くなっていく。
❀「それに……黒崎だけじゃないです」
♧「……は?」
❀「私だって、黒崎みたいに意地悪で、すぐからかってきて、でも……たまに優しいとことか……」
視線を逸らしながら、どうにか言葉を紡ぐ。
❀「……しょーがなく好きなんですから」
その瞬間、黒崎の目が大きく見開かれた。
♧「……お前、それ自分で言って恥ずかしくねーの?」
❀「そっちこそ!」
お互い顔を真っ赤にしながら、わけのわからない言い合いになる。
だけど、どこかくすぐったくて、気づけば二人とも笑っていた。
♧「……しょーがないな、ほんと」
❀「それ、こっちのセリフです」
素直じゃないのは許してよ。
♧「でも、もう逃がさないから」
❀「……別に、逃げませんけど?逆に逃げたら殴りますよ」
♧「へえ? じゃあ、証拠に……」
彼の顔が近づく。
次の瞬間、唇が触れ合った。
❀「……バカ」
♧「ツンデレすぎ。」
❀「お前もな」
♧「これからも、ずっと一緒にいような」
❀「……しょーがないから、いてあげますよ」
約束だからね。 fin
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ストロベリームーンって美味しいそう。
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