テラーノベル
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ありがとうと、一緒に好きを。
私は、やはり、先週の雨で風邪をひいた。
そして、風邪が治り、今から登校する。
先輩には、打ち上げのとき、何も言えなくて
風邪の時の記憶はほとんどない。
もう一度。ちゃんと話そう
放課後、帰り道
校門を出たところで、私は先輩に声をかけた
そして、人気の少ない公園まで、少し歩く
二人で並んで座ると、
私は深呼吸してから、切り出した。
『…この前は、色々ごめんね、
打ち上げは、うまく言葉返せないし、
風邪の時も多分迷惑いっぱいかけてる、』
少しの沈黙の後、
私はまた話す。
『ーーでも、それだけじゃなくて、
今日は、ちゃんと伝えたくて来たの。』
あと
「……うん」
『私、先輩のことが、好きです。』
とても声が震えた。
『ずっと、気づかないふりしてたけど、
文化祭準備とか、ライブとか。
そばにいられる時間がとても嬉しくて』
『好きって、こういうことって、
初めてちゃんと分かった。』
小さく、先輩の表情が変わった。
驚いたような、困ったような、
でも、どこか温かくて。
あと
「……月ちゃん」
『無理に答えなくて大丈夫、
ただ、伝えたかっただけだから、』
私は精一杯の笑顔を作った。
あと
「俺、答え出すのに
もうちょっと時間欲しい。」
『……うん、』
あと
「でも、ひとつだけ言えるのは…
月ちゃんの気持ち、めっちゃ嬉しかった」
目の奥が、少しだけ熱くなる。
『(ちゃんと伝えてよかった、)』
先輩の笑顔が、
少しだけ照れていて
でも、確かにこっちを向いてた。
そして、帰り道。
いつもより少しだけ近い距離で並んで歩く
2人を、
秋の夕立が、優しく照らしていた。
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